横配置ポッケルスセル
- Transverse Pockels Cell for 700 - 1100 nm
- KD*P Electro-Optic Crystal
- Ideal as an Optical Shutter and Amplitude Modulator
PCT900
Transverse Pockels Cell
Application Idea
The PCT900 Pockels cell mounted on the C1513 Ø1.5" post kinematic V-Clamp mount.
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General Specifications | |
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Wavelength Range | 700 - 1100 nm |
Clear Aperture | > Ø3 mm |
Transmission | > 90%a |
Half-Wave Voltageb | 325 V @ 780 nm |
Extinction Ratioc | > 500:1 |
Rise Time | < 1 μs |
特長
- 波長範囲:700~1100 nm
- 横配置ポッケルスセル
- 周波数250 kHzまでの光シャッタ用として設計
- 出射部にグランレーザ方解石偏光子付き
- 対応するポッケルスセルドライバを別売りでご用意
当社の横配置ポッケルスセルを用いると、出射光の偏光方向を、印加電圧に応じて高速かつ高精度に制御できます。ポッケルスセルは、電圧制御型の波長板とみなすこともできます。 こちらのポッケルスセルはリン酸二重水素カリウム(KD*P)結晶を使用しており、電圧は結晶に対して横方向(光軸に対して垂直)から印加します。このような横配置にすることで、縦配置のセルよりも低い電圧で使用することが可能になります。また、標準的な音響光学素子や液晶デバイスよりも高速に応答するため、高速光スイッチングを必要とする蛍光顕微鏡などの用途に適しています。この高速応答性により、DC~250 kHzの周波数域での光シャッタとしてもご利用いただけます。このポッケルスセルは、強度変調器として使いやすいように、出射部にグランレーザ方解石偏光子が組み込まれています。
ポッケルスセルは、光が透過する電気光学結晶で構成されたEOデバイスです。出射光の偏光方向は結晶に印加する電圧によって制御されます。ポッケルスセルはポッケルス効果で動作します。ポッケルス効果では、結晶の複屈折の大きさが、結晶に印加する電圧(電場)の一次関数として変化します。これは電場の二次関数として変化する光カー効果と対照的です。定電圧を印加する場合は、ポッケルスセルは電圧制御型の波長板のように機能します。このポッケルスセルは、クランプすることで圧電リンギングの影響を低減しているため、最大250 kHzの高い周波数での使用が可能です。詳細は「ポッケルス効果」タブをご参照ください。
ご購入いただいたポッケルスセルの試験データは、下記の型番横の赤い資料アイコン()をクリックし、「Download Serial Item Data」にシリアル番号を入力するとダウンロードできます。半波長電圧、立ち上がり時間、およびビームサイズと消光比の関係に関するデータは「グラフ」タブでご覧いただけます。
ポッケルスセルPCT900は、デバイスの長さが152.4 mm、有効径が3 mmであるため、レーザ共振器内でのご使用やQスイッチとしてのご使用には適しておりません。
取付けとアライメント調整
ポッケルスセルをアライメントするには、ロール、ピッチ、ヨーの回転軸の調整のほかに、XY方向の移動が必要です。自由度6のマウントを使用するか、またはキネマティックマウントに取り付けられたビーム調整用のステアリングミラーと、当社のVマウントのように取り付けられたポッケルスセルを回転できるマウントを使用する必要があります。ポッケルスセルは、入射光の偏光方向を出射端の方解石偏光子の希望する軸に合わせるために、回転させる必要があります。その際は、SHVコネクタに近い入射面上の白いアライメント用ラインをご利用いただけます。ポッケルスセルのSHVコネクタを垂直にして取り付けたとき、反射光は下向きの角度がついた偏光子の側面のウィンドウから逃げていきます。操作およびアライメント方法の詳細はマニュアルに記載されています。
ポッケルスセルの両端面には、それぞれ30 mmケージシステムに取り付けるための#4-40タップ穴があります。回転式ケージプレートを使用すると、ポッケルスセルのアライメント調整における回転の自由度を担保しながら、ケージシステムに組み込むことができます。ポッケルスセルPCT900には、当社のポッケルスセルドライバのご使用をお勧めします。接続にはSHVケーブルをご利用いただけます。
取扱い上の注意
当社のポッケルスセルは決して分解しないでください。PCT900は「ウェット」セルで、KD*P結晶の湿度に対する感度を相殺するために液体が充填されています。唯一認められるクリーニング方法は、乾燥窒素を用いて埃を払うことです。セルに損傷がある、もしくは汚れが付着している可能性がある場合には当社までご連絡ください。
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生データはこちらからダウンロードいただけます
このグラフは、ポッケルスセルPCT900の780 nmにおける消光比の典型値とビーム径の関係を示しています。ビーム径はピークパワーの1%となる位置で測定しており、これはガウシアンビームの1/e2の位置で測定する径よりも50%大きくなります。
ポッケルス効果
ポッケルス効果は線形の電気光学効果であり、媒体に電場が印加されると、その電場に比例して媒体の屈折率が変化します。この効果は、非中心対称の結晶(すなわち反転対称性の無い結晶)でのみ発生します。これはカー効果とは異なります。カー効果は電場の二乗に比例する2次の非線形電気光学効果で、ほとんどの材料で発生します。ポッケルスセルは、変調用に設計された、ポッケルス効果を利用した電気光学デバイスです。
ある種の材料では入射光の偏光に応じて屈折率が変化しますが、この性質は複屈折性と呼ばれます。このような材料では、入射光は2つの直交する偏光成分に分岐します。それらは常光線および異常光線と呼ばれ、それぞれ異なる屈折率を示します。印加された電場が結晶の屈折率に与える変化は、電気光学テンソルを使用して説明されます。電気光学テンソルの形は結晶の対称性によって決まります。テンソルの電気光学係数は印加される電場と線形関係にあるため、係数が大きい結晶ほど屈折率が変化しやすくなります。この屈折率の変化により位相シフトが生じ、入射光の偏光に対して出射光の偏光が変化します。この効果を利用して、振幅変調を行うことができます。
振幅変調に使用されるポッケルスセルの重要な特性は半波長電圧です。これは、最小振幅から最大振幅への振幅変化に対応する半波長の位相遅延を生成するために必要な電圧です。半波長電圧は、入射光の波長と印加する電場の方向に依存します。縦配置のポッケルスセルは入射光の光路に対して平行に電圧を印加するため、結晶の長さは半波長電圧とは無関係です。一方、横配置のポッケルスセルは入射光の光路に対して垂直に電圧を印加するため、半波長電圧は電極間隔と結晶の長さの比に比例します。従って、横配置のポッケルスセルでは、より長い結晶を使用することで、動作に必要な電圧を下げることができます。
リン酸二重水素カリウム(KD*P)
ポッケルスセルPCT900に使用されている電気光学材料はリン酸二重水素カリウムで、これはKD*PまたはDKDPとも呼ばれます。KD*P結晶は42mの点群に属し、その中で最も高い電気光学係数を有します。 さらに、KD*Pの透過スペクトルは、リン酸二水素カリウム(KDP)よりも近赤外(NIR)域まで広がっています。これは、KDP の酸素-水素結合よりも、KD*Pの酸素-重水素結合の方がエネルギーが低いためです。結晶をクランプすることは圧電リンギングの防止に寄与し、それにより電気光学係数の変化も大幅に小さくなります。KD*Pを使用することの欠点は、結晶が吸湿性かつ水溶性であるため、湿度に非常に敏感でかつ周囲から水蒸気を吸収することです。これに対処するために、ポッケルスセルPCT900には絶縁液が充填されていますので、ポッケルスセルはいかなる状況でも分解しないでください。
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