光ファイバーカプラのチュートリアル
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1x2溶融型光ファイバーカプラの仕様の定義
このタブでは、1x2カプラの主な仕様項目に関する定義について説明します。 1x2カプラは2x2光ファイバーカプラと同様の工程で製造されますが、第2の入力ポートは後方反射を最小に抑える当社独自の方法によって内部で終端処理されています。 1x2カプラは光コンバイナの用途にはお勧めしておりません。光を分岐する場合にのみお使いください。 異なる波長の光を結合させる用途には、シングルモードの波長分割多重(WDM)カプラをご用意しております。 1x2カプラのポートは下の図のような構成になっています。
過剰損失
過剰損失(dB)は、全出力パワーの全入力パワーに対する比で決まります。
Pport1は、Port 1の入力パワー、Pport2+Pport3はPorts 2と3の出力パワーの合計です。パワーの単位は全てmWです。
偏波依存性損失(PDL)
偏波依存性損失は、偏光状態によって変化した透過率の最大値と最小値の比率と定義されます。この仕様値は、偏光を維持するよう設計されていなカプラのみに適用します。PDLは常にdB単位で表し、下記の式で求めることができます。
このときPmax は、すべての偏光状態を走査したときのカプラの透過率の最大値です。Pminは同じく偏光を走査した時の最小の透過率です。
光反射減衰量(ORL)/ダイレクティビティ
ダイレクティビティは、ポート1を入力部として使用した際に、カプラ内部で終端処理されたファイバ端で損失する入射光の割合として規定されます。 以下の式を用いて計算し、dBで表します。
Pport1ならびにPport1bは、それぞれPort 1ならびに内部で終端処理されたファイバでの光パワー(mW)です。 この出力パワーはカプラの分岐部における後方反射によるもので、Port 2と3の出力側のロスに相当します。50:50のカプラにおけるダイレクティビティは、光反射減衰量(ORL)と等しくなります。
挿入損失
挿入損失は、カプラのどちらかの出力ポート(信号またはタップ)からの出力パワーに対する、入力パワーの比として定義されます。 挿入損失は常にデシベル(dB)で表します。 一般的に以下の式で定義されます。
ここで、Pinは入力パワー(mW)、Poutは出力パワー(mW)です。 当社の1x2カプラは、信号出力、タップ出力両方の仕様値を規定しています。仕様書には常に信号出力の挿入損失が先に記載されています。 特定の出力(Port 2またはPort 3)の挿入損失は以下の式で定義します。
挿入損失には分岐の影響(例:ほかの出力ポートに伝達される光)と過剰損失(例:カプラから失われる光)の両方が含まれます。各出力ポート(信号出力とタップ出力)ごとに許容される最大挿入損失は規定されています。しかしそれぞれの出力ポートの挿入損失は、ほかの出力ポートに分岐した光と相関しているため、両方の出力ポートで同時に最大挿入損失に達することはありません。
挿入損失のdBm単位での計算
挿入損失は、dBmの単位で表した光パワーでも簡単に求められます。 下の式はmWならびにdBmで表した光パワー間の関係です。
従って、dBで表す挿入損失は、以下の式で求められます。
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分岐比計算結果のグラフ表示
分岐比
挿入損失(dB)はカプラの各分岐からの出力パワーに対する入力パワーの比ですが、ここでは波長の関数として表しています。 これには分岐の影響と過剰損失値が含まれています。 分岐比は挿入損失の測定値から算出します。 分岐比(%)は各出力ポート(ポート2および3)からの光パワーの、両方の出力ポートからの光パワーの合計に対する比で、これも波長の関数として表しています。 経路Aは、ポート1からポート2へ伝播する光を表し、経路Bはポート1からポート3へ伝播する光を表します。 水の吸収帯域などのスペクトル特性については、どちらの分岐も等しく影響を受けるため、分岐比には影響が現れません。
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均一性計算結果のグラフ表示
均一性
均一性も、分岐比と同様に挿入損失の測定値から算出できます。 均一性とは規定の帯域における挿入損失の変化量(dB)のことです。 規定のスペクトル領域において、挿入損失がどれだけ均一に分布しているかを表す尺度です。 経路Aの均一性は、挿入損失の最大値と赤い実線で示された挿入損失曲線(上のグラフ参照)との差になります。 経路Bの均一性は、青い実線で示された挿入損失曲線と挿入損失の最小値の差になります。
2x2融着型光ファイバーカプラの仕様の定義
このタブでは、2x2カプラの主な仕様の定義について、説明します。 カプラのポートは下の広帯域カプラの概略図で定義されています。ここでは光はPort 1に入射されます。 よって、このカプラにおいてはPort 3ならびにPort 4がそれぞれタップ出力ならびに信号出力となります。
過剰損失
過剰損失(dB)は、出力パワーの合計と入力パワーの合計の割合で決まります。
Pport1は、Port 1の入力パワー、Pport3+Pport4は、Port 3と4の出力パワーの合計です。Port 2の入力パワーはゼロと仮定します。 全てのパワーは、mWで表しています。
偏波依存性損失(PDL)
偏波依存性損失は、偏光状態によって変化した透過率の最大値と最小値の比率と定義されます。この仕様値は、偏光を維持するよう設計されていなカプラのみに適用します。PDLは常にdB単位で表し、下記の式で求めることができます。
このときPmax は、すべての偏光状態を走査したときのカプラの透過率の最大値です。 Pminは同じく偏光を走査した時の最小の透過率です。
光反射減衰量(ORL)/ダイレクティビティ
ダイレクティビティは、ある入力ポートからの入力量に対する、もう一方の入力ポート(つまりPort 2)からの出力量の比率として規定されます。 以下の式を用いて計算し、dBで表します。
Pport1ならびにPport2は、それぞれPort 1ならびにPort 2の光パワー(mW)です。 この出力は、カプラの分岐部における後方反射により生じるもので、ポート3および4からの出力量の損失の一因になります。 50:50のカプラにおけるダイレクティビティは、光反射減衰量(ORL)と等しくなります。
挿入損失
挿入損失は、入力パワーと、カプラの出力ポートのどちらか(信号またはタップ)の出力パワーの割合と定義されます。 挿入損失は常にデシベル(dB)で表します。 一般的に以下の式で定義されます。
PinならびにPoutは入力パワーならびに出力パワーです(mW)。 当社の2x2カプラは、信号出力、タップ出力両方の仕様値を規定しています。仕様書には常に信号出力の挿入損失が先に記載されています。 出力するPort 3またはPort 4の挿入損失は以下の式で定義します。
Port 1から入射時のPort 2での挿入損失も同様の式を用いますが、 これは上記のとおり、すでにカプラのダイレクティビティで定義されています。
挿入損失には分岐の影響(例:ほかの出力ポートに伝達される光)と過剰損失(例:カプラから失われる光)の両方が含まれます。各出力ポート(信号出力とタップ出力)ごとに許容される最大挿入損失は規定されています。しかしそれぞれの出力ポートの挿入損失は、ほかの出力ポートに分岐した光と相関しているため、両方の出力ポートで同時に最大挿入損失に達することはありません。
挿入損失をdBm単位により計算
挿入損失は、dBmの単位で表した光パワーでも簡単に求められます。 下の式はmWならびにdBmで表した光パワーの関係です。
dBで表す挿入損失は、以下の式で求められます。
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分岐比計算結果のグラフ表示
分岐比
挿入損失(dB)は、入力パワーと、カプラの各分岐部分からの出力パワーの割合を表しています。 これには分岐の影響と過剰損失値が含まれています。 分岐比は挿入損失の測定値から算出します。 分岐比(%)は各出力ポート(AおよびB)からの光パワーと、両方の出力ポートからの光パワーの合計との割合を波長毎に表したものです。 水の吸収帯域などのスペクトル特性については、どちらの分岐部も等しく影響を受けるため、分岐比には関係しません。
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均一性計算結果のグラフ表示
均一性
均一性も、分岐比と同様に挿入損失の測定値から算出できます。 均一性とは規定の帯域における挿入損失の変化(dB)のことです。 規定のスペクトル領域において、挿入損失がどれだけ均等に分布しているかを測定します。 経路Aの均一性は、挿入損失の最大値と赤い実線で示された挿入損失曲線(上のグラフ参照)との差となっています。 経路Bの均一性は、青い実線で示された挿入損失曲線と挿入損失の最小値の差となっています。
一般的な結合例
2x2の溶融型光ファイバーカプラは、2本の光ファイバからの光を損失を最小限に抑えながら特定の分岐比で分岐または混合させます。 当社では、分岐比が50:50、75:25、90:10、99:1の4種類のカプラを標準品としてご用意しています。 当社の溶融型光ファイバーカプラは 全て双方向、つまり全てのポートを入力用として使用できます。 右の動画では結合例をいくつかご紹介しています。
「信号出力」および「タップ出力」は、それぞれ高出力と低出力を指します。 例えば、光がカプラTW1064R1A2A(分岐比99:1)の白いポートから入射した場合、透過光の99%は反対側の白いポートに結合し、残りの1%は 赤いポートに結合します。 この例において、2つ目の白いポートは信号出力ポートと呼ばれ、赤いポートはタップ出力ポートと呼ばれます。 50:50のカプラでは、信号ポートとタップポートの出力パワーは等しくなります。
当社の広帯域カプラでは、信号は常に青から赤または白から白へ伝搬します。一方、タップは常に青から白または白から赤へ伝搬します。下の図は左から右に向かってご覧ください。 狭帯域カプラにおける信号およびタップの伝搬経路については、カプラに付属するデータシートでご確認ください。
Coupling Ratio | Insertion Loss (Signal) | Insertion Loss (Tap) |
---|---|---|
90:10 | 0.6 dB | 10.1 dB |
50:50 | 3.2 dB | 3.2 dB |
特定の結合例
下の例では、2つの1300 nmの2x2広帯域光ファイバーカプラ(分岐比50:50および90:10)を用いて、AならびにBから信号を入力します。右の表にそれぞれのカプラの挿入損失の仕様を示しています(信号出力およびタップ出力)。 それぞれの出力パワー(dBm)は、入力パワーから信号出力またはタップ出力の挿入損失を差し引くことで求められます。
例1: 1本の入力光を分岐
この例では、下の図のように、カプラは1本の入力光を信号出力およびタップ出力に分岐しています。 下の表では、出力ポートは緑で色付けされています。
例2:2本の入力光からの信号を混合
この例では、カプラは信号Aおよび信号Bの2つの入力光を混合します。出力光には信号Aおよび信号Bが分岐比に応じて混合されています。 全てのポートは下の図に示されています。下の表では、出力ポートは緑で色付けされています。
例3:ポート3に設置したリフレクタからの戻り信号を結合
ここでは、1本の入力光を分岐するためにカプラを用いていますが、この例では下の図のようにポート3に100%のリフレクタを設置しています。 その結果、光は反射してカプラ内に戻り、再度分岐します。 これらのポートは下の図に示されています。 下の表では、最初の経路の出力ポートが緑で色づけされています。
シングルモード1x4ファイバーカプラのラインナップはこちらからご覧ください。
1x4溶融型光ファイバーカプラの主な仕様の定義
このタブでは、1x4カプラの主な仕様の定義について、説明します。1x4カプラは、50:50カプラを内部に3つ使用して作られており、入力信号を4つに均等分岐して出力します(下図参照)。使用していないポートには、後方反射を低減させるよう、適切な終端処理が施されています。1x4カプラは光コンバイナの用途にはお勧めしておりません。光を分岐する場合にのみお使いください。異なる波長の光を合波させる用途には、波長分割多重(WDM)カプラをご用意しております。1x4カプラのポートは下の図のような構成になっています。
過剰損失
過剰損失(dB)は、全入力パワーの全出力パワーに対する比で定義されます。
ここで、Pinputは入力パワー、Pport1+Pport2+Pport3+Pport4は全出力パワーです。全てのパワーは、mWで表しています。
光反射減衰量(ORL)/ダイレクティビティ
ダイレクティビティは、筐体内部の終端処理されたファイバ端で失われる光パワーに対する、入射光パワーの比で定義されます。以下の式を用いて計算し、dBで表します。
ここで、Pt1、Pt2、Pt3 は内部で終端処理されたファイバ端(上図参照)での光パワーです。 これらの光パワーはカプラの分岐部における後方反射によるもので、出力ポートにおける全出力光のロスを表します。均等分岐を行う1x4カプラの場合、ダイレクティビティは光反射減衰量(ORL)に等しくなります。
挿入損失
挿入損失は、カプラの1つの出力ポートからの出力パワーに対する、入力パワーの比として定義されます。挿入損失はデシベル(dB)で表します。一般に以下の式で定義されます。
ここで、Pinは入力パワー(mW)、Poutは出力パワー(mW)です。 1x4カプラの場合、挿入損失の仕様は各出力ポートに対して与えられます。例えば、Port 1やPort 2の挿入損失は以下の式で表されます。
挿入損失には分岐の影響(例:ほかの出力ポートに伝達される光)と過剰損失(例:カプラから失われる光)の両方が含まれます。各出力ポートごとに許容される最大挿入損失は規定されています。しかしそれぞれの出力ポートの挿入損失は、ほかの出力ポートに分岐した光と相関しているため、すべての出力ポートで同時に最大挿入損失に達することはありません。
挿入損失のdBm単位での計算
挿入損失は、dBmの単位で表した光パワーでも簡単に求められます。下の式はmWとdBmで表した光パワー間の関係です。
従って、dBで表す挿入損失は、以下の式で求められます。
分岐比
挿入損失(dB)はカプラの各分岐からの出力パワーに対する入力パワーの比ですが、ここでは波長の関数として表しています。これには分岐の影響と過剰損失値が含まれています。分岐比は挿入損失の測定値から算出します。分岐比(%)は各出力ポートからの光パワーの、すべての出力ポートからの光パワーの合計に対する比で、これも波長の関数として表しています。水の吸収帯域などのスペクトル特性については、どちらの分岐も等しく影響を受けるため、分岐比には影響が現れません。
均一性
均一性も、分岐比と同様に挿入損失の測定値から算出できます。均一性とは規定の帯域における挿入損失の変化量(dB)のことです。規定のスペクトル領域において、挿入損失がどれだけ均一に分布しているかを表す尺度です。
Posted Comments: | |
sbastien
 (posted 2017-12-14 06:08:01.86) In the Fiber Coupler Tutorials, in the 2x2 Coupling Examples, I think there is an error with the image of the 90:10 Coupling Ratio in the Example 2.
The Output A is defined twice as the Signal output, and the Output B is is defined twice as the Tap output. This do not match the arrows in the image, neither the logic defined previously in the tutorial. tcampbell
 (posted 2017-12-20 10:09:39.0) Hello, thank you for pointing out this error. We have updated the image with the proper labels. Feel free to contact us if you notice any more errors on our website. |