小型デジタルサーボコントローラー
- Digital Servo Controller with 100 kHz Bandwidth
- Servo Lock, Peak Lock, and Ramp Function Modes
- Ideal for Frequency Stabilizing Lasers
- Compact Housing with a Touchscreen Interface
Application Idea
A DSC1 Compact Digital Servo Controller can be used to lock an interferometer to the peak or side of a single interference fringe by taking an input from a photodiode measuring the interferogram. The output of the DSC1 controller can then be passed to a piezo driver controlling a dynamic arm of the interferometer.
DSC1
Compact Digital Servo Controller
(Power Supply Sold Separately)
Please Wait
Key Specificationsa | |
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System Bandwidth | DC to 100 kHz |
Input-to-Output -180 Degree Frequencyb | >58 kHz (60 kHz Typical) |
Nominal Input Sampling Resolution | 16 Bit |
Average Noise Floor | -120 dB V2/Hz |
Peak Noise Floor | -105 dB V2/Hz |
Input RMS Noisec | 0.3 mV |
Maximum Input Voltage | ±4 V |
Maximum Output Voltaged | ±4 V |
Dimensions (L x W x H) | 129.8 mm x 91.3 mm x 21.6 mm (5.11" x 3.59" x 0.85") |
用途例
- 単一周波数レーザまたは共振器のロック
- 干渉計の安定化
- フーリエ変換分光法
- 飽和吸光分光法
- ダイクロイック原子蒸気レーザーロック(DAVLL)
- アクティブビームポインティングの安定化
- レーザーパワーの安定化
- レーザの繰返し周波数ロック
- 外部共振器半導体レーザ(ECDL)
- ファイバ位相または光路長の安定化
- CW SHG共振器用のエンハンスメント共振器ロック
- AOMによる強度安定化(ノイズ除去)
- モーションコントロール
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デジタルサーボコントローラ用ソフトウェアは、コントローラDSC1用のシンプルで使いやすいインターフェイスです。入力電圧は周波数領域または時間領域で表示できます。
特長
- 最大帯域幅100 kHzの高速PID制御
- 周波数安定化レーザに対応したレーザーロックボックス
- USB Type-Cで駆動する幅130 mmの小型筐体
- タッチパネルからすべての機能にアクセス可能(詳細は「タッチパネル」 タブ参照)
- 3つのモード
- Servo Lock:規定の入力電圧にロック
- Peak Lock:ディザロック(ピークロッキング、Extremum Seeking制御、ロックイン安定化とも呼ばれます。)
- Ramp:出力電圧を設定範囲にわたりリニアに掃引
- デジタルサーボコントローラ用ソフトウェアを使用して信号の追加解析が可能(「ソフトウェア」タブからダウンロードいただけます)
- Servo Lockモード:入力電圧を時間領域または周波数領域で表示
- Peak Lockモード: 復調された入力電圧を時間領域または周波数領域で表示
- Rampモード:入力電圧をオシロスコープのようにランプ出力電圧の関数として表示
- デジタルサーボコントローラのフルコントロールに使用可能
小型デジタルサーボコントローラDSC1は、ユーザが選択した制御アルゴリズムによって決定されるリアルタイム電圧フィードバックを提供します。そのフィードバックにより、入力電圧信号に対して光学システムをロックまたは安定化するような設計となっています。帯域幅は100 kHz、入出力電圧範囲は±4 Vで、電流変調レーザ、ピエゾアクチュエータ、音響光学変調器(AOM)、電気光学変調器(EOM)、ファイバーストレッチャ、ボイスコイル、高速ステアリングミラーなどの高周波デバイスをアクティブにロックすることができます。
このコントローラには、補完的な機能を備えた3つのモード(Servo Lockモード、Peak Lockモード、Rampモード)があります。
Servo Lockモードを使用する場合、出力電圧をPID(比例、積分、微分)アルゴリズムで変調し、設定された入力電圧を維持することができます。アルゴリズムのすべてのパラメータは、特定のシステム用に調整することができます。例えば、フォトダイオードでパワーを測定し、フォトダイオードからの信号をサーボコントローラに入力し、サーボコントローラからの出力で音響光学変調器(AOM)、電気光学変調器、LN変調器などの強度変調器を制御することで、システムの出力強度を安定化させることができます。サーボコントローラのセットポイントを変更すると、システムはその新しいセットポイントに調整され、維持されます。 さらに、サーボコントローラのServo Lockモードを使用して、サイドフリンジロックでレーザの周波数を安定させることができます。サイドフリンジロックでは、ファブリペロー共振器からの共振ピーク、または原子や分子からの吸収ピークの途中にセットポイントを置くことができます。
Peak Lockモードでは、ディザロック(Extremum Seeking制御またはロックイン復調サーボとしても知られています)を使用して、入力電圧の局所的な最大値または最小値にシステムをロックします。これは、選択した周波数(ディザ周波数)でシステムを変調し、その信号をデジタル復調して、最小化できる誤差関数を作成することによって行われます。入力電圧の最大値または最小値にシステムをロックすることにより、システムの性能を厳密に制御することができます。例えば、レーザの周波数をアセチレンのような希薄ガス中の分子吸収線にロックしたり、レーザーパワーのドリフトや変動に対して固有の耐性を持つファブリペロー共振器の最大透過モードにロックすることができます。詳細については「レーザのロック」タブをご覧ください。
Rampモードでは、デジタルサーボコントローラは、設定した範囲にわたって出力電圧をリニアに掃引し、その結果得られた入力信号をオシロスコープのように電圧の関数として表示することができます。これにより、干渉計からのインターフェログラムのような特徴を解析できるだけでなく、印加電圧範囲におけるシステムの応答を直接確認することができます。例えば、サーボコントローラがガス吸収セルを通過するレーザの周波数を掃引すると、ガスの透過スペクトルを観察することができます。
使用例
デジタルサーボコントローラによって制御されるピエゾ駆動のミラーを備えた干渉計をロックするような用途では、インターフェログラムを測定するフォトダイオードからの信号がサーボコントローラに入力されます。サーボコントローラをServo Lockモードに設定すると、干渉計は干渉縞の1本のフリンジにおける正または負の傾きの任意の閾値にロックされます。サーボコントローラをPeak Lockモードに設定すると、干渉計はインターフェログラム内の1本の干渉縞のピークまたはバレーにロックされます。サーボコントローラをRampモードに設定すると、インターフェログラムを直接観察することができます。
タッチパネル
小型デジタルサーボコントローラDSC1のタッチパネル式インターフェイスは、3つのモードすべてでフル機能をご使用いただけます。これには、制御アルゴリズムの実行と停止、パラメータの変更、時間の関数としての入力電圧のグラフの表示が含まれます。詳細については、「タッチパネル」タブをご覧ください。
ソフトウェア
デジタルサーボコントローラDSC1は、デバイスの左側にあるUSB Type Mini-Bポートを使用してPCに接続し、ソフトウェアを用いて制御できます。ユーザーフレンドリーなインターフェイスで、制御スキームの開始と停止、制御パラメータの変更、ロックパフォーマンスをモニタするための制御を行うことができます。時間領域と周波数領域の両方でグラフ表示できます。CSLソフトウェアの詳細については「ソフトウェア」タブをご覧ください。
電源
デジタルサーボコントローラDSC1は、デバイス左側にあるUSB Type-Cポートから電源供給できます(「ピン配列」タブ参照)。USB Type-A - USB Type-Cの電源ケーブルが付属していますが(「発送品リスト」タブ参照)、電源は別売りです。
接地
低周波数での測定出力時に不規則な動作を引き起こす可能性がある接地ループを避けるようご注意ください。接地ループの経路が形成される可能性を避けるため、USB Type-Cの電源ポートはデバイスの接地面に接続して、USB Type-Mini-Bのデータポートはコントローラをコンピュータの接地面から絶縁するために浮かせます。コントローラDSC1を実験セットアップに統合する際の接地ループのリスクを軽減するための最良の方法については、マニュアルをご覧ください。
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小型デジタルサーボコントローラDSC1の寸法
Item # | DSC1 |
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Operating Specifications | |
System Bandwidth | DC to 100 kHz |
Input to Output -180 Degree Frequencya | >58 kHz (60 kHz Typical) |
Nominal Input Sampling Resolution | 16 Bit |
Nominal Output Resolution | 12 Bit |
Maximum Input Voltage | ±4 V |
Maximum Output Voltageb | ±4 V |
Maximum Input Current | 100 mA |
Average Noise Floor | -120 dB V2/Hz |
Peak Noise Floor | -105 dB V2/Hz |
Input RMS Noisec | 0.3 mV |
Input Sampling Frequency | 1 MHz |
PID Update Frequencyd | 500 kHz |
Peak Lock Modulation Frequency Range | 100 Hz - 100 kHz in 100 Hz Steps |
Input Termination | 1 MΩ |
Output Impedanceb | 220 Ω |
Dimensions | 129.8 mm x 91.3 mm x 21.6 mm (5.11" x 3.59" x 0.85") |
Electrical and Data Specifications | |
Supply Voltage from USB | 4.75 - 5.25 V DC |
Supply Current | 750 mA (Max) |
Temperature Rangee | 0 °C to 70 °C |
タッチパネル
小型デジタルサーボコントローラDSC1のタッチパネルにより、Servo Lock、Peak Lock、Rampの3つのモードのすべてのパラメータを制御できます。画面右下のSTOP/RUNスイッチ(トグルスイッチ)で出力の開始、停止を切り替えられます。さらに、グラフには入力電圧が時間の関数として表示され、Servo Lockモードではセットポイント電圧が表示されます。
タッチパネル上の略語一覧:
- PV:プロセス変数、ボルト
- SMB入力端子を介してコントローラDSC1の入力部に供給される電圧
- OV:出力変数、ボルト
- SMB出力端子を介してコントローラDSC1から出力される電圧
- S:セットポイント(V)
- O:DCオフセット(V)
- P:比例係数
- I:積分係数(1/sec)
- D:微分係数(sec)
- M:変調周波数乗数(×100Hz)(例えば、M=5の場合、変調周波数は500ヘルツ)
- A:振幅(V)
- Peakモード:正弦波変調電圧の振幅
- Rampモード:リニア電圧ランプの振幅、-Aから+Aまで
- K:Peak Lock積分係数
Servo Lockモード
Servo Lockモードを選択した場合、タッチパネルを使用してサーボロック機能のすべてのパラメータを設定することができます。画面下のP、I、Dボタンを押すと、PID計算への寄与が有効または無効になります。画面右の数値を押すと係数を変更できます。P、I、D係数の符号を変えると、正の勾配でのロックから負の勾配でのロックに切り替わり、その逆も可能です。セットポイントとDCオフセットは、画面上の数値を押すことで変更できます。金色の線は入力電圧、緑色の線はセットポイントを示しています。
Peak Lockモード
Peak Lockモードを選択した場合、タッチパネルを使用してピークロッキング機能のすべてのパラメータを設定することができます。画面右の数値を押すとM、O、A、Kの係数を変更できます。Kの符号を変えると、ピークロックからバレーロックに切り替わり、その逆も可能です。金色の線は復調された入力電圧を示し、これはロッキングアルゴリズムにおけるエラー信号を意味します。
Rampモード
Rampモードを選択した場合、タッチパネルを使用してRamp機能のすべてのパラメータを設定することができます。OとAの値を押すと、係数を変更することができます。金色の線は、ランプ出力電圧(右の例では-3 V~3 V)の関数としての入力電圧を示しています。タッチパネル上のグラフはダウンサンプリングされており、また、システム応答の高速な特性が表示されない場合があることにご注意ください。PCソフトウェアのインターフェイスではより精細および高速に見ることができます。
Recommended System Requirements | |
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Operating System | Windows® 10 (Recommended) or 11, 64 Bit Required |
Memory (RAM) | 4 GB Minimum, 8 GB Recommended |
Storage | 300 MB (Min) of Available Disk Space |
Screen Resolution | 1200 x 800 Pixels (Min) |
Interface | USB 2.0 |
小型デジタルサーボコントローラDSC1用ソフトウェア
デジタルサーボコントローラ用ソフトウェアは、コンピューターインターフェイスを介して基本的な機能を制御できるように設計されており、コントローラを使用するための解析ツールの拡張セットをご使用いただけます。例えば、GUIには入力電圧を周波数領域で表示するグラフが含まれています。さらに、データを.csvファイル形式でエクスポートすることもできます。カスタム開発用にPython SDKもご用意しています。
このソフトウェアでは、すべてのパラメータと設定を制御して、Servo、Peak、Rampの各モードでデバイスを使用できます。システム応答は、入力電圧、エラー信号、あるいはその両方として、時間領域または周波数領域で表示されます。詳細はマニュアルをご覧ください。
Servoタブでは、Servoモードでデバイスを操作することができますが、そこでは、デバイスに内蔵されているタッチパネルで行う制御や表示よりも高度な操作が可能です。このタブでは、プロセス変数を時間領域または周波数領域で表示することができます。システム応答は、プロセス変数、エラー信号、またはその両方として表示されます。エラー信号は、プロセス変数と設定値の差です。P、I、D係数を含むパラメータは、このインターフェイスから調整できます。 P、I、D係数の符号を変えると、正の勾配でのロックから負の勾配でのロックに切り替わり、その逆も可能です。
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デジタルサーボコントローラのソフトウェアインターフェイスをServoモードで使用すると、ロッキングパラメータを制御し、入力電圧を時間領域または周波数領域のいずれかで表示することができます。
Peakタブでは、内蔵のタッチパネルで操作するPeakモードと同じ機能をご使用いただけますが、さらに、システムからのリターン信号の特性も可視化できます。このタブに切り替えると、接続されたデバイスはPeakモードでの動作に切り替わります。正弦波変調電圧の振幅A、ピークロック積分係数Kなどのパラメータを変更できます。Kの符号を変更することで、コントローラが入力電圧の局所的なピークにロックするか、バレーにロックするかを決定します。
Servo Lockモードと同様に、復調された入力電圧は時間領域または周波数領域のいずれかで見ることができます。
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デジタルサーボコントローラのソフトウェアインターフェイスをPeakモードで使用すると、ロッキングパラメータを制御し、入力電圧を時間領域または周波数領域のいずれかで表示することができます。
Rampタブでは、内蔵のタッチパネルで操作するPeakモードと同じ機能をご使用いただけます。このタブに切り替えると、接続されたデバイスはRampモードになります。
入力信号はランプ電圧の関数としてプロットされ、オシロスコープと同じ方法でシステムの応答をモニターすることができます。X軸は出力ボルトとして設定されているため、これを利用して電圧範囲のどこでロックを設定するべきかを決定できます。
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Rampモードのデジタルサーボコントローラのソフトウェアインターフェイスは、電圧掃引の全パラメータを制御し、システムの応答を電圧の関数として表示することができるため、別途オシロスコープを用意する必要がありません。
デジタルサーボコントローラDSC1のピン配列
信号入出力部
SMBメス型
この入力部は、最大電圧±4 V、最大電流100 mAの信号に対応しています。内部で1 MΩのインピーダンスで終端されています。これよりも低い入力インピーダンスは、貫通型BNCターミネータを追加することで得られます。
電源入力部
USB Type C
USB Type C - Type A入力ケーブルが付属します。
PC接続
USB Mini-B コネクタ
USB Type Mini-B - Type-Aデーターケーブルが付属します。
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小型デジタルサーボコントローラDSC1の右側のパネル
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小型デジタルサーボコントローラDSC1の左側のパネル
Left Panel | |
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Call Out | Description |
1 | Power Input (USB Type-C) |
2 | Computer Connection (USB Type Mini-B) |
Right Panel | |
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Call Out | Description |
1 | Signal Input, ±4 V (SMB Female) |
2 | Signal Output, ±4 V (SMB Female) |
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小型デジタルサーボコントローラに含まれるコンポーネント
小型デジタルサーボコントローラに含まれるコンポーネント
レーザーロック
デジタルサーボコントローラを用いたレーザ周波数ロックの方法を3例ご紹介します。
レーザの周波数を原子や分子の吸収線にロックして安定化することができます。右図のセットアップでは、狭線幅レーザULN15TKからのレーザ光をアセチレンで満たした基準ガスセルに入射し、その透過光を測定しています。差分ディテクタ(PD)を用いて入射光からアセチレンセルの透過光を差し引いたスペクトルを観測することで、アセチレンの狭い遷移線に比例した信号が得られます。 フォトダイオードからの出力はデジタルサーボコントローラ(DSC)に送られ、ロックするための信号が生成されます。この信号はレーザの変調信号入力部(Modulation Input)に送られ、レーザ周波数は吸収信号のピークに対して固定された周波数を維持するように制御されます。デジタルサーボコントローラをPeak Lockモードで使用すると、レーザの周波数を吸収線のピークにロックすることができます。Servo Lockモードで使用すると、当社の周波数ロックレーザで使用されているサイドフリンジロックのように、吸収線の片側の任意の高さにロックできます。分子吸収線への周波数ロックの詳細については、周波数ロックレーザの製品紹介ページにおける「周波数のロック」タブをご覧ください。
フォトダイオード(PD)とデジタルサーボコントローラDSC1を用いてレーザの周波数を分子の吸収線にロックする制御システム。
ファブリペロー光共振器とデジタルサーボコントローラを用いて、レーザの周波数安定化と線幅の狭窄化行うことができます。右図のセットアップでは、単一周波数レーザからの光をPDH(Pound-Drever-Hall)システムおよびファブリペロー共振器に入射しています。PDHシステムは、共振器からの反射光を検出してエラー信号を生成します。このエラー信号には、共振器の透過スペクトルがピークとなる周波数で鋭くゼロクロスする信号が含まれるため、それを用いて周波数を強力にロックすることができます。PDHからのエラー信号は、Servo Lockモードに設定されたデジタルサーボコントローラ(DSC)に送られ、DSCはそれをもとに半導体レーザードライバへの制御信号を生成して変調信号入力部(Modulation Input)に入力します。この制御ループにより周波数はレーザ共振器の透過スペクトルのピークにロックされます。
PDHシステムとデジタルサーボコントローラDSC1を用いてレーザの周波数を光共振器にロックする制御システム。
ファブリペロー共振器を用いたレーザ間の周波数安定度の転写
ファブリペロー共振器(FP共振器)は、1台のレーザの周波数安定度を別のレーザに転写するためのトランスファー共振器として使用することもできます。右図のセットアップでは、原子(または分子)スペクトルに安定化された参照用レーザからの光をPDHシステムに入射し、その出射光をチューナブルなファブリペロー共振器に入射しています。PDH内のフォトダイオードからのエラー信号は、図の上側のデジタルサーボコントローラ(DSC)に送られ、ピエゾアクチュエータ(PZT Driver)を介してファブリペロー共振器の共振器長の制御に使用されます。これで共振器の共振周波数を参照用レーザの周波数にロックできます。この制御ループを閉じることで、共振器のすべての共振周波数は、参照用レーザで使用されている原子の吸収スペクトルに安定化されたことになります。
参照用レーザの周波数安定度を転写する従属レーザの周波数(波長)は、一般に参照用レーザの周波数と大きく異なります。このレーザ光をPDHで安定化されたファブリペロー共振器に入射し、その透過光をフォトダイオード(PD)で検出します。フォトダイオードの出力は図の下側のデジタルサーボコントローラ(DSC)に送られ、そのDSCは共振器の透過光が最大になるように従属レーザを制御します。この例では、サイドフリンジロックまたはピークロックのどちらの方法でも、従属レーザの周波数をPDHで安定化された共振器にロックできます。このように、従属レーザの光をPDHで安定化された共振器に入射し、その透過光が最大になるように制御することで、原子スペクトルに安定化された参照用レーザの周波数安定度を従属レーザに転写できます。
PDHシステム、チューニング可能なピエゾ(PZT)付きファブリペロー共振器(FP共振器)、フォトダイオード(PD)、2台のデジタルサーボコントローラDSC1を用いて、レーザ間で周波数安定度を転写する制御システム。
PIDの基礎
PID回路は制御ループフィードバックコントローラとしてよく用いられており、さまざまなサーボ回路として広く使われています。 PIDとは、それぞれ比例(Proportional)、積分(Integral)、微分(Derivative)の頭文字で、PID回路の3つの制御設定を表しています。 サーボ回路の役割は、システムを長時間所定値(目標値)に保持することです。 PID回路は、出力を目標値に保持するため、主に目標値と出力値の差をエラー信号として発生させることにより、システムをアクティブ制御しています。 3つの制御は、時間依存型エラー信号に関連しています; 端的に言うと、次のように考えることができます。 比例は出力値のエラー、積分は過去の累積エラー、微分はエラーの予測によっています。 各制御の結果は、その後回路の電流を調整する加重和にフィードされます(u(t))。 この出力は制御デバイスへ送られ、その値は回路へとフィードバックされ、回路の出力を目標値に到達させ保持するようアクティブ安定化の処理が行われます。 以下のブロック図は、PID回路の動作を簡略化したものです。 システム要求や要件によって、サーボ回路に1つもしくは複数の制御を使用することができます(例: P、I、PI、PD、PID)。
PID回路の適正な制御設定によって、最小限のオーバーシュート(目標値超過)とリンギング(目標値振動)で、素早い応答速度を実現できます。 ここで半導体レーザの温度安定化に用いられる温度サーボを例にとってみましょう。 PID回路は、最終的には熱電冷却素子(TEC)への電流を自動制御します(多くの場合FET回路上のゲート電圧の制御を通して行われます)。 この例では、電流は操作変数(MV)とします。 サーミスタは半導体レーザの温度モニタとして用いられ、サーミスタにかかる電圧を処理変数(PV)とします。 目標値(SP)の電圧は指定の温度に対応して設定します。 エラー信号e(t)は、SPとPVの差分を表します。 PIDコントローラはエラー信号を発生し、目標値に到達するようMVを変更させます。 例えばもし、e(t)の状態が半導体レーザの過熱を示せば、回路はTECを通してさらに電流を流すよう促します(比例制御)。 比例制御はe(t)に比例するので、半導体レーザを十分な速度で冷却できないかもしれません。 その場合、累積エラーから判断し、目標値へ到達させようと出力を調整し、回路はTECを介してさらに電流量を増加させます(積分制御)。 SPに到達すると(e(t)が0に近づくと)、回路はSPに達するのを見越してTECを通して電流を減少させます(微分制御)。
PID回路は適切な制御を保証するものではないことにご注意ください。 不適切なPID制御の設定は、回路を著しく振動させたり、制御の不安定を引き起こす可能性があります。 正しい動作は、PIDの適正な調整によって得られます。
PID理論
PID制御回路u(t)の出力を得る方程式は以下となります。
Kp= 比例利得
Ki = 積分利得
Kd =微分利得
e(t)=SP-PV(t)
ここから制御ユニットは数学的定義によって定義づけることができ、個々の制御についてもう少し詳しく考察することができます。 比例制御は、エラー信号に比例します。これは、回路が発生させたエラー信号に対する直接的な応答です。
より大きな比例利得は、より大きな変化をエラーへの応答にもたらし、コントローラがシステムの変化に応答できる速度に影響を与えます。 比例利得の値が高いと回路の応答を素早く行えますが、あまりに高い場合は、SP値に対して振動を引き起こしてしまいます。 値が低すぎる場合は、回路はシステム変更への応答性が悪くなります。
積分制御は、比例利得よりさらに1段階ステップが進み、エラー信号の大きさだけでなく、エラーの期間にも比例しています。
積分制御は、比例制御のみによる定常誤差を除去するとともに、回路の応答速度向上に非常に高い効果をもたらします。 積分制御は、未修正の過去のエラーを合計し、エラーにKiを乗算することで、積分応答を出します。 従ってわずかな継続エラーに対しても、大規模な集積積分応答を実現することが可能です。 しかしながら、積分制御の高速応答に起因して、高い利得値による目標値の著しい超過が生じ、振動と不安定性を引き起こします。 低すぎる場合、回路のシステム変更への応答速度が著しく低下します。
微分制御は、比例制御および積分制御から予測される目標値超過とリンギングを低減させます。 回路が時間の経過とともにどう変化しているか(エラー信号の微分から判断)素早く決定し、Kdを乗算することで微分応答を出します。
比例や積分制御と異なり、微分制御は回路の応答を減速させます。 そのため、積分制御や比例制御によって引き起こされた振動を抑制したり、超過を部分的に補うことができます。 高い利得値は回路の応答性にかなりの減速を生じさせ、ノイズや高周波振動が発生しやすくなります(回路が迅速に応答するには低速すぎるため)。 低すぎると、回路はSP値を超過する傾向にあります。しかしながら、SP値を著しく超過するケースは避けなければならず、そのためより高い微分利得(より低い比例利得とともに)が用いられます。 下記の図は、個々のパラメータの利得の増加による影響を示しています。
Parameter Increased | Rise Time | Overshoot | Settling Time | Steady-State Error | Stability |
---|---|---|---|---|---|
Kp | Decrease | Increase | Small Change | Decrease | Degrade |
Ki | Decrease | Increase | Increase | Decrease Significantly | Degrade |
Kd | Minor Decrease | Minor Decrease | Minor Decrease | No Effect | Improve (for small Kd) |
チューニング
通常、適切なサーボ制御を得るために、P、I、Dの利得値は個々で調整する必要があります。 どのシステムに対してもどの値にするべき、といった決まった一連のルールがあるわけではありませんが、基本手順に沿ったチューニングは各々のシステムや環境に合わせるのに役立ちます。 概して、PID回路はSP値の超過をわずかに起こし、その後SP値に到達させるため素早く減衰するようにします。
手動による利得設定のチューニングは、PID制御設定において最もシンプルな方法です。 しかしながらこの手順はアクティブで行われ(PIDコントローラがオンとなり、システムに正しく接続されている)、完全に設定するには多少の経験を要します。 PIDコントローラを手動で調整するには、まず始めに積分および微分利得を0に設定します。 出力に振動が現れるまで、比例利得を上げてください。 比例利得はこの値の約半分の値に設定します。 比例ゲイン利得設定後は、任意のオフセットがシステムに合わせた適切なタイムスケールに修正されるまで積分利得を上げてください。 上げすぎた場合は、SP値の著しい超過と回路の不安定性が引き起こされます。 積分利得が設定されたら、次に微分利得を上げてください。 微分利得はオーバーシュートを軽減し、システムを迅速にSP値へ収束させます。 微分利得を上げすぎると、大幅な超過が生じます(回路の応答が低速すぎるため)。利得設定を試行することにより、システムが変化へ素早く応答し、SP値の振動を効率よく減衰させるといった、PID回路の性能を最大限にすることができます。
Control Type | Kp | Ki | Kd |
---|---|---|---|
P | 0.50 Ku | - | - |
PI | 0.45 Ku | 1.2 Kp/Pu | - |
PID | 0.60 Ku | 2 Kp/Pu | KpPu/8 |
手動によるチューニングは非常に効果的なPID回路の設定方法ですが、ある程度の経験とPID回路および応答についての理解を必要とします。 PIDチューニングのためのZiegler-Nicholsメソッドは、もう少し体系的な手引きとなっています。 再び、積分利得と微分利得をゼロ値にセットしてください。 比例利得を回路が振動するまで上げます。 この利得をレベルKuと呼びます。 振動はPuの期間です。 個々の制御回路の各利得は右の表に示しています。
なお、デジタルサーボコントローラDSC1などのデバイスにZiegler-Nicholsメソッドを使用する場合、積分利得と微分利得をサンプルレートで正規化する必要があることにご留意ください。そのためには、表から求めた積分利得をHz単位のサンプルレートで割り、微分利得にHz単位のサンプルレートを乗じる必要があります。
Posted Comments: | |
Loic Morvan
 (posted 2024-11-15 10:13:24.647) Hi,
very nice product!
However we would be interested in external control.
Even a simple control through serials commands would be sufficient for most of our applications.
On a longer time scale, a python SDK would of course be interesting.
Best regards,
Loïc ksosnowski
 (posted 2024-11-18 12:00:40.0) Hello Loïc, thanks for reaching out to us. We are planning to release a Python SDK soon, though this was still in development when DSC1 released. I have reached out directly to discuss this further. Diogo Almeda
 (posted 2024-10-30 14:03:04.39) Hello,
I work with coherent ultrafast spectroscopy and my experiment currently uses 3 servo loops for optical paths’ length stabilization and control. I noticed Thorlbas recently started selling a compact PID servo solution (DSC1) that could be a very good alternative to the hard-to-service loops I built myself. The complication involving my setup is that I need to modify the optical paths and take data at a very specific order and that would require an API, SDK or external control from you so I could, at least, turn on/off the DSC1 lock on the fly.
As far as I could check in the manual, that is not currently possible. So I would like to ask if there is any short-term plans for LabView/Python support release.
Best,
Diogo ksosnowski
 (posted 2024-11-08 01:07:01.0) Hello Diogo, and thanks for reaching out to us. We are planning to release a Python SDK soon, though this was still in development when DSC1 released last month. We do not have plans for a LabView SDK currently however I have shared your interest with our software development team for future considerations. I have reached out directly to discuss your application in further detail. |
- 最大帯域幅100 kHzの高速PID制御
- 周波数安定化レーザに対応
当社の小型デジタルサーボコントローラDSC1は、ユーザが選択した制御アルゴリズムによって決定されるリアルタイム電圧フィードバックにより、入力電圧信号に対して光学システムをロックまたは安定化することができます。このコントローラには、補完的な機能を備えた3つのモード(Servo Lockモード、Peak Lockモード、Rampモード)があります。Servo Lockモードでは、入力電圧の仕様値を一定に保つようにシステムをロックします。Peak Locモードでは、入力電圧の局所的なピークまたはバレーにシステムをロックします。Rampモードでは、システムの応答を観察するために、設定範囲にわたって出力電圧をリニアに掃引します。
コントローラDSC1には、SMB - BNC同軸ケーブルPAA248(長さ1.22 mm) 2本、USB 2.0 Type-A - Mini-Bデータケーブル USB-AB-721本、USB Type-A - USB Type-C電源ケーブル(長さ1 m) 1本が付属しています。電源は別売りです。
- DS5 Power Supply Provides Power From a Wall Outlet
- CPS1 Battery Pack Allows for Lower Noise with an 8 Hour or Greater Run Time
The DS5 Regulated Power Supply or CPS1 Battery Pack is recommended for powering the DSC1 controller. In applications where runtimes of greater than 8 hours are required, the DS5 regulated power supply is the preferred option. When optimal noise performance is desired, the CPS1 battery pack provides cleaner power for a lower noise floor.
DS5 Power Supply
The DS5 power supply is a 5 V, 2 A regulated power supply with a USB Type-A female port that can be used with any USB-compatible device that accepts a 5 VDC output. A region-specific adapter plug is shipped with the DS5 power supply unit based on your location.
CPS1 Battery Pack
In applications where lower noise is required, the CPS1 battery pack offers improved performance in exchange for limited run time. With the CPS1 battery pack fully charged and in good health, the DSC1 controller can operate for 8 hours or more without recharging. The CPS1 battery pack outputs 5 VDC at up to 2 A through a USB Type-A female port and offers 10 000 mAh of capacity. The pack includes a USB Type-A to Micro-B cable for charging. To activate the battery, simply push the power button once. The pack may be charged using standard 5 V USB chargers for portable devices or using a computer USB port. While the battery pack is charging, it can still supply power to an attached device.