UV溶融石英(UVFS)製ベストフォーム球面レンズ、Ø25.4 mm(Ø1インチ)、ARコーティング: 245~400 nm


  • Best Possible Performance from a Spherical Singlet
  • Optimized for Infinite Conjugates
  • Diffraction-Limited Performance at Small Input Diameters
  • AR Coated for 245 - 400 nm

 

LBF41200-UV

LBF41040-UV

LBF41050-UV

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Please Wait
Common Specifications
Lens ShapeConvex / Convex
MaterialUV-Grade Fused Silicaa
Design Wavelength587.6 nm
AR Coating Range245 - 400 nm
Average ReflectancebRavg < 0.5%
Index of Refraction1.458 @ Design Wavelength
Centration≤ 3 arcmin
Clear Aperture> 90% of Diameter
Diameter Tolerance+0.0 mm / -0.1 mm
Thickness Tolerance±0.1 mm
Focal Length Tolerance±1%
Surface Quality20-10 Scratch-Dig
Spherical Surface Powerc≤ 3λ/2d
Spherical Surface
Irregularity
≤ λ/4d
Damage Thresholde5 J/cm2 (355 nm, 10 ns, 10 Hz, Ø0.350 mm)
  • リンクをクリックすると基板材料の仕様をご覧いただけます。
  • 光を入射角0°で入射したときの、ARコーティング波長全域での1面当たりの反射率。
  • Spherical Surface Power(球面度)は、平面光学素子における表面の平面度(Surface Flatness)と同様に、曲率を有する光学素子の表面と校正された基準面との間の偏差を表します。この仕様は一般に「Surface Fit」とも表記されます。
  • λ = 633 nmにおいて
  • 詳細は「損傷閾値」タブをご参照ください。
Zemaxファイル
下の型番横の赤い資料アイコンをクリックすると、各製品のZemaxファイルをダウンロードできます。また、こちらからは当社の全てのZemaxファイルを一括してダウンロードできます。

特長

  • 球面単レンズとしては最良の性能
  • ARコーティングの波長範囲:245~400 nm
  • UVグレード溶融石英(UVFS)製
  • 焦点距離:40.0 mm~200.0 mm
  • 径の小さな入射光に対して回折限界性能

UVグレード溶融石英(UVFS)製ベストフォームレンズは、球面を利用してレンズを形成しつつ、球面収差を最小限に抑えるように設計されています。これらのレンズは一般的に、複レンズを使用できないような、ハイパワー光を無限共役比で使用するアプリケーションなどで使用されます。このページでご紹介するベストフォームレンズは、レンズの各表面での光の反射を低減するために、245~400 nm のARコーティングが施されています。ベストフォームレンズのラインナップについては下の表をご覧ください。

UVグレード溶融石英は、深紫外域で優れた透過率を有し、レーザ誘起蛍光がほとんど発生しないため(193 nmで測定)、紫外(UV)域から近赤外(NIR)域までの用途にお使いいただけます。また、N-BK7と比較すると、UVグレード溶融石英は均一性が高く、熱膨張係数が小さい材料です。

球面レンズでは、焦点距離が与えられたときに、それを実現するための前面と背面の曲率半径の組合せは複数存在します。表面曲率の組合せによって、それぞれのレンズによる収差の大きさは異なります。「ベストフォーム」レンズの各面の曲率半径は、レンズによる球面収差およびコマ収差が最小になるように選択されており、無限共役比での使用に最適化されています。この工程のためにベストフォームレンズは平凸レンズや両凸レンズより高額になりますが、それでもCNC研磨非球面レンズと比較するとかなり低価格な選択肢になります。レンズは最小スポット径に対して最適化されているため、理論的には入射光のビーム径が小さいほど回折限界性能に近付きます(詳細は右下表参照)。

集光用として最良の性能を得るには、曲率半径の小さい曲面(より急峻な曲面)をコリーメート光源側に向けて下さい。

Optic Cleaning Tutorial
Item #Input Diameter for
Diffraction Limited
Performance @ 633 nm
Input Diameter for
Diffraction Limited
Performance @ 1064 nm
LBF41040-UV5.0 mm5.1 mm
LBF41050-UV6.3 mm6.4 mm
LBF41075-UV9.4 mm9.6 mm
LBF41100-UV12.5 mm12.7 mm
LBF41150-UV18.8 mm19.1 mm
LBF41200-UV22.9 mma22.9 mma
  • この値はレンズの有効径によって制限されています。
Optical Coatings and Substrates
Lens Tutorial
Quick Links to Other Spherical Singlets
Plano-ConvexBi-ConvexBest FormPlano-ConcaveBi-ConcavePositive MeniscusNegative Meniscus

下のグラフは、このページでご紹介しているレンズに施されているUVコーティングの反射率を示しています。当社の多層ARコーティングは、仕様の波長範囲における1面あたりの平均反射率が0.5%未満であり、0°~30°の入射角(AOI)で優れた性能を発揮します。 30°よりも大きい入射角で使用する場合は、45°の入射角に最適化されたカスタムコーティングをご検討ください。このコーティングは入射角25°~52°で使用することを推奨しています。詳細は当社までお問い合わせください。

UV AR Coating
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青い網掛け領域は、最適な性能が得られる仕様波長範囲245~400 nmを示しています。
UVFS Transmission
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この透過率曲線は、厚さ10 mmのコーティングされていないUVグレード溶融石英の表面に、光を垂直入射したときに得られたものです。この透過率の測定値には表面反射の影響も含まれています。

Thorlabs' Standard Broadband Antireflection Coatings

Damage Threshold Specifications
Coating Designation
(Item # Suffix)
Damage Threshold
-UV5 J/cm2 (355 nm, 10 ns, 10 Hz, Ø0.350 mm)

当社のUVコーティング付きUVグレード溶融石英(UVFS)レンズの損傷閾値データ

右の仕様は当社のUVコーティング付きUVグレード溶融石英(UVFS)レンズの測定値です。損傷閾値の仕様はコーティングの種類が同じであればレンズのサイズにかかわらず同じです。

 

レーザによる損傷閾値について

このチュートリアルでは、レーザ損傷閾値がどのように測定され、使用する用途に適切な光学素子の決定にその値をどのようにご利用いただけるかを総括しています。お客様のアプリケーションにおいて、光学素子を選択する際、光学素子のレーザによる損傷閾値(Laser Induced Damage Threshold :LIDT)を知ることが重要です。光学素子のLIDTはお客様が使用するレーザの種類に大きく依存します。連続(CW)レーザは、通常、吸収(コーティングまたは基板における)によって発生する熱によって損傷を引き起こします。一方、パルスレーザは熱的損傷が起こる前に、光学素子の格子構造から電子が引き剥がされることによって損傷を受けます。ここで示すガイドラインは、室温で新品の光学素子を前提としています(つまり、スクラッチ&ディグ仕様内、表面の汚染がないなど)。光学素子の表面に塵などの粒子が付くと、低い閾値で損傷を受ける可能性があります。そのため、光学素子の表面をきれいで埃のない状態に保つことをお勧めします。光学素子のクリーニングについては「光学素子クリーニングチュートリアル」をご参照ください。

テスト方法

当社のLIDTテストは、ISO/DIS 11254およびISO 21254に準拠しています。

初めに、低パワー/エネルギのビームを光学素子に入射します。その光学素子の10ヶ所に1回ずつ、設定した時間(CW)またはパルス数(決められたprf)、レーザを照射します。レーザを照射した後、倍率約100倍の顕微鏡を用いた検査で確認し、すべての確認できる損傷を調べます。特定のパワー/エネルギで損傷のあった場所の数を記録します。次に、そのパワー/エネルギを増やすか減らすかして、光学素子にさらに10ヶ所レーザを照射します。このプロセスを損傷が観測されるまで繰返します。損傷閾値は、光学素子が損傷に耐える、損傷が起こらない最大のパワー/エネルギになります。1つのミラーBB1-E02の試験結果は以下のようなヒストグラムになります。

LIDT metallic mirror
上の写真はアルミニウムをコーティングしたミラーでLIDTテストを終えたものです。このテストは、損傷を受ける前のレーザのエネルギは0.43 J/cm2 (1064 nm、10 ns pulse、 10 Hz、Ø1.000 mm)でした。
LIDT BB1-E02
Example Test Data
Fluence# of Tested LocationsLocations with DamageLocations Without Damage
1.50 J/cm210010
1.75 J/cm210010
2.00 J/cm210010
2.25 J/cm21019
3.00 J/cm21019
5.00 J/cm21091

試験結果によれば、ミラーの損傷閾値は 2.00 J/cm2 (532 nm、10 ns pulse、10 Hz、 Ø0.803 mm)でした。尚、汚れや汚染によって光学素子の損傷閾値は大幅に低減されるため、こちらの試験はクリーンな光学素子で行っています。また、特定のロットのコーティングに対してのみ試験を行った結果ではありますが、当社の損傷閾値の仕様は様々な因子を考慮して、実測した値よりも低めに設定されており、全てのコーティングロットに対して適用されています。

CWレーザと長パルスレーザ

光学素子がCWレーザによって損傷を受けるのは、通常バルク材料がレーザのエネルギを吸収することによって引き起こされる溶解、あるいはAR(反射防止)コーティングのダメージによるものです[1]。1 µsを超える長いパルスレーザについてLIDTを論じる時は、CWレーザと同様に扱うことができます。

パルス長が1 nsと1 µs の間のときは、損傷は吸収、もしくは絶縁破壊のどちらかで発生していると考えることができます(CWとパルスのLIDT両方を調べなければなりません)。吸収は光学素子の固有特性によるものか、表面の不均一性によるものかのどちらかによって起こります。従って、LIDTは製造元の仕様以上の表面の質を有する光学素子にのみ有効です。多くの光学素子は、ハイパワーCWレーザで扱うことができる一方、アクロマティック複レンズのような接合レンズやNDフィルタのような高吸収光学素子は低いCWレーザ損傷閾値になる傾向にあります。このような低い損傷閾値は接着剤や金属コーティングにおける吸収や散乱によるものです。

Linear Power Density Scaling

線形パワー密度におけるLIDTに対するパルス長とスポットサイズ。長パルス~CWでは線形パワー密度はスポットサイズにかかわらず一定です。 このグラフの出典は[1]です。

Intensity Distribution

繰返し周波数(prf)の高いパルスレーザは、光学素子に熱的損傷も引き起こします。この場合は吸収や熱拡散率のような因子が深く関係しており、残念ながらprfの高いレーザが熱的影響によって光学素子に損傷を引き起こす場合の信頼性のあるLIDTを求める方法は確立されておりません。prfの大きいビームでは、平均出力およびピークパワーの両方を等しいCW出力と比較する必要があります。また、非常に透過率の高い材料では、prfが上昇してもLIDTの減少は皆無かそれに近くなります。

ある光学素子の固有のCWレーザの損傷閾値を使う場合には、以下のことを知る必要があります。

  1. レーザの波長
  2. ビーム径(1/e2)
  3. ビームのおおよその強度プロファイル(ガウシアン型など)
  4. レーザのパワー密度(トータルパワーをビームの強度が1/e2の範囲の面積で割ったもの)

ビームのパワー密度はW/cmの単位で計算します。この条件下では、出力密度はスポットサイズとは無関係になります。つまり、スポットサイズの変化に合わせてLIDTを計算し直す必要がありません(右グラフ参照)。平均線形パワー密度は、下の計算式で算出できます。

ここでは、ビーム強度プロファイルは一定であると仮定しています。次に、ビームがホットスポット、または他の不均一な強度プロファイルの場合を考慮して、おおよその最大パワー密度を計算する必要があります。ご参考までに、ガウシアンビームのときはビームの強度が1/e2の2倍のパワー密度を有します(右下図参照)。

次に、光学素子のLIDTの仕様の最大パワー密度を比較しましょう。損傷閾値の測定波長が光学素子に使用する波長と異なっている場合には、その損傷閾値は適宜補正が必要です。おおよその目安として参考にできるのは、損傷閾値は波長に対して比例関係であるということです。短い波長で使う場合、損傷閾値は低下します(つまり、1310 nmで10 W/cmのLIDTならば、655 nmでは5 W/cmと見積もります)。

CW Wavelength Scaling

この目安は一般的な傾向ですが、LIDTと波長の関係を定量的に示すものではありません。例えば、CW用途では、損傷はコーティングや基板の吸収によってより大きく変化し、必ずしも一般的な傾向通りとはなりません。上記の傾向はLIDT値の目安として参考にしていただけますが、LIDTの仕様波長と異なる場合には当社までお問い合わせください。パワー密度が光学素子の補正済みLIDTよりも小さい場合、この光学素子は目的の用途にご使用いただけます。

当社のウェブ上の損傷閾値の仕様と我々が行った実際の実験の値の間にはある程度の差があります。これはロット間の違いによって発生する誤差を許容するためです。ご要求に応じて、当社は個別の情報やテスト結果の証明書を発行することもできます。損傷解析は、類似した光学素子を用いて行います(お客様の光学素子には損傷は与えません)。試験の費用や所要時間などの詳細は、当社までお問い合わせください。

パルスレーザ

先に述べたように、通常、パルスレーザはCWレーザとは異なるタイプの損傷を光学素子に引き起こします。パルスレーザは損傷を与えるほど光学素子を加熱しませんが、光学素子から電子をひきはがします。残念ながら、お客様のレーザに対して光学素子のLIDTの仕様を照らし合わせることは非常に困難です。パルスレーザのパルス幅に起因する光学素子の損傷には、複数の形態があります。以下の表中のハイライトされた列は当社の仕様のLIDT値が当てはまるパルス幅に対する概要です。

パルス幅が10-9 sより短いパルスについては、当社の仕様のLIDT値と比較することは困難です。この超短パルスでは、多光子アバランシェ電離などのさまざまなメカニクスが損傷機構の主流になります[2]。対照的に、パルス幅が10-7 sと10-4 sの間のパルスは絶縁破壊、または熱的影響により光学素子の損傷を引き起こすと考えられます。これは、光学素子がお客様の用途に適しているかどうかを決定するために、レーザービームに対してCWとパルス両方による損傷閾値を参照しなくてはならないということです。

Pulse Durationt < 10-9 s10-9 < t < 10-7 s10-7 < t < 10-4 st > 10-4 s
Damage MechanismAvalanche IonizationDielectric BreakdownDielectric Breakdown or ThermalThermal
Relevant Damage SpecificationNo Comparison (See Above)PulsedPulsed and CWCW

お客様のパルスレーザに対してLIDTを比較する際は、以下のことを確認いただくことが重要です。

Energy Density Scaling

エネルギ密度におけるLIDTに対するパルス長&スポットサイズ。短パルスでは、エネルギ密度はスポットサイズにかかわらず一定です。このグラフの出典は[1]です。

  1. レーザの波長
  2. ビームのエネルギ密度(トータルエネルギをビームの強度が1/e2の範囲の面積で割ったもの)
  3. レーザのパルス幅
  4. パルスの繰返周波数(prf)
  5. 実際に使用するビーム径(1/e2 )
  6. ビームのおおよその強度プロファイル(ガウシアン型など)

ビームのエネルギ密度はJ/cm2の単位で計算します。右のグラフは、短パルス光源には、エネルギ密度が適した測定量であることを示しています。この条件下では、エネルギ密度はスポットサイズとは無関係になります。つまり、スポットサイズの変化に合わせてLIDTを計算し直す必要がありません。ここでは、ビーム強度プロファイルは一定であると仮定しています。ここで、ビームがホットスポット、または他の不均一な強度プロファイルの場合を考慮して、おおよその最大パワー密度を計算する必要があります。ご参考までに、ガウシアンビームのときは一般にビームの強度が1/e2のときの2倍のパワー密度を有します。

次に、光学素子のLIDTの仕様と最大エネルギ密度を比較しましょう。損傷閾値の測定波長が光学素子に使用する波長と異なっている場合には、その損傷閾値は適宜補正が必要です[3]。経験則から、損傷閾値は波長に対して以下のような平方根の関係であるということです。短い波長で使う場合、損傷閾値は低下します(例えば、1064 nmで 1 J/cm2のLIDTならば、532 nmでは0.7 J/cm2と計算されます)。

Pulse Wavelength Scaling

 

波長を補正したエネルギ密度を得ました。これを以下のステップで使用します。

ビーム径は損傷閾値を比較する時にも重要です。LIDTがJ/cm2の単位で表される場合、スポットサイズとは無関係になりますが、ビームサイズが大きい場合、LIDTの不一致を引き起こす原因でもある不具合が、より明らかになる傾向があります[4]。ここで示されているデータでは、LIDTの測定には<1 mmのビーム径が用いられています。ビーム径が5 mmよりも大きい場合、前述のようにビームのサイズが大きいほど不具合の影響が大きくなるため、LIDT (J/cm2)はビーム径とは無関係にはなりません。

次に、パルス幅について補正します。パルス幅が長くなるほど、より大きなエネルギに光学素子は耐えることができます。パルス幅が1~100 nsの場合の近似式は以下のようになります。

Pulse Length Scaling

お客様のレーザのパルス幅をもとに、光学素子の補正されたLIDTを計算するのにこの計算式を使います。お客様の最大エネルギ密度が、この補正したエネルギ密度よりも小さい場合、その光学素子はお客様の用途でご使用いただけます。ご注意いただきたい点は、10-9 s と10-7 sの間のパルスにのみこの計算が使えることです。パルス幅が10-7 sと10-4 sの間の場合には、CWのLIDTも調べなければなりません。

当社のウェブ上の損傷閾値の仕様と我々が行った実際の実験の値の間にはある程度の差があります。これはロット間の違いによって発生する誤差を許容するためです。ご要求に応じて、当社では個別のテスト情報やテスト結果の証明書を発行することも可能です。詳細は、当社までお問い合わせください。


[1] R. M. Wood, Optics and Laser Tech. 29, 517 (1998).
[2] Roger M. Wood, Laser-Induced Damage of Optical Materials (Institute of Physics Publishing, Philadelphia, PA, 2003).
[3] C. W. Carr et al., Phys. Rev. Lett. 91, 127402 (2003).
[4] N. Bloembergen, Appl. Opt. 12, 661 (1973).

レーザーシステムが光学素子に損傷を引き起こすかどうか判断するプロセスを説明するために、レーザによって引き起こされる損傷閾値(LIDT)の計算例をいくつかご紹介します。同様の計算を実行したい場合には、右のボタンをクリックしてください。計算ができるスプレッドシートをダウンロードいただけます。ご使用の際には光学素子のLIDTの値と、レーザーシステムの関連パラメータを緑の枠内に入力してください。スプレッドシートでCWならびにパルスの線形パワー密度、ならびにパルスのエネルギ密度を計算できます。これらの値はスケーリング則に基づいて、光学素子のLIDTの調整スケール値を計算するのに用いられます。計算式はガウシアンビームのプロファイルを想定しているため、ほかのビーム形状(均一ビームなど)には補正係数を導入する必要があります。 LIDTのスケーリング則は経験則に基づいていますので、確度は保証されません。なお、光学素子やコーティングに吸収があると、スペクトル領域によってLIDTが著しく低くなる場合があります。LIDTはパルス幅が1ナノ秒(ns)未満の超短パルスには有効ではありません。

Intensity Distribution
ガウシアンビームの最大強度は均一ビームの約2倍です。

CWレーザの例
波長1319 nm、ビーム径(1/e2)10 mm、パワー0.5 Wのガウシアンビームを生成するCWレーザーシステム想定します。このビームの平均線形パワー密度は、全パワーをビーム径で単純に割ると0.5 W/cmとなります。

CW Wavelength Scaling

しかし、ガウシアンビームの最大パワー密度は均一ビームの約2倍です(右のグラフ参照)。従って、システムのより正確な最大線形パワー密度は1 W/cmとなります。

アクロマティック複レンズAC127-030-CのCW LIDTは、1550 nmでテストされて350 W/cmとされています。CWの損傷閾値は通常レーザ光源の波長に直接スケーリングするため、LIDTの調整値は以下のように求められます。

CW Wavelength Scaling

LIDTの調整値は350 W/cm x (1319 nm / 1550 nm) = 298 W/cmと得られ、計算したレーザーシステムのパワー密度よりも大幅に高いため、この複レンズをこの用途に使用しても安全です。

ナノ秒パルスレーザの例:パルス幅が異なる場合のスケーリング
出力が繰返し周波数10 Hz、波長355 nm、エネルギ1 J、パルス幅2 ns、ビーム径(1/e2)1.9 cmのガウシアンビームであるNd:YAGパルスレーザーシステムを想定します。各パルスの平均エネルギ密度は、パルスエネルギをビームの断面積で割って求めます。

Pulse Energy Density

上で説明したように、ガウシアンビームの最大エネルギ密度は平均エネルギ密度の約2倍です。よって、このビームの最大エネルギ密度は約0.7 J/cm2です。

このビームのエネルギ密度を、広帯域誘電体ミラーBB1-E01のLIDT 1 J/cm2、そしてNd:YAGレーザーラインミラーNB1-K08のLIDT 3.5 J/cm2と比較します。LIDTの値は両方とも、波長355 nm、パルス幅10 ns、繰返し周波数10 Hzのレーザで計測しました。従って、より短いパルス幅に対する調整を行う必要があります。 1つ前のタブで説明したようにナノ秒パルスシステムのLIDTは、パルス幅の平方根にスケーリングします:

Pulse Length Scaling

この調整係数により広帯域誘電体ミラーBB1-E01のLIDTは0.45 J/cm2に、Nd:YAGレーザーラインミラーのLIDTは1.6 J/cm2になり、これらをビームの最大エネルギ密度0.7 J/cm2と比較します。広帯域ミラーはレーザによって損傷を受ける可能性があり、より特化されたレーザーラインミラーがこのシステムには適していることが分かります。

ナノ秒パルスレーザの例:波長が異なる場合のスケーリング
波長1064 nm、繰返し周波数2.5 Hz、パルスエネルギ100 mJ、パルス幅10 ns、ビーム径(1/e2)16 mmのレーザ光を、NDフィルタで減衰させるようなパルスレーザーシステムを想定します。これらの数値からガウシアン出力における最大エネルギ密度は0.1 J/cm2になります。Ø25 mm、OD 1.0の反射型NDフィルタ NDUV10Aの損傷閾値は355 nm、10 nsのパルスにおいて0.05 J/cm2で、同様の吸収型フィルタ NE10Aの損傷閾値は532 nm、10 nsのパルスにおいて10 J/cm2です。1つ前のタブで説明したように光学素子のLIDTは、ナノ秒パルス領域では波長の平方根にスケーリングします。

Pulse Wavelength Scaling

スケーリングによりLIDTの調整値は反射型フィルタでは0.08 J/cm2、吸収型フィルタでは14 J/cm2となります。このケースでは吸収型フィルタが光学損傷を防ぐには適した選択肢となります。

マイクロ秒パルスレーザの例
パルス幅1 µs、パルスエネルギ150 µJ、繰返し周波数50 kHzで、結果的にデューティーサイクルが5%になるレーザーシステムについて考えてみます。このシステムはCWとパルスレーザの間の領域にあり、どちらのメカニズムでも光学素子に損傷を招く可能性があります。レーザーシステムの安全な動作のためにはCWとパルス両方のLIDTをレーザーシステムの特性と比較する必要があります。

この比較的長いパルス幅のレーザが、波長980 nm、ビーム径(1/e2)12.7 mmのガウシアンビームであった場合、線形パワー密度は5.9 W/cm、1パルスのエネルギ密度は1.2 x 10-4 J/cm2となります。これをポリマーゼロオーダ1/4波長板WPQ10E-980のLIDTと比較してみます。CW放射に対するLIDTは810 nmで5 W/cm、10 nsパルスのLIDTは810 nmで5 J/cm2です。前述同様、光学素子のCW LIDTはレーザ波長と線形にスケーリングするので、CWの調整値は980 nmで6 W/cmとなります。一方でパルスのLIDTはレーザ波長の平方根とパルス幅の平方根にスケーリングしますので、1 µsパルスの980 nmでの調整値は55 J/cm2です。光学素子のパルスのLIDTはパルスレーザのエネルギ密度よりはるかに大きいので、個々のパルスが波長板を損傷することはありません。しかしレーザの平均線形パワー密度が大きいため、高出力CWビームのように光学素子に熱的損傷を引き起こす可能性があります。

CXY1A in 30 mm Cage System
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30 mmケージシステムに取付けられた移動マウントCXY1Aおよび
SM1レンズチューブ
Threaded Mounting Adapter
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XY移動マウントST1XY-S(/M)に取付けられたØ25.4 mm光学素子

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固定式レンズマウントLMR1(/M)に取付けられたØ25.4 mmレンズ

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移動レンズマウントLM2XY(/M)に取付けられたØ50.8 mmレンズ
Recommended Mounting Options for Thorlabs Lenses
Item #Mounts for Ø2 mm to Ø10 mm Optics
ImperialMetric
(Various)Fixed Lens Mounts and Mini-Series Fixed Lens Mounts for Small Optics, Ø5 mm to Ø10 mm
(Various)Small Optic Adapters for Use with Standard Fixed Lens Mounts, Ø2 mm to Ø10 mm
Item #Mounts for Ø1/2" (Ø12.7 mm) Optics
ImperialMetric
LMR05LMR05/MFixed Lens Mount for Ø1/2" Optics
MLH05MLH05/MMini-Series Fixed Lens Mount for Ø1/2" Optics
LM05XYLM05XY/MTranslating Lens Mount for Ø1/2" Optics
SCP0516 mm Cage System, XY Translation Mount for Ø1/2" Optics
(Various)Ø1/2" Lens Tubes,
Optional SM05RRC Retaining Ring for High-Curvature Lenses (See Below)
Item #Mounts for Ø1" (Ø25.4 mm) Optics
ImperialMetric
LMR1LMR1/MFixed Lens Mount for Ø1" Optics
LM1XYLM1XY/MTranslating Lens Mount for Ø1" Optics
ST1XY-SST1XY-S/MTranslating Lens Mount with Micrometer Drives (Other Drives Available)
CXY1A30 mm Cage System, XY Translation Mount for Ø1" Optics
(Various)Ø1" Lens Tubes,
Optional SM1RRC Retaining Ring for High-Curvature Lenses (See Below)
Item #Mount for Ø1.5" Optics
ImperialMetric
LMR1.5LMR1.5/MFixed Lens Mount for Ø1.5" Optics
(Various)Ø1.5" Lens Tubes,
Optional SM1.5RR Retaining Ring for Ø1.5" Lens Tubes and Mounts
Item #Mounts for Ø2" (Ø50.8 mm) Optics
ImperialMetric
LMR2LMR2/MFixed Lens Mount for Ø2" Optics
LM2XYLM2XY/MTranslating Lens Mount for Ø2" Optics
CXY260 mm Cage System, XY Translation Mount for Ø2" Optics
(Various)Ø2" Lens Tubes,
Optional SM2RRC Retaining Ring for High-Curvature Lenses (See Below)
Item #Adjustable Optic Mounts
ImperialMetric
LH1LH1/MAdjustable Mount for Ø0.28" (Ø7.1 mm) to Ø1.80" (Ø45.7 mm) Optics
LH2LH2/MAdjustable Mount for Ø0.77" (Ø19.6 mm) to Ø2.28" (Ø57.9 mm) Optics
VG100VG100/MAdjustable Clamp for Ø0.5" (Ø13 mm) to Ø3.5" (Ø89 mm) Optics
SCL03SCL03/MSelf-Centering Mount for Ø0.15" (Ø3.8 mm) to Ø1.77" (Ø45.0 mm) Optics
SCL04SCL04/MSelf-Centering Mount for Ø0.15" (Ø3.8 mm) to Ø3.00" (Ø76.2 mm) Optics
LH160CALH160CA/MAdjustable Mount for 60 mm Cage Systems,
Ø0.50" (Ø13 mm) to Ø2.00" (Ø50.8 mm) Optics
SCL60CASCL60C/MSelf-Centering Mount for 60 mm Cage Systems,
Ø0.15" (Ø3.8 mm) to Ø1.77" (Ø45.0 mm) Optics

曲率が高い光学素子の取付け

当社の固定リングはマウント無しの光学素子をレンズチューブまたは光学マウント内に固定します。リングの位置固定には対応するスパナレンチを使用します。平面光学素子や曲率が低い光学素子用には黒アルマイト製の固定リングをØ5 mm~Ø101.6 mm(Ø4インチ)まで標準品としてご用意しております。曲率が高い光学素子用には、厚みのある固定リングをØ12.7 mm(Ø1/2インチ)Ø25.4 mm(Ø1インチ)Ø50.8 mm(Ø2インチ)でご用意しております。

厚みのある固定リングは非球面レンズ、短焦点距離の平凸レンズコンデンサーレンズなど、曲率が高い光学素子の取り付けに使用します。右の動画のように通常の固定リングを曲率が高い光学素子に使用した場合、スパナレンチのガイドフランジが光学素子の表面に接触し、光学素子を傷つける可能性があります。また、スパナレンチと固定リングの間に隙間ができるため、固定リングが正しく締め付けられません。厚みのある固定リングは、スパナレンチが光学素子の表面に接触することなくレンズを固定させることができます。


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Ø25.4 mm(Ø1インチ) UV溶融石英(UVFS)製ベストフォーム球面レンズ、ARコーティング: 245~400 nm

Item #DiameterFocal LengthaDiopterbRadius of
Curvature 1
Radius of
Curvature 2
Center 
Thickness
Edge 
Thickness
Back Focal LengthaReference
Drawing
LBF41040-UV1"40.0 mm+25.022.6 mm-87.9 mm7.0 mm2.2 mm36.1 mmBest Form Lens Drawing
LBF41050-UV1"50.0 mm+20.028.1 mm-113.9 mm7.0 mm3.3 mm46.1 mm
LBF41075-UV1"75.0 mm+13.341.9 mm-184.2 mm5.0 mm2.6 mm72.2 mm
LBF41100-UV1"100.0 mm+10.055.8 mm-252.3 mm4.0 mm2.2 mm97.8 mm
LBF41150-UV1"150.0 mm+6.783.5 mm-383.7 mm4.0 mm2.8 mm147.8 mm
LBF41200-UV1"200.0 mm+5.0111.3 mm-515.7 mm4.0 mm3.1 mm197.8 mm

推奨固定マウント: LMR1/M

  • 設計波長587.6 nmで測定。UVグレード溶融石英(UVFS)の屈折率は波長に反比例するため、使用する光の波長が長くなると、レンズの焦点距離も長くなります。
  • 焦点距離をメートル単位で表した数値の逆数
+1 数量 資料 型番 - ユニバーサル規格 定価(税抜) 出荷予定日
LBF41040-UV Support Documentation
LBF41040-UVNEW!Customer Inspired! UVFS Best Form Lens, Ø1", f = 40.0 mm, AR Coating: 245 - 400 nm
¥26,030
3 Weeks
LBF41050-UV Support Documentation
LBF41050-UVNEW!Customer Inspired! UVFS Best Form Lens, Ø1", f = 50.0 mm, AR Coating: 245 - 400 nm
¥26,030
3 Weeks
LBF41075-UV Support Documentation
LBF41075-UVNEW!Customer Inspired! UVFS Best Form Lens, Ø1", f = 75.0 mm, AR Coating: 245 - 400 nm
¥26,030
3 Weeks
LBF41100-UV Support Documentation
LBF41100-UVNEW!Customer Inspired! UVFS Best Form Lens, Ø1", f = 100.0 mm, AR Coating: 245 - 400 nm
¥26,030
3 Weeks
LBF41150-UV Support Documentation
LBF41150-UVNEW!Customer Inspired! UVFS Best Form Lens, Ø1", f = 150.0 mm, AR Coating: 245 - 400 nm
¥26,030
Lead Time
LBF41200-UV Support Documentation
LBF41200-UVNEW!Customer Inspired! UVFS Best Form Lens, Ø1", f = 200.0 mm, AR Coating: 245 - 400 nm
¥26,030
3 Weeks