ダブプリズムの実験データ
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ダブプリズムによる偏光状態と像の回転の実験データ
ここではダブプリズムPS992およびPS992Mを透過する光の偏光と回転状態に関する測定データをご紹介します。さらに、応力誘起複屈折が最終的な偏光状態に与える影響についても調べています。偏光依存性の実験においては、偏光状態と入射光の方向がダブプリズムによってどのように変化するかを理解することが重要です。ダブプリズムが透過光の偏光方向を変えることは知られていますが[1]、局所的な応力誘起複屈折が偏光状態を大きく変化させることも分かります。最後にマウント無しとマウント付きのダブプリズムを使って、理論上予測される応力誘起による偏光状態の変化を実際の測定値と比較しています。
実験では半導体レーザHL6320G(635 nm)を光源として使用しました。レーザ光を、まず2個の直交するグランテーラ偏光子(GT10-A)でアライメントしました。最初の偏光子の偏光軸をセットし、2個目の直交する偏光子の回転角度を記録しました。次に2個の偏光子の間にダブプリズムを配置して、2番目の偏光子から出射する光パワーを、プリズム角度を変化させながら測定しました。さらに楕円偏光の楕円半径と楕円軸の角度も測定しました。マウント無しダブプリズムPS992およびマウント付きダブプリズムPS992Mが引き起こす偏光シフトを測定しました。マウント無しのプリズムについては、複屈折効果による偏光状態の変化の実験も行いました。
右上の図は、プリズム角度を変化させたときの測定結果を表しています。ダブプリズムが像を反転させることはよく知られていますが、像の回転角度がプリズムの回転角度の2倍であることは興味深い事実です。左下の図は、応力誘起複屈折が偏光状態に及ぼす影響を示しています。一方で右下の図は、ダブプリズムが偏光状態に与える実測値を図示し、理論値と比較しています。ここでは、応力が最小の状態における、マウント無しとマウント付きのダブプリズムで得られたデータが示されています。ダブプリズムによって像は回転しますが、偏光状態は像と一緒には回転しません。むしろ偏光状態は、直線偏光から様々な楕円率の楕円偏光に変化します。この実験に使用された装置や実験結果の詳細はこちらをクリックしてご覧ください。
[1] Miles J. Padgett & J. Paul Lesso, "Dove prisms and polarized light," J. Mod. Opt. 46, 175-179 (1999).
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