表面増強ラマン分光(SERS)用基板


  • Gold-Coated Textured Quartz Substrate with 4.3 mm x 4.3 mm Active Area
  • Plasmonic Nanostructures Enhance Raman Scattering Signal
  • Parts Per Billion Sensitivity
  • Optimized for 785 nm Laser Excitation

RCT4M

Gold-Coated Surface-Enhanced Raman Spectroscopy Substrate

Application Idea

The RCT4M Gold-Coated SERS Substrate can be mounted to the RSBR1(/M) sample stage. Please see the Overview tab for more information.

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グラフは、濃度1 mMの1,2-di(4-pyridyl)エチレンのラマン信号に対するSERSの効果を示しています。すべての試料は同じ浸漬法で調製しました。データの収集にはラマンキットRSB1と785 nmの励起用レーザを用い、積分時間は5秒に設定しました。レーザースポット径は1.5 mm2、出力は10 mWに設定しました。
SERS Schematic DiagramClick to Enlarge
上の図はラマン分光と表面増強ラマン分光(SERS)の違いを示しています。SERSでは、入射レーザ光によって生成された電場によってラマン散乱の確率が大きくなり、それによって測定されるラマン信号が増大します。

特注や量産

SERS基板のカスタマイズのご相談、
OEM用途のご要望などがございましたら、
お気軽に当社までお問い合わせください。

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特長

  • 表面増強ラマン分光(SERS)用の金コーティングされた溶融石英製テクスチャー基板
  • プラズモニックナノ構造によりppbレベル(~10億分の1)の濃度に対する感度を実現*
  • 当社のモジュール式ラマン分光用キットポータブル型ラマン分光器に対応
  • 基板の使用回数は1回限り、真空中に保管しなくても6ヶ月間使用可能
  • 量産やサイズのカスタマイズにも対応可能(当社までお問い合わせください)

用途例

  • 化学混合物の定量分析
  • 違法物質や危険物質の特定
  • 品質検査(医薬品、食品等)
  • 生産現場における化学プロセスのモニター

表面増強ラマン分光(SERS)用基板は、試料のラマン散乱を桁違いに増強できるラマン分光用サブセットのSERSのために設計された製品です。このSERS基板は表面に金を蒸着した溶融石英製のテクスチャー基板で、プラズモニックナノ構造を形成することでppbレベル(~10億分の1)の濃度に対する感度が得られます。* 

ラマン散乱は稀な現象で、おおよそ100万個の励起光子のうちの1個程度で発生します。そのため、通常は高出力の光源で試料を励起する必要があります。SERSは、金属表面を試料用の基板として使用することで、試料のラマン散乱を増強できる技術です。 この増強には2つのメカニズムが主に寄与します。第1のメカニズムは電場の増強で、これは局在表面プラズモンが励起されることで生じます。測定対象の分子がこの電場の中にあると、ラマン散乱の確率が大幅に増大します。 第2のメカニズムは、金属と測定対象の分子の間における、分子間および分子内での電荷移動による化学的な増強作用です。 これらのメカニズムによりSERSは非破壊的で高感度な技術になっており、標準的なラマン測定と比較して、非常に低い入射レーザ光パワーを用いて極めて低濃度の試料の測定が可能になります。

使用方法、取扱い、お手入れについて
試料はドロップキャスト法でSERS基板上に調製できます。2~10 µlの水溶液を、マイクロピペットを使って基板の金コーティング面に滴下するだけです(上面と底面の識別については下記をご覧ください)。また、試料が大量にある場合は、基板を溶液に浸して10分間インキュベートした後、水またはエタノールですすぐ浸漬法を使用することもできます。試料を完全に乾燥させてからラマン分光器にセットしてください。基板の使用回数は1回に限られており、洗浄しての再利用は推奨しておりませんのでご注意ください。

SERS Chip in Modular Raman SpectrometerClick for Details
SERS基板RCT4Mは分光器RSB1/Mでご使用いただけます。ここでは、基板は反射型フロントエンドサンプルステージRSBR1/M上に、活性面を上向きにして取り付けられています。

SERS基板を取り扱う際は、手袋とピンセットを使用することをお勧めします。プラズモニックナノ構造への損傷を避けるために、基板の活性金コーティング面には直接触れないようにしてください。 表面からの埃の除去は、必要に応じて清潔で乾燥した圧縮空気を吹きかけることをお勧めします。手順は、光学素子の取扱いについてのチュートリアルおける「光学素子の表面から異物等を吹き飛ばす」で詳しく説明されています。

SERS基板は真空バッグに封入されています。最良の性能を得るために、基板を真空中に保管しない場合は6ヶ月以内に使用することを推奨します。

取付け例
プラズモニックナノ構造の損傷や装置の汚染を避けるため、SERS基板の活性領域が取付け面に直接接触しないようにしてください。当社の反射型フロントエンド付きのモジュール式ラマン分光用キット を使用する場合は、基板の活性面を上にしてサンプルステージ上に置いてください(左の写真参照)。そうすることで、レーザ光を基板の中央に合わせることができます。基板をポータブル型ラマン分光器に取り付けるときは、試料用の窓に基板の活性面を直接接触させないことが重要です。RASPシリーズの分光器への取付け方法等についての詳細は、当社までお問い合わせください。

*感度は、分析対象物、入射レーザ光パワー、積分時間などの実験条件に依存します。

RCT4M_Absorbance SpectrumClick to Enlarge
生データはこちらからダウンロードいただけます。
SERS基板RCT4Mの吸光度スペクトル。この基板は785nmの励起光用に最適化されていますが、広い波長域で吸光度を有するため、他の励起波長(青い網掛け領域)でもご使用いただけます。
Raman Signal Enhancement Using SERS ChipsClick to Enlarge
グラフは、濃度1 mMの1,2-di(4-pyridyl)エチレンのラマン信号に対するSERSの効果を示しています。すべての試料は同じ浸漬法で調製しました。データの収集にはラマンキットRSB1と785 nmの励起用レーザを用い、積分時間は5秒に設定しました。レーザースポット径は1.5 mm2、出力は10 mWに設定しました。
Slit Width and Spectral Resolution
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様々なタイプの放射光に対応するエネルギー準位

ラマン分光法

ラマン分光法は、固体、粉体、液体、気体などの化学物質の特性評価用として確立された技術です。この技術は、単色光を照射されたサンプルから放射されるラマン散乱光を検出して分析するのが基本です。

ラマン散乱
分子内の原子は化学結合しています。原子の数と結合配置によって、分子の振動の仕方が異なります。それぞれの固有の振動モードは、正確な特定のエネルギーによってのみ励起できます。励起光の光子が分子に吸収されると、再放射される前に振動モードを励起したり、既存の振動モードからエネルギーを吸収したりすることができます。振動モードとの相互作用により光のエネルギーが減少したり増加したりすることは、光子が非弾性散乱することを意味します。この光と物質の相互作用はラマン効果と呼ばれます。この非弾性散乱(ラマン散乱)による散乱光子のエネルギーと波長のシフトはラマンシフトと呼ばれます。ラマン分光法ではこのラマンシフトを測定します。

ラマン散乱は稀な現象で、おおよそ100万個の励起光子のうちの1個程度で発生します。そのため、高出力光源でサンプルを励起し、できるだけ多くのラマン散乱光を収集して分析することが重要です。十分なラマン散乱を発生させるために、一般にはサンプルに対して高強度の単色レーザ光を照射します。

特定のエネルギー(励起レーザ光)でサンプルの振動状態全体を励起すると物質固有のラマン散乱が発生するため、測定されたラマンスペクトルは物質固有の化学的なフィンガープリント(指紋)と見なすことができます。ラマン分光法によって検出される振動は、赤外(IR)分光法で観察される分子双極子の変調による振動とは異なるため、材料分析における貴重な情報源であり、また他のタイプの振動分光法を補完するものとなっています。

非弾性散乱によるエネルギーシフト
ラマン分光法では、ラマン効果によって生じる非弾性散乱によるエネルギーのシフトを分析します。非弾性散乱光子の波長と励起光波長との関係は、ラマン散乱現象を表す次のエネルギー方程式によって表されます。

ここでEvibは励起光子の影響を受ける分子の振動エネルギー、Eoutは散乱光子のエネルギー、Einは励起光子のエネルギーです。

光子のエネルギーと分子の振動周波数は、次のプランク-アインシュタインの関係式を介して関連付けられます。

ここでh = 6.6260715 x 10-34 J⋅s、finは入射する光子の周波数(単位はヘルツ)です。同様の関係が散乱光子にも当てはまります(Eout = hfout)。

式1と2、およびλ = c/f (cは光速度)から、分子振動のラマンシフトは正確な励起波長λin を用いて次の式で表すことができます。

ラマン散乱の様子を波長を使って表現すると、精密な励起波長に依存してしまうため不便です。しかし、ラマン散乱をラマンシフトスケール(波数スケール、単位はcm-1)を用いて表現すると、励起波長に依存しなくなります。そのため、異なる実験セットアップ間での物質のラマンスペクトルを比較できるように、ラマンスペクトルは非弾性散乱光のラマンシフトの波数(cm-1, X軸)と、測定された相対強度(Y軸)の2Dプロットで表されます。この単位は、ナノメートルとは対照的にエネルギーに比例するスケールです。


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表面増強ラマン分光(SERS)用基板

Key Specifications
SERS Active MaterialGold
Active Area
4.3 mm x 4.3 mm
Laser Wavelength (Recommended)785 nm
Minimum Power Densitya
(Recommended)
0.1 W/cm2
Lifetime(Recommended)< 6 Months
Dimensions (L x W x H)4.5 mm x 4.5 mm x 0.5 mm
(0.18" x 0.18" x 0.02")
  • 測定可能なSERS信号を得るために推奨される最小パワー密度です。実際の値は試料に依存します。
  • 真空中に保管しない場合

表面増強ラマン分光用基板RCT4Mは、ラマン散乱信号を桁違いの大きさにまで増強できるSERS法で使用するように設計されています。この金コーティングされた石英製のテクスチャー基板を使用すると、ppbレベル(~10億分の1)*の低濃度の成分でも検出できる感度が得られます。標準的なラマン分光法と比較して、低濃度の試料に非常に小さなパワーのレーザ光を照射しても測定することができます。

SERS基板は785 nmの励起レーザ用に最適化されており、当社のモジュール式ラマン分光用キットとポータブル型ラマン分光器にご使用いただけます。基板の金コーティング面には水性試料を直接置くことができます。ラマンシステムに取り付けるときは、励起レーザ光がこの表面に入射するようにしてください。SERS基板の使用回数は1回限りで、洗浄しての再利用は推奨されませんのでご注意ください。

SERS基板は真空バッグに封入されています。最良の性能を得るために、基板を真空中に保管しない場合は6ヶ月以内に使用することを推奨します。

*感度は、分析対象物、入射レーザ光パワー、積分時間などの実験条件に依存します。

+1 数量 資料 型番 - ユニバーサル規格 定価(税抜) 出荷予定日
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