ファブリペローチューナブルナローバンドパスフィルタ
- 550 - 845 nm or 845 - 1300 nm Operating Wavelength Range
- >80% Transmission for Low-Intensity Spectra Detection
- 30 GHz Free Spectral Range
- Piezo-Tunable or Temperature-Controlled Models Available
FPQFA-5
Piezo-Tunable Fabry-Perot Filter,
Wavelength Range: 550 - 845 nm
FPQSA-8
Temperature-Controlled Fabry-Perot Filter, Wavelength Range: 845 - 1300 nm
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ファブリペローフィルタFPQSAシリーズの概略図
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ファブリペローフィルタFPQFAシリーズの概略図
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ファブリペローフィルタは、30GHz FSRの基本共振モードを透過しますが、-30dB以上(典型値)のオフレゾナンス光を抑制し、高次モードを含みません。基本モードのピーク右側にある高次モードは大きく抑制されていますが、この測定ではまだ透過しています。抑制量はモードマッチングの質に大きく依存します。
特長
- 動作波長範囲:550 nm~845 nmまたは845 nm~1300 nm
- 狭帯域におけるスペクトルをフィルタリング
- 量子光源からの低光量の発光を検出
- 量子エミッタのスペクトル評価
- フリースペクトルレンジ(FSR):30 GHz
- 透過率:80%以上、低光量のスペクトル検出用
- フィネス: 300以上
- 分解能:100 MHz以下
- ピエゾによるチューニングタイプまたは温度によるチューニングタイプをご用意
ファブリペローチューナブルナローバンドパスフィルタFPQFAおよびFPQSAシリーズは、約0.1 nmの狭帯域(波長1 μmのレーザの場合)、または30 GHzのフリースペクトルレンジ(FSR)における低光量光源のスペクトルのフィルタリングに適しています。ファブリペローフィルタは、平面ミラーと凹面ミラーの2枚の高反射ミラーで構成された、ノンコンフォーカル(非共焦点)のエタロンです。ピエゾチューナブルフィルタFPQFAシリーズは、内蔵のピエゾトランデューサを用いてエタロンのミラー間の距離を調整することにより、エタロンを透過する周波数のチューニングが可能です。温度制御型チューナブルフィルタFPQSAシリーズは、丈夫なInfrasil®† 302ガラス基板で構成されたエタロンにヒータが取り付けられており、加熱の結果で生じる屈折率変化とわずかな膨張により、透過周波数を調整します。各フィルタの断面図を右に掲載しています。
このフィルタは、波長範囲550~845 nm(型番FPQFA-5、FPQSA-5)または845 nm~1300 nm(型番FPQFA-8、FPQSA-8)光学コーティングが施されています。これらは、SiV中心1やNV中心2、InGaAs量子ドット3などのフォトルミネッセンススペクトルの一般的な波長範囲です。フィルタの80%以上の透過率、30 GHzのFSR、100 MHz未満の分解能といった特性により、これら低光量の量子エミッタの微細なスペクトル構造を調べることができます。詳細は「仕様」タブをご覧ください。
アライメント
フィルタの平凹エタロン設計は、共焦点エタロンと比較してミラー間の距離が短い(FSRが大きい)ほど、より高い性能(光学フィネス、分解能、透過率)が得られます。しかし、平凹エタロンのアライメントはSAシリーズのファブリペロー干渉計で用いられている共焦点エタロンよりも変動に敏感です。イルミネーションモードとエタロンが対応する基本モード間ではより高いモードマッチングが必要になります。エタロンへ入射するイルミネーションモードとエタロンの基本モードがマッチングしないと、高次のエタロンモードが励起し、透過率が低下します。イルミネーションモードはモードのウェストサイズ、角度、ラジアルおよび縦方向の位置の観点でマッチングしていなければなりません。適切にアライメントされると、フィルタは-30dB(典型値)以上のオフレゾナンス光を抑制することができます(右のグラフ参照)。ファブリペローフィルタへ適切にビームをアライメントする方法については「モードマッチング」および「アライメントガイド」タブをご覧ください。
用途
ローレンツ型プロファイル光をこのフィルタに入射して、スペクトルフィルタリングすることもできます。フィルタリングされた透過光は、下流側の光学系で使用することができます。ピエゾチューナブルフィルタFPQFAシリーズは、透過光パワーをフォトダイオードで測定するファブリペロー干渉計SAシリーズと同様に、走査デバイスとして動作させることも可能です。ピエゾチューナブルフィルタおよび温度制御機能付きフィルタの使用例と推奨コントローラについての詳細は「用途」タブをご覧ください。
取り付け
ファブリペローフィルタは当社の
†Infrasilは、Heraeus Quarzglas社の登録商標です。
参考文献
- Lindner, S. et al., "Strongly Inhomogeneous Distribution of Spectral Properties of Silicon-Vacancy Color Centers in Nanodiamonds," New J. Phys. 20, 115002 (2018)
- Savvin, A., Dormidonov, A., Smetanina, E. et al., "NV– Diamond Laser," Nat. Commun. 12, 7118 (2021)
- Dey, A.B., Sanyal, M.K., Farrer, I. et al., "Correlating Photoluminescence and Structural Properties of Uncapped and GaAs-Capped Epitaxial InGaAs Quantum Dots," Sci. Rep. 8, 7514 (2018)
General Specifications | ||||
---|---|---|---|---|
Item # | FPQFA-5 | FPQFA-8 | FPQSA-5 | FPQSA-8 |
Wavelength Range | 550 - 845 nm | 845 - 1300 nm | 550 - 845 nm | 845 - 1300 nm |
Mirror Substrate | UV Fused Silica | Infrasil®a 302 | ||
Free Spectral Range | 30 GHz | |||
Finesse | > 300 | |||
Resolution | < 100 MHz | |||
On-Resonance Transmission | > 80% | |||
Extinctionb | Typ. 30 dB | |||
Etalon Length | 5 mm | 3.4 mm | ||
Etalon Index of Refraction | 1 | (Click for Sellmeier Equation) | ||
Mirror Reflectance Data (Click for Graph) | Raw Data | Raw Data | Raw Data | Raw Data |
Waist and Effective Waist Datac (Click for Graph) | Raw Data | Raw Data | ||
Effective Waist Position Datac,d (Click for Graph) | Raw Data | Raw Data |
FPQFA Series Piezo Specifications | ||||
---|---|---|---|---|
Piezoelectric Transducer Voltage | 0 to 150 V | |||
Voltage for 1 FSRa | ≤22×(λ/845) V | |||
Electric Impedance | 2.2 µF |
FPQSA Series Heater Specifications | |||||
---|---|---|---|---|---|
Temperature Scanning Range | 25 to 70 °C | ||||
Temperature Scanning Range for 1 FSRa | ~15×(λ/845) - 2 °C | ||||
Heater Resistance | 50 Ω ± 10% | ||||
Thermistor Model (10 kΩ) | TDK B57230V2103F260 | ||||
Thermistor Electrical Specifications | R0 | 10 kΩ ± 1% | |||
B25/100 | 3455 K ± 1% |
ピエゾチューナブルフィルタFPQFA
ピエゾ制御電圧(Ramp In) - BNCオス型
最大150 V
温度制御型チューナブルフィルタFPQSA
6ピンHirose製メス型コネクタ
Pin | Assignment |
---|---|
1 | Heater Positive |
2 | Heater Negative |
3 | Not Connected |
4 | NTC 10 kΩ Thermistor |
5 | NTC 10 kΩ Thermistor |
6 | Not Connected |
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図1:ファブリペローフィルタの平面ミラーの面位置は、デバイス本体の溝で示されています。
モードマッチング
入射光がフィルタと共振するためには、フィルターのエタロンに対応する基本モードと一致するようにビームを成形する必要があります。エタロンのモードは、エタロンの形状、波長、エタロン基板(フィルタFPQFAシリーズではエアギャップキャビティ、フィルタFPQSAシリーズではソリッドガラスエタロン)の屈折率によって決定されます。入射ビームをモードマッチさせるためには、適切な焦点距離のレンズを、ビームのウエストがエタロンモードのウエストスポットのサイズおよび位置と一致するように、適切な距離に配置する必要があります。フィルタFPQFAやFPQSAでは、モードウエストは平面ミラーの位置にあり、その位置は筐体のフォーカスアライメント溝で示されています(図1のフィルタFPQFAの例参照)。モードウェストのサイズと推奨レンズ仕様は以下で計算されます。
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図2:エタロンフィルタで対応可能なモードウエスト値(平面ミラーにおけるサイズ)を式(1)から波長の関数としてプロットしています。ファブリペローフィルタの下流の光学素子は、有効ウェストサイズ(effective waist size)を考慮して設計されています。
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図3:フィルタ下流の光学系は、有効ウェストサイズと位置(effective waist size and position)を考慮して設計されています。なお、有効ウエスト位置は平面ミラーを基準としています(平面ミラーから下流方向を正)。
平凹エタロンのビームウェストの計算
平凹エタロンのビームウェストの計算平凹共振器またはエタロンは、ビーム径またはウエストωcavが平面ミラー上において以下の式で与えられる基本モードに対応しています。
ここで、dはエタロンの長さ、Rは球面ミラーの曲率半径、n(λ)はエタロンの屈折率、λ はビームの波長です。フィルタFPQFAでは、d = 5 mm、R = 250 mm、n = 1です。フィルタFPQSAでは、d = 3.4 mm、R = 200 mmとなり、 nは波長に依存し、セルマイヤー式(「仕様」タブ参照)を用いて計算できます。これらのエタロン形状に対応するウェスト値を図2に示しています。ビームがエタロンを透過する際、ウェストサイズとウェスト位置は、球面ミラー通過時の屈折によりわずかにシフトするため、フィルタ下流の光学系は、有効ウェストサイズと位置(effective waist size and position)を考慮して設計されていることにご留意ください。平面ミラー後の有効ウエストのシフト位置は図3に示しています。 これ以外のグラフとデータは「仕様」タブをご覧ください。
自由空間ビーム用に推奨するレンズ
ウエストがω0inc(測定値)の自由空間ビームが、焦点距離f に入射すると、半径ωcavに集光します。
ここでz0inc = πw02/λ はガウシアンビームのレイリー長です。レイリー長は、ビームのウエストω0incが√2倍になるレンズからの距離です。レンズは筐体のフォーカスアライメント溝から
の距離に置いてください。エタロンの形状については図4、レンズの焦点距離については図5をご覧ください。z0inc >> fの場合、式(3)はD = fに、式(2)は
となります。これは、式(1)から求められるωcavの値と、レンズでの入射ビームウエストの測定値ω0incから、必要なレンズ焦点距離が決まるということを意味します。例えば、ω0inc = 0.56 mmでレンズに入射し、λ = 633 nmでωcav = 84 µmを必要とするコリメートビームにより、与えられる焦点距離はf = 233 mmとなります。同じ入射ビーム半径でωcav = 120 µmのエタロンウエストをλ = 1300 nmでモードマッチさせるには、 f = 162 mmの焦点距離が必要です。最初のケースでは焦点距離が f = 250 mm、後者の例ではf = 150 mmまたは175 mmのレンズが妥当な選択となります。セットアップのスペースの問題で短焦点レンズを使用できない場合、入射ビームウエストω0incを大きくすると、必要な焦点距離も長くなります。各フィルタの値の例は下記表内に記載されています。
Item # | Wavelength | Incident Waist | Mode Waist | Focal Length |
---|---|---|---|---|
FPQFA-5 | 633 nm | 0.56 mm | 84 µm | 233 mm |
FPQFA-8 | 1300 nm | 120 µm | 162 mm | |
FPQSA-5 | 633 nm | 60 µm | 167 mm | |
FPQSA-8 | 1300 nm | 86 µm | 116 mm |
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図4:フィルタFPQFA(上)、FPQSA(下)のエタロンの光学構成図。平面ミラーにアライメントされたウエスト ωcavのビームの基本モード形状を決定します。
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図5:ウエストω0incのビームがレンズ上に入射し、距離Dにおけるビームウェストωcavに集光している図。
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フィルタはこちらのPOLARIS-K1Eのような標準的なØ25.4 mm(Ø1インチ)キネマティックマウントに取り付けられます。1100 nmまでの測定用にSM05ネジ付きマウントに取り付け済みのフォトダイオード(型番SM05PD2A、別売り)がフィルタの出射ポートに取り付けられています。
一般的な手順
当社のファブリペローフィルタのアライメントを行うためには、まず、POLARIS-K1EやKS1のような安定性が高くロックが可能なØ25 mm(Ø1インチ)キネマティックミラーマウントや、Ø25 mm~Ø25.4 mm(Ø1インチ)光学素子用30 mmケージプレートCP35/Mのような固定式のケージシステムマウントに取り付けます。次に、波長範囲と用途に合ったディテクタを選択します。ファブリペローフィルタには、ディテクタなどは付属していませんので、ご用途により柔軟にカスタマイズすることができます。当社ではいくつかのディテクタをご用意しております。フォトダイオードSM05PDシリーズはフィルタのSM05ネジ付き出射ポートに取り付けが可能です。その他にも外付けのディテクタとしてバイアスディテクタDETシリーズ、増幅ディテクタPDAシリーズ、アバランシェディテクタAPDシリーズをご用意しています。
そして、フィルタのエタロンにビームを集光するレンズ(「モードマッチング」タブで説明しています)を選択します。入射光のプロファイルとエタロンのモードをマッチさせるための適切なレンズを選択した後、ファブリペローフィルタへの集光ビームのアライメントを最適化し、ビームウェストを平面ミラー位置に合せるといった多軸の調整を行うため、アライメント治具には十分な自由度を持たせる必要があります。平面ミラーの位置は、筐体のフォーカスアライメント溝に合わせます。右の写真のように、アライメント溝がマウントの面と同じ高さになるようにフィルタを取り付けると効果的です。
ファブリペローフィルタがキネマティックマウントに固定されている場合、フィルタのエタロンへのアライメントに必要なステアリングミラーは1つだけです。この場合では、ステアリングミラーはエタロン内でのビームの水平・垂直位置を制御し、主にファブリペローフィルタのチップ・チルトの調整により、エタロン内のビームの方向を制御します。こちらは、ファブリペローフィルタのすぐ後ろにディテクタやカメラを設置する場合の推奨のセットアップです(アライメント中に透過ビームの向きが変わるため)。ビームウエストの軸方向の位置は、集光レンズを動かしてウェストがフィルタ筐体のフォーカスアライメント溝と一致するように調整します。左下の写真は、キネマティックマウント付きフィルタを使用したセットアップです。
ファブリペローフィルタを固定式マウントに固定する場合、アライメントには2枚のステアリングミラーが必要です。どちらのミラーもビームの位置と角度の両方に影響を与えるため、下の「アライメントの最適化」セクションで説明するように、ペアで最適化する必要があります。前述のセットアップと同様に、ウエストの軸方向の位置は、焦点距離とスペースの制約に応じて、ミラーの前後に配置した集光レンズを動かして調整します。このセットアップは、光の方向が固定されたエタロンを用いて設定されるため、透過ビームを下流の光学系で使用する場合に有効です。固定式マウントにフィルタを取り付けたセットアップの例は、右下の写真をご覧ください。
どちらのセットアップでも、レンズの上流に置かれたビームスプリッタ(別売り)を使用することで、正しいレンズ位置を設定するこができます。ビームウェストが平面ミラー位置に適正に配置されれば、反射ビームはコリメートされるため、ビームスプリッタからの反射光を見ることで評価が可能です。さらに、アパーチャーをミラーの上流側に配置して、エタロンからの反射ビーをしっかりとアパーチャーに通過させることで、平面エタロンミラーに対してビームを垂直に調整することもできます。
コリメートされた自由空間光をアライメントするための2つのセットアップ例を以下に示します。左のセットアップではフィルタFPQFAをキネマティックマウント内に取り付けており、右のセットアップではフィルタFPQSAを固定式のケージシステムマウント内に取り付けています。
コリメートビームをファブリペローフィルタに結合するセットアップ例
ファブリペローフィルタは、30 mmケージシステムと、2本の66 mmレールに固定されたアリ溝付きマウントから構成されるセットアップを使用してアライメントすることができます。
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上のセットアップでは、フィルタFPQFA-5をマウントPOLARIS-K1Eに取り付けています。このマウントは高い安定性があり、ビームがエタロンを通過する角度を制御できます。このセットアップをアライメントすることで、フィルタに取り付けられたフォトダイオードSM05PD2Aがビームの透過を検出します。
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上のセットアップでは、フィルタFPQSA-5をケージプレートCP35/Mを用いて30 mmケージシステムに取り付けています。このセットアップをアライメントすることで、透過ビームは最後のレンズで再コリメートされ、下流で使用されます。さらに、入射ビームの一部はビームスプリッタBSX11を介してフォトディテクタPDA36A2光検出器に送られ、レーザの変動がモニタされます。ウェッジウィンドウWW41050-Bは、フォトディテクタに取り付けられたマウントH45内で45°に保持され、ビームスプリッタを通過するビームの横方向のシフトを補正します。
上の写真は、光ファイバから出射されたビームをファブリペローフィルタにモードマッチさせるセットアップです。 光ファイバから出たビームは拡散するので、トリプレットファイバーコリメータ
アライメントの最適化
最初にビームを大まかに合わせるには、光学系をビームと同じ高さにセットする必要があります。 各ミラーからビームが90°偏向するように、ミラーの面を45°の角度で配置するのが理想的です。ビームがファブリペローフィルタの開口部の中心に来たら、レンズを適切な位置に置き、ビームがレンズの中心に来るようにして、かつできるだけ垂直入射するように調整します。すべての光学系でビームが中心にあることを確認し、適宜調整してください。アライメントディスクSM05A7をフィルタのSM05ネジ付き入射ポートに取り付けることで、ビームをセンタリングの初期調整が容易になります。
ピエゾチューナブルフィルタFPQFAを使用する場合は、フォトダイオードまたはディテクタの出力部をオシロスコープに接続し、ファブリペローコントローラボックスSA201Bまたは信号発生器と増幅器からの出力部からピエゾランプ信号をオンにし、ピエゾアクチュエータでエタロン長の走査を開始します。1つ以上のピークが表示されるように十分に高い電圧で振幅を設定してください。 詳細はFPQFAシリーズのマニュアル内のセクション4.5 をご覧ください。
温度制御型チューナブルフィルタFPQSAを使用する場合は、フォトダイオードまたはディテクタの出力部をオシロスコープに接続し、送信信号から共振ピークが表示されるまでレーザ自体の周波数を走査します(例えば、レーザの駆動電圧を鋸歯状波で変調するなど)。注:TC300Bなどの温度コントローラを使用して、フィルタFPQSAの共振周波数を慎重に調整し、2つの共振ピーク間の温度差を校正して特定の周波数に調整することができます。詳細はFPQSAシリーズのマニュアル内のセクション4.6をご覧ください。
エタロン長がビームの波長と共振すると、わずかな透過信号が観測されます。この信号が出現したら、アライメントを最適化することで、モードマッチングを高め、透過信号を増加させることができます。アライメントを最適化する際の出力例については下の図をご覧ください。この時点で信号が検出されない場合には、粗アライメントを確認する必要があるかもしれません。
エタロンまたはレーザを走査し、オシロスコープで信号を注意深く観察します。次のようにビームを操作しながら、2つのステアリングミラー(または右上のセットアップのようにビームスプリッタとミラー)のアライメントを最適化します:エタロンから遠い方のミラーの水平軸ノブを時計方向に少し回し、近い方のミラーの水平軸を使って透過パワーを最適化します。パワーが向上した場合は、最初のミラーの水平軸に戻り、時計回りにもう1度回し、これを繰り返します。開始時よりもパワーが悪化している場合は、最初のミラーに戻り、ノブを反時計回りに回してください。近い方のミラーで水平軸のパワーを再度最適化し、これを繰り返します。水平軸のみを使用してパワーが最適化されるまでこれを続けます。今度は垂直軸を使ってこの手順を繰り返してください。両方の方向について、透過ピークが最適化されるまで続けます。この時点では、高次モードへのパワー結合はほとんどないはずです。まだ、モードマッチングが十分でない場合は、レンズを軸方向に移動させるか、焦点距離を変更する必要があるかもしれません。
下の図は、オシロスコープのランプ信号の軌跡を青色で、ファブリペローフィルタからのフォトダイオード/ディテクター出力の軌跡を黄色で示したもので、アライメントによってエタロンへのビームのモードマッチングが改善されていることがわかります。
最初の調整の後、透過量は基本モードだけでなく多くの高次モードとともに改善されますが、さらなる最適化が必要です。
大まかなアライメント後、多くの小さなピークが現れ始めます。
2回目の調整で基本共振モードが増加し、高次モードが抑制され始めます。
ここで、モードマッチングが達成され、高次モードはほとんど結合されなくなります。黄色の軌跡のスケールが500 mVから1.00 Vに変化していることにご留意ください。
ピエゾチューナブルファブリペローフィルタFPQFAの使用例
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図2:フィルタFPQFAをレーザ周波数の走査に使用した例
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図1:フィルタFPQFAを閉ループ式のPIDフィードバックシステムに使用した例
ファブリペローフィルタFPQFAを使用する代表的な用途例を2つ右の図に示しています。
図1では、特定の周波数(波長)を選択するために、ファブリペローフィルタを閉ループフィードバックシステム内で使用し、スペクトルフィルタリングされた光を下流の光学系に伝送させています。ここでは共振器から伝送された共振信号は、検出のためにビームスプリッタで分岐され、PIDレギュレータに送られ、共振器を継続的にオンレゾナンスに保つために増幅されます。
図2では、ファブリペローフィルタで周波数を走査し、光のスペクトル特性を測定しています。ファブリペローフィルタからの透過信号の一部は、ビームスプリッタからの反射光を用いてリアルタイムで測定され、フォトディテクタに送られた後、オシロスコープに表示されます。ビームスプリッタを通過した透過光は、用途に応じて下流の光学系で使用することができます。信号発生器によって生成され増幅された三角波は、フィルタのピエゾを駆動するために使用されます。信号発生器のトリガ信号は、透過信号と同位相に保つようにオシロスコープに送られます。
フィルタFPQFAシリーズ用ピエゾコントローラ
特定の周波数を選択し、オンレゾナンスに固定したフィルタリングを行う用途では、高速で閉ループの制御システムでフィルタを使用するために、開ループピエゾコントローラMDT694Bや高電圧ピエゾアンプBPA100などの高電圧アンプと信号発生器の組み合わせが必要になる場合があります。通常、低い電圧を必要とするスキャン用途には、ファブリペローフィルタにコントローラSA201Bをご使用いただけます。このコントローラは、ファブリペローのエタロン長を繰り返し走査し、フィルタの1 FSRを掃引するために必要な鋸歯状波または三角波の電圧を生成します。また、ファブリペローエタロンを透過した光の強度を測定するフォトダイオードディテクタの出力増幅に使用できるトランスインピーダンスアンプを内蔵しています。また、このコントローラはオシロスコープに対してトリガ信号を出力することも可能です。このトリガ信号は走査の開始時だけでなく、走査範囲内でその位置(タイミング)を設定することも可能です。
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図3:フィルタの温度を安定化させ調整するために、フィルタFPQSAを温度コントローラTC300Bと使用した例
温度制御型ファブリペローフィルタFPQSAシリーズの使用例
図3ではフィルタの温度を制御して特定の周波数を選択するために、温度制御型チューナブルファブリペローフィルタを使用しています。PIDフィードバック機能を備えた温度コントローラを使用して、温度を安定化させてフィルタの共振を維持しています、1 FSRの周波数応答性に対応する温度変化を測定した後、特定の周波数を透過するように調整することができます。
フィルタFPQSAシリーズ用温度コントローラ
これらのフィルタは、エタロンの温度を正確に制御することにより、特定の共振周波数で安定するように設計されています。エタロンの温度調整には、ヒータ&TEC温度コントローラTC300Bのご使用をお勧めいたします。温度を一定に保つためには、温度制御ループ内のコントローラTC300BのPIDパラメータを最適化する必要があります。これらのパラメータは、動作温度、環境温度、および装置ごとのばらつきに依存します。PIDパラメータの推奨設定手順については、FPQSAシリーズのマニュアル内のセクション4.6をご覧ください。さらに、フィルタのモードマッチングと入射ビームへのアライメントが完了すると、温度に対するフィルタの正確な周波数応答性(MHz/°C)を測定し、共振ピーク間の温度差を校正することができます。その後、コントローラTC300Bを使用して任意の周波数にチューニングすることができます、フィルタの温度応答性の校正と最適化の詳細についてはマニュアルのセクション4.6.2と4.6.3をご覧ください。注:FPQSAのケーブルをコントローラTC300Bと接続するための、長さ1 mのHirose製コネクタ(オス/オス)付きケーブルが付属しています。
Posted Comments: | |
Ozan ARI
 (posted 2024-10-26 20:55:44.057) Hello, Can you extend the range of FPQFA-5 to 500 nm?
Can we filter laser emission to obtain clear emission spectrum using this filter? acanales
 (posted 2024-10-29 03:21:45.0) Thank you for reaching out to us! It is possible to use the FPQFA to filter out a specific wavelength. You can set the FPQFA to transmit that wavelength and use the reflected signal. The reflected signal should attenuate the chosen wavelength around 11.5 dB (OD=1.15). Note that if the signal is broader than the FSR (30 GHz), the next harmonics will also be transmitted and thus filtered from your reflected signal. I have contacted you to discuss your application and a possible customization. user
 (posted 2024-07-24 00:32:52.143) Hello, Just a quick question about the FPQFA-5 filter.
It is mentioned that this is for low light emission, so would it be appropriate for me to use it for filtering wavelengths around 738nm that are about 20Ghz apart but on the scale of single/multi photons (very low). acanales
 (posted 2024-07-25 05:43:47.0) Thank you for reaching out! The FPQFA-5 will suppress wavelengths 20 GHz from the resonant wavelength by more than -30 dB. On-resonance, more than 80% of the light will be transmitted, causing a slight decrease in the signal. Therefore, it is important to select the right detector for your single/few photons source. I have contacted you directly to discuss your application. Dong IL Lee
 (posted 2024-06-20 18:11:35.853) Hi, just for the verification;
Does the FSR of this FPQFA is still fixed (e.g 30 GHz) after tuning with the voltage? Up to my knowledge, the PZT changes the cavity length by tuning and therefore it changes FSR too. And by this way filter window can be swept around the target wavelength.
So, the tunability means the tunability of the FSR. Is this right understanding? Thank you! fnero
 (posted 2024-06-24 09:51:24.0) Hi Dong,
thanks for reaching out. Since 1 FSR corresponds to a distance of half a wavelength, it does not have any particular significance that the distance between the mirror changes, for the FSR. The manual, which can be downloaded gives more details on how this works. We have also reached out to you directly to address your questions. Ozan Arı
 (posted 2024-04-18 20:27:38.217) Can we use this device as a spectrometer to measure transmittance from a nano-cavity with 5-10 nm FSR and a few GHz FWHM, such as wavelength vs transmitted intensity with 100 MHz resolution? acanales
 (posted 2024-04-19 07:01:52.0) Thank you for contacting Thorlabs! The FPQFA is not a spectrometer but rather a very narrow bandpass filter (100 MHz) with a tunable transmitted wavelength window. It can be used to measure spectral properties like linewidth but not to obtain wavelength information. Instead, we can suggest an OSA30x with a resolution of 1.9 GHz. Unfortunately, 100 MHz is too high a resolution for our spectrometers. |
- ピエゾによるチューナブルファブリペローエタロン
- 長さ32.2 mmの小型筐体
- 標準的なØ25.4 mm(Ø1インチ)光学素子用キネマティックまたは固定式ミラーマウントに取り付け可能
- ピエゾトランデューサを駆動するための、長さ1 mのオス型BNCコネクターケーブル付き
ピエゾチューナブルファブリペローフィルタFPQFAシリーズを用いて、入射光のスペクトルの一部を選択して光学系で使用したり、入射光のスペクトル構造を測定したりすることができます。エタロンが伝送する特定の周波数(波長)は、ピエゾトランデューサを用いてミラー間の距離を調整することによりチューニングが可能です。共振ミラーは、550~845 nm(型番FPQFA-5)または845 nm~1300 nm(型番FPQFA-8)の波長範囲向けの光学コーティングです。これらの波長範囲は、量子エミッタのフォトルミネッセンススペクトルの一般的な範囲です。オンレゾナンスの透過ピークは30 GHz(FSR)分離れており、これはエタロン長d = 5 mm、
これらのフィルタは、高速閉ループフィードバックシステムを使用して特定の共振周波数にロックしたり、周波数を走査して光のスペクトル特性を測定するために使用できます。フィルタリングを行う用途では、閉ループの制御システムでフィルタを高速で使用するために、開ループピエゾコントローラMDT694Bや高電圧ピエゾアンプBPA100などの高電圧アンプと信号発生器の組み合わせが必要になる場合があります。 通常、低い電圧を必要とするスキャン用途には、ファブリペローフィルタにコントローラSA201Bをご使用いただけます。詳細については「用途」タブをご覧ください。
FPQFAシリーズのピエゾチューナブルフィルタには、電圧コントローラと増幅器に接続するためのBNCコネクタ付きの長さ1 mのケーブルが付いています。
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FPQSAシリーズフィルタの周波数安定性を一定温度で約15時間測定したところ、10 MHz以下の変動となりました。次に、温度を0.2 Kステップで上昇させたところ、フィルタの周波数応答性で見られるステップと一致しました。
- 温度制御によるチューナブルファブリペローエタロン
- 長さ22.9 mmの小型筐体
- 標準的なØ25.4 mm(Ø1インチ)光学素子用キネマティックまたは固定式ミラーマウントに取り付け可能
- 30 cmの6ピンHirose製メス型コネクターケーブル付き(1 mのオス - オスアダプターケーブルも付属)
温度制御型チューナブルファブリペローフィルタFPQSAシリーズを用いて、入射光のスペクトルの一部を選択して光学系で使用したり、入射光のスペクトル構造を測定したりすることができます。エタロンを透過する特定の周波数(波長特性)は、エタロンと熱的に接触している加熱素子の微細な温度制御によって調整することができます。エタロンは丈夫なInfrasil®† 302 基板で構成され、平坦面と曲面に波長範囲550~845 nm(型番FPQSA-5)または845 nm~1300 nm(型番FPQSA-8)の高反射コーティングが施されています。これらは、量子エミッタのフォトルミネッセンススペクトルの一般的な波長範囲です。オンレゾナンスの透過ピークは30 GHz(FSR)分離れており、これはエタロン長d = 3.4 mm、屈折率n(波長に依存し、セルマイヤー式を用いて計算できます)、FSR = c/2dn詳細は「仕様」タブをご覧ください。
これらのフィルタは、ヒータ&TEC温度コントローラTC300Bのような温度調節器で温度を一定に保つことにより、特定の周波数に設定され安定化するように設計されています(詳細は「用途」タブ参照)。 温度を一定に保つためには、温度制御ループ内のコントローラTC300BのPIDパラメータを最適化する必要があります。これらのパラメータは、動作温度、環境温度、および装置ごとのばらつきに依存します。PIDパラメータの推奨設定手順については、FPQSAシリーズのマニュアル 内のセクション4.6をご覧ください。共振器の透過特性は、温度を調整することで特定の周波数にゆっくりとチューニングすることもできます。右のグラフでは、周波数の安定性と温度による変化を示しています。温度変化が±0.2 °Cを超えないよう温度管理された環境で動作させることが重要で、これ以上の温度変化ではデバイスの性能を保証できません。
FPQSAシリーズの温度制御型チューナブルフィルタには、長さ30 cmの6ピンHirose製メス型コネクタが付いており、コントローラTC300Bに対応する1 mのHirose製アダプターケーブル(オス - オス)も付属しています。
†Infrasilは、Heraeus Quarzglas社の登録商標です。