2x2ステップインデックスマルチモード光ファイバーカプラ、コア径Ø400 µm、NA0.22
- Multimode Couplers with Ø400 µm Core, 0.22 NA Step-Index Fiber
- 400 - 2200 nm Operating Wavelength Range
- 50:50, 75:25, and 90:10 Coupling Ratios
- Terminated with SMA905 or FC/PC Connectors
Combine or
"Tap Off" Signals
TM400R5S2B
50:50 Low-OH Coupler
with SMA905 Connectors
TM400R2F2B
90:10 Low-OH Coupler
with FC/PC Connectors
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各カプラには識別しやすいように型番、シリアル番号、主な仕様が刻印されています。左のWhite Portが入力部として使用された場合、下記の分岐比(Coupling Ratio)は、右のWhite Port(信号出力)とRed Port(タップ出力)の光出力の比になります。
特長
- コア径Ø400 µm、NA0.22 マルチモードカプラ
- 3種類の分岐比:50:50、75:25、90:10
- 波長範囲: 400~2200 nm(低OH)
- 双方向性(どの端も入力ポートとして使用可能)
- 最大許容パワーレベル(詳細は「損傷閾値」タブ参照)
- 5 W(コネクタ付き、またはファイバ素線)
- 10 W(融着接続時)
- SMA905または2.0 mmナローキーFC/PCコネクタ付き
- ファイバ: 長さ0.8 m (公差+0.075 m / -0.0 m)
- 各カプラには個別の検査データシートをご提供(サンプルはこちらからご覧いただけます
- 分岐比およびコネクタに関してカスタム仕様をご希望の場合は、当社までお問い合わせください。
こちらの2x2マルチモードファイバーカプラは、400~2000 nmの光を分岐します。 コア径Ø400 µm、NA 0.22のファイバを使用しており、分岐比は、50:50、75:25、90:10でご用意しております。 全て双方向型で、どのポートも入力に使用可能です(上の「2x2の結合例」タブをご覧ください)。 これらのカプラの最大パワーレベルは、コネクタ付きもしくはファイバ素線の場合は5 W、融着接続の場合は10 Wとなります(詳細は「損傷閾値」タブをご参照ください)。こちらのステップインデックス型カプラは、LEDなどのインコヒーレント光源やマルチモードファイバ出力レーザ光源と組み合わせてお使いいただくと最も良い性能を発揮します(「励振条件」タブ参照)。
各カプラには個別の検査データシートをご提供しています。サンプルデータシートはこちらからご覧いただけます。
これらのカプラでは、SMA905またはFC/PCコネクタ(2.0 mmナローキー)付きのものを標準品としてご提供しています。各リードファイバの長さは0.8 mで、Ø1.4 mmのHytrel®* チューブで被覆されています。波長範囲、ファイバ種類、分岐比、コネクタ、筐体、ポート構成についても、カスタム仕様のカプラをご提供可能です。詳細は当社までお問い合わせください。
当社ではコア径Ø400 µm、NA0.22で、1x2構成のファイバーカプラもご用意しております。こちらをご覧ください。
*Hytrel®はDuPont Polymers社の登録商標です。
Alternative Fiber Coupler & Splitter Options | ||||||||||
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Double-Clad Couplers | Single Mode Couplers | Single Mode Planar-Lightwave-Circuit Splitters | Multimode Couplers | Polarization-Maintaining Couplers | Wavelength Division Multiplexers (WDM) | |||||
2x2 | 1x2 | 2x2 | 1x4 | 1x8 | 1x16 | 1x2 | 2x2 | 1x2 | 2x2 |
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図1:スキュー光線の伝搬図
ステップインデックスマルチモードカプラの励振条件
図2:クラッドモードが除去される角度でレーザ光をマルチモードファイバに入射したときの、出力ビームのニアフィールドおよびファーフィールドでのプロファイル
Tap Port Output Beam Profile | ||
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Coupling Ratio | Near-Field Image | Far-Field Image |
50:50 | Click to Enlarge | Click to Enlarge |
75:25 | Click to Enlarge | Click to Enlarge |
90:10 | Click to Enlarge | Click to Enlarge |
99:1 | Click to Enlarge | Click to Enlarge |
概要
当社のステップインデックスマルチモードファイバーカプラの特性はモードに依存するため、励振条件の影響を受けます。導波路内における伝搬モードとは、横方向に一定形状の振幅プロファイルを維持する電界分布です。励振条件は、ファイバ内で光パワーがどのように分布するかをスポットサイズ、NA、モードフィルなどで表すものです。当社では、ステップインデックスファイバーカプラの性能を保証するために、製造工程で標準とする励振条件は平衡モード分布 (EMD)としています。平衡モード分布では、下の「平衡モード分布 (EMD)」のセクションで説明するように、ステップインデックスマルチモードファイバ内の伝搬モードが制限されます。カプラには固有の様々なモード依存性があるため、ステップインデックスマルチモードファイバーカプラを励振するときに最適な光学性能を得るには、EMDを実現しておくことが不可欠です。モード依存性は、タップポートのファーフィールドにおけるビームプロファイルが非ガウシアンになる原因にもなりますが、これは多くの用途(例:パワーモニタ)において影響は軽微です。
モード依存性
マルチモードファイバには、シングルモードファイバと大きく異なる幾つかのモード特性があります。1つのモードのみを伝搬するシングルモードファイバに比べ、コアサイズとNAの大きいマルチモードファイバはより多くの導波モードを許容します。これにより広い波長範囲と多くの横モードに対する高い結合効率が得られます。しかしコアやNAが大きいことは様々な励振状態が生じることも意味し、これにより高い透過率は得られますが、「均一な出力ビームプロファイルが必要」といったアプリケーション固有の制約条件は必ずしも満たさないことになります。
例えば「マルチモードファイバを用いたビームプロファイルの実験データ」のページでは、マルチモードファイバ内をスキュー光線のみが伝搬するように、レーザを15° で入射した例をご覧いただけます。スキュー光線とは図1のようにファイバの軸と交差しない光線です。この入射光のビームプロファイルは図2のようになりますが、これでも0°で入射したメリジオナル光線と比較して>60%の透過率が得られます。スキュー光線は高次の導波モードを含みます。モード次数が高いほど、中央に集中する強度は小さくなります。ファーフィールドにおけるドーナツ状のビームプロファイルは、高次の導波モードのみが伝搬していることを示しています。ドーナツの形状はクラッドモードによる伝搬に似ていますが、図2のセットアップではクラッドモードは除去されており、それは図の斜線の領域に光が無いことで示されています。この実験ではレーザを使用しているため入射光のモード分布が良く分かり、その出力ビームプロファイルへの影響を明瞭に観察することができます。しかし、ステップインデックスマルチモードカプラに使用される光源の多くはコリメートされていない、あるいはコヒーレントでないものです。
ステップインデックスのプロファイルを持つマルチモードファイバは、最初の励振状態と同じモード分布(またはモードフィル)を維持する傾向があります。図1は、スキュー光線として入射された光が、スキュー光線として伝搬し続ける様子を示しています。この特性はタイプの異なるマルチモードファイバであるグレーデッドインデックスファイバでは全く対照的で、常に光線を中央に集中させようとします。このためグレーデッドインデックスファイバでは、入射時のモード分布に関わらずガウシアンの強度分布で出力する傾向があります。これに対してステップインデックスファイバでは入射時のモード分布が維持されるため、出力ビームプロファイルは励振条件に大きく依存します。
溶融型のステップインデックスファイバーカプラは、ステップインデックスファイバそのもののモード依存性に加えて、エバネッセント波結合の性質によるモード依存性を示します。高次の導波モードのエバネッセント場は大きくなるため、低次モードよりもタップ出力に対して結合しやすくなります。そのため、タップファイバに結合する光が少ないほど高次モードが支配的になります。例えば分岐比が99:1のカプラでは、主に低次モードの光は信号ポートから出力し、高次モードの光はタップポートから出力します。対照的に、分岐比が50:50のカプラでは、信号ポートとタップポートから同様の出力が得られます。ステップインデックスファイバとマルチモード結合の双方にモード依存性があるため、これらのカプラの励振条件は平衡モード分布に正確に合致させる必要があります。当社の製造工程ではそうすることを標準の手法としています(詳細は下の平衡モード分布 (EMD)の段落をご覧ください)。
タップポートでの不均一なビームプロファイル
平衡モード分布で励振された場合でも、分岐比が50:50以外のカプラのタップポートでは、上で説明した結合に対する高次モードの優位性により不均一なビームプロファイルが生じます。単純なガウシアンプロファイルの基本モードとは異なり、高次モードはコアの中心に強度が集中しない複雑なプロファイルを持ちます。しかしファイバの境界では、このような高次モードが組み合わされてかなりフラットな様相を示します。右表の画像は、平衡モード分布を励振条件としたときに得られる、マルチモードカプラのタップ出力ポートのニアフィールドおよびファーフィールドのプロファイルを示しています。ニアフィールドの画像は、自由空間での伝搬をほとんどしていないため、ファイバ内のビームプロファイルを良く表しています。左側の欄の画像から分かるように、分岐比が99:1であっても、タップポートのファイバ内のビームプロファイルはまだ平坦に見えます。高次の導波モードが及ぼす非ガウシアンの効果は、右側の欄のファーフィールド画像にのみ見ることができます。
例えば99:1のファーフィールド画像では、ドーナツ状のプロファイルがはっきりと見えています。この画像はクラッドモードの伝搬を示しているかのように見えますが、ビームはカプラに入射される前にモードフィルタリングされています。ドーナツプロファイルは分岐比が大きいほど顕著で、分岐比が50:50のカプラでは信号ポートとタップポートの出力プロファイルは共に平坦になります。75:25、90:10、99:1の分岐比で見られるファーフィールドでのドーナツプロファイルは、タップポートに対して高次モードが優先的に結合することによるものです。タップポートのファーフィールドで精密な強度分布を必要とする用途においては、このような性質が結果に影響する場合があります。その場合には、適切な出力ビームプロファイルが得られるよう、出力に対してモード調整器をご利用ください。それ以外の場合は、カプラが適切な励振状態で使用されていれば、マルチモードカプラのほとんどの用途に対して影響を与えることはありません。
平衡モード分布(EMD)
平衡モード分布はファイバ内の光の特別な伝搬状態で、ファイバの長さやモードフィルの初期状態に依存しないモード分布です。理論的には、オーバーフィルで励振した場合は、非常に長いファイバ(>300 m)を伝搬すると、平衡モード分布になる傾向があります。実際には、モード調整のセットアップにおいて動径方向に対して平坦な強度プロファイルが得られるこが、EMDが実現されていることの良い指標になります。例えば、図3はモード調整を行った105 µmコアファイバの出力の断面ラインプロファイルを示しています。プロファイルは明らかにコア全体に渡って非常に平坦であり、これはモード調整がEMDを得るのに有効だったことを示しています。
EMDを満たす励振状態を作るにはいくつかのステップを踏む必要があります。最初に、初期状態として多くの伝搬モードを有するインコヒーレント光源を使用する必要があります。次に、すべてのモードにある程度の光パワーが分配されるよう、オーバーフィルの状態(「マルチモードファイバのチュートリアル」をご覧ください)で励振します。それ以上のモード調整を行わなくても、初期のガウシアン強度分布における高次モードは減衰し、ビームプロファイルはファイバを伝搬するにつれて変化します。従って、次のステップはモードミキシング(あるいはモードスクランブル)になります。モードミキシングには、パッチケーブルの入力部に付けたディフューザーチップを使用したり、パッチケーブルを蛇行させたり、あるいはジグザグ形や8の字状に曲げたりする方法があります。モードミキシング後のビームプロファイルはかなり平坦になるはずですが、まだクラッドモードが存在する可能性があります。次のステップのモードフィルタリング(またはモードストリップ)では、そのような不要なクラッドモードを除去します。モードフィルタリングの標準的な方法は、マンドレルにファイバを5~10回きつく巻き付けることです。ステップインデックスマルチモードカプラは、EMDが得られるようにモード調整されたインコヒーレント光源を使用することで、適切な性能で動作します。
2x2融着型光ファイバーカプラの仕様の定義
このタブでは、2x2カプラの主な仕様の定義について、説明します。 カプラのポートは下の広帯域カプラの概略図で定義されています。ここでは光はPort 1に入射されます。 よって、このカプラにおいてはPort 3ならびにPort 4がそれぞれタップ出力ならびに信号出力となります。
過剰損失
過剰損失(dB)は、出力パワーの合計と入力パワーの合計の割合で決まります。
Pport1は、Port 1の入力パワー、Pport3+Pport4は、Port 3と4の出力パワーの合計です。Port 2の入力パワーはゼロと仮定します。 全てのパワーは、mWで表しています。
偏波依存性損失(PDL)
偏波依存性損失は、偏光状態によって変化した透過率の最大値と最小値の比率と定義されます。この仕様値は、偏光を維持するよう設計されていなカプラのみに適用します。PDLは常にdB単位で表し、下記の式で求めることができます。
このときPmax は、すべての偏光状態を走査したときのカプラの透過率の最大値です。 Pminは同じく偏光を走査した時の最小の透過率です。
光反射減衰量(ORL)/ダイレクティビティ
ダイレクティビティは、ある入力ポートからの入力量に対する、もう一方の入力ポート(つまりPort 2)からの出力量の比率として規定されます。 以下の式を用いて計算し、dBで表します。
Pport1ならびにPport2は、それぞれPort 1ならびにPort 2の光パワー(mW)です。 この出力は、カプラの分岐部における後方反射により生じるもので、ポート3および4からの出力量の損失の一因になります。 50:50のカプラにおけるダイレクティビティは、光反射減衰量(ORL)と等しくなります。
挿入損失
挿入損失は、入力パワーと、カプラの出力ポートのどちらか(信号またはタップ)の出力パワーの割合と定義されます。 挿入損失は常にデシベル(dB)で表します。 一般的に以下の式で定義されます。
PinならびにPoutは入力パワーならびに出力パワーです(mW)。 当社の2x2カプラは、信号出力、タップ出力両方の仕様値を規定しています。仕様書には常に信号出力の挿入損失が先に記載されています。 出力するPort 3またはPort 4の挿入損失は以下の式で定義します。
Port 1から入射時のPort 2での挿入損失も同様の式を用いますが、 これは上記のとおり、すでにカプラのダイレクティビティで定義されています。
挿入損失には分岐の影響(例:ほかの出力ポートに伝達される光)と過剰損失(例:カプラから失われる光)の両方が含まれます。各出力ポート(信号出力とタップ出力)ごとに許容される最大挿入損失は規定されています。しかしそれぞれの出力ポートの挿入損失は、ほかの出力ポートに分岐した光と相関しているため、両方の出力ポートで同時に最大挿入損失に達することはありません。
挿入損失をdBm単位により計算
挿入損失は、dBmの単位で表した光パワーでも簡単に求められます。 下の式はmWならびにdBmで表した光パワーの関係です。
dBで表す挿入損失は、以下の式で求められます。
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分岐比計算結果のグラフ表示
分岐比
挿入損失(dB)は、入力パワーと、カプラの各分岐部分からの出力パワーの割合を表しています。 これには分岐の影響と過剰損失値が含まれています。 分岐比は挿入損失の測定値から算出します。 分岐比(%)は各出力ポート(AおよびB)からの光パワーと、両方の出力ポートからの光パワーの合計との割合を波長毎に表したものです。 水の吸収帯域などのスペクトル特性については、どちらの分岐部も等しく影響を受けるため、分岐比には関係しません。
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均一性計算結果のグラフ表示
均一性
均一性も、分岐比と同様に挿入損失の測定値から算出できます。 均一性とは規定の帯域における挿入損失の変化(dB)のことです。 規定のスペクトル領域において、挿入損失がどれだけ均等に分布しているかを測定します。 経路Aの均一性は、挿入損失の最大値と赤い実線で示された挿入損失曲線(上のグラフ参照)との差となっています。 経路Bの均一性は、青い実線で示された挿入損失曲線と挿入損失の最小値の差となっています。
一般的な結合例
2x2の溶融型光ファイバーカプラは、2本の光ファイバからの光を損失を最小限に抑えながら特定の分岐比で分岐または混合させます。 当社では、分岐比が50:50、75:25、90:10、99:1の4種類のカプラを標準品としてご用意しています。 当社の溶融型光ファイバーカプラは 全て双方向、つまり全てのポートを入力用として使用できます。 右の動画では結合例をいくつかご紹介しています。
「信号出力」および「タップ出力」は、それぞれ高出力と低出力を指します。 例えば、光がカプラTW1064R1A2A(分岐比99:1)の白いポートから入射した場合、透過光の99%は反対側の白いポートに結合し、残りの1%は 赤いポートに結合します。 この例において、2つ目の白いポートは信号出力ポートと呼ばれ、赤いポートはタップ出力ポートと呼ばれます。 50:50のカプラでは、信号ポートとタップポートの出力パワーは等しくなります。
当社の広帯域カプラでは、信号は常に青から赤または白から白へ伝搬します。一方、タップは常に青から白または白から赤へ伝搬します。下の図は左から右に向かってご覧ください。 狭帯域カプラにおける信号およびタップの伝搬経路については、カプラに付属するデータシートでご確認ください。
Coupling Ratio | Insertion Loss (Signal) | Insertion Loss (Tap) |
---|---|---|
90:10 | 0.6 dB | 10.1 dB |
50:50 | 3.2 dB | 3.2 dB |
特定の結合例
下の例では、2つの1300 nmの2x2広帯域光ファイバーカプラ(分岐比50:50および90:10)を用いて、AならびにBから信号を入力します。右の表にそれぞれのカプラの挿入損失の仕様を示しています(信号出力およびタップ出力)。 それぞれの出力パワー(dBm)は、入力パワーから信号出力またはタップ出力の挿入損失を差し引くことで求められます。
例1: 1本の入力光を分岐
この例では、下の図のように、カプラは1本の入力光を信号出力およびタップ出力に分岐しています。 下の表では、出力ポートは緑で色付けされています。
例2:2本の入力光からの信号を混合
この例では、カプラは信号Aおよび信号Bの2つの入力光を混合します。出力光には信号Aおよび信号Bが分岐比に応じて混合されています。 全てのポートは下の図に示されています。下の表では、出力ポートは緑で色付けされています。
例3:ポート3に設置したリフレクタからの戻り信号を結合
ここでは、1本の入力光を分岐するためにカプラを用いていますが、この例では下の図のようにポート3に100%のリフレクタを設置しています。 その結果、光は反射してカプラ内に戻り、再度分岐します。 これらのポートは下の図に示されています。 下の表では、最初の経路の出力ポートが緑で色づけされています。
Quick Links |
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Damage at the Air / Glass Interface |
Intrinsic Damage Threshold |
Preparation and Handling of Optical Fibers |
レーザによる石英ファイバの損傷
このチュートリアルではコネクタ無し(素線)ファイバ、コネクタ付きファイバ、およびレーザ光源に接続するその他のファイバ部品に関連する損傷メカニズムを詳しく説明しています。そのメカニズムには、空気/ガラス界面(自由空間結合時、またはコネクタ使用時)ならびにファイバ内における損傷が含まれます。ファイバ素線、パッチケーブル、または溶融型カプラなどのファイバ部品の場合、損傷につながる複数の可能性(例:コネクタ、ファイバ端面、機器そのもの)があります。ファイバが対処できる最大パワーは、常にそれらの損傷メカニズムの中の最小の限界値以下に制限されます。
損傷閾値はスケーリング則や一般的なルールを用いて推定することはできますが、ファイバの損傷閾値の絶対値は利用方法やユーザ定義に大きく依存します。このガイドは、損傷リスクを最小に抑える安全なパワーレベルを推定するためにご利用いただくことができます。適切な準備と取扱い方法に関するガイドラインにすべて従えば、ファイバ部品は規定された最大パワーレベルで使うことができます。最大パワーの値が規定されていない場合は、部品を安全に使用するために下表の「実用的な安全レベル」の範囲に留めてご使用ください。 パワー処理能力を低下させ、ファイバ部品に損傷を与える可能性がある要因は、ファイバ結合時のミスアライメント、ファイバ端面の汚れ、あるいはファイバそのものの欠陥などですが、これらに限られるわけではありません。特定の用途におけるファイバのパワー処理能力に関するお問い合わせは当社までご連絡ください。
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損傷のないファイバ端
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損傷のあるファイバ端
空気/ガラス界面における損傷
空気/ガラス界面ではいくつかの損傷メカニズムが存在する可能性があります。自由空間結合の時、またはコネクタで2本のファイバを結合した時、光はこの界面に入射します。高強度の光は端面を損傷し、ファイバのパワー処理能力の低下や恒久的な損傷につながる場合があります。コネクタ付きのファイバで、コネクタがエポキシ接着剤でファイバに固定されている場合、高強度の光によって発生した熱により接着剤が焼けて、ファイバ端面に残留物が残る可能性があります。
Estimated Optical Power Densities on Air / Glass Interfacea | ||
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Type | Theoretical Damage Thresholdb | Practical Safe Levelc |
CW (Average Power) | ~1 MW/cm2 | ~250 kW/cm2 |
10 ns Pulsed (Peak Power) | ~5 GW/cm2 | ~1 GW/cm2 |
ファイバ素線端面での損傷メカニズム
ファイバ端面での損傷メカニズムはバルクの光学素子の場合と同様なモデル化ができ、UV溶融石英(UVFS)基板の標準的な損傷閾値を石英ファイバに当てはめることができます。しかしバルクの光学素子とは異なり、光ファイバの空気/ガラス界面においてこの問題に関係する表面積やビーム径は非常に小さく、特にシングルモードファイバの場合はそれが顕著です。 パワー密度が与えられたとき、ファイバに入射するパワーは、小さいビーム径に対しては小さくする必要があります。
右の表では光パワー密度に対する2つの閾値が記載されています。理論的な損傷閾値と「実用的な安全レベル」です。一般に、理論的損傷閾値は、ファイバ端面の状態も結合状態も非常に良いという条件で、損傷のリスク無しにファイバの端面に入射できる最大パワー密度の推定値を表しています。「実用的な安全レベル」のパワー密度は、ファイバ損傷のリスクが極めて小さくなる値を示しています。ファイバまたはファイバ部品をこの実用的な安全レベルを超えて使用することは可能ですが、その時は取扱い上の注意事項を適切に守り、使用前にローパワーで性能をテストする必要があります。
シングルモードの実効面積の計算
シングルモードファイバの実効面積は、モードフィールド径(MFD)、すなわちファイバ内の光が伝搬する部分の断面積によって定義されます。この面積にはファイバのコアとクラッドの一部が含まれます。シングルモードファイバとの結合効率を良くするためには、入射ビーム径をファイバのモードフィールド径に合致させなければなりません。
例として、シングルモードファイバSM400を400 nmで使用した時のモードフィールド径(MFD)は約Ø3 µmで、SMF-28 Ultraを1550 nmで使用したときのモードフィールド径(MFD)はØ10.5 µmです。これらのファイバの実効面積は下記の通り計算します。
SM400 Fiber: Area = Pi x (MFD/2)2 = Pi x (1.5 µm)2 = 7.07 µm2 = 7.07 x 10-8 cm2
SMF-28 Ultra Fiber: Area = Pi x (MFD/2)2 = Pi x (5.25 µm)2 = 86.6 µm2 = 8.66 x 10-7 cm2
ファイバ端面が対応できるパワーを推定するには、パワー密度に実効面積を乗じます。なおこの計算は均一な強度プロファイルを想定しています。しかしほとんどのレーザービームでは、シングルモード内でガウス分布を示すため、ビームの端よりも中央のパワー密度が高くなります。よって、これらの計算は損傷閾値または実用的安全レベルに対応するパワーとは若干異なることを考慮する必要があります。連続光源を想定して上記のパワー密度の推定値を使用すると、それぞれのパワーは下記のように求められます。
SM400 Fiber: 7.07 x 10-8 cm2 x 1 MW/cm2 = 7.1 x 10-8 MW = 71 mW (理論的損傷閾値)
7.07 x 10-8 cm2 x 250 kW/cm2 = 1.8 x 10-5 kW = 18 mW (実用的な安全レベル)
SMF-28 Ultra Fiber: 8.66 x 10-7 cm2 x 1 MW/cm2 = 8.7 x 10-7 MW = 870 mW (理論的損傷閾値)
8.66 x 10-7 cm2 x 250 kW/cm2 = 2.1 x 10-4 kW = 210 mW (実用的な安全レベル)
マルチモードの実効面積
マルチモードファイバの実効面積は、そのコア径によって定義されますが、一般にシングルモードファイバのMFDよりもはるかに大きくなります。当社では最適な結合を得るためにコア径のおよそ70~80%にビームを集光することをお勧めしています。マルチモードファイバでは実効面積が大きくなるほどファイバ端面でのパワー密度は下がるので、より大きな光パワー(通常キロワットオーダ)を入射しても損傷は生じません。
フェルール・コネクタ付きファイバに関する損傷メカニズム
コネクタ付きシングルモード石英ファイバに入力可能なパワー処理限界値(概算)を示したグラフ。各線はそれぞれの損傷メカニズムに応じたパワーレベルの推定値を示しています。 入力可能な最大パワーは、損傷メカニズムごとに制限されるパワーのうちの一番小さな値(実線で表示)によって制限されます。
コネクタ付きファイバのパワー処理能力に関しては、ほかにも考慮すべき点があります。ファイバは通常、エポキシ接着剤でセラミック製またはスチール製のフェルールに取り付けられています。光がコネクタを通してファイバに結合されると、コアに入射せずにファイバを伝搬する光は散乱されてファイバの外層からフェルール内へ、さらにフェルール内でファイバを保持する接着剤へと伝搬します。光の強度が大きいとエポキシ接着剤が焼け、それが蒸発して残留物がコネクタ端面に付着します。これによりファイバ端面に局所的に光を吸収する部分ができ、それに伴って結合効率が減少して散乱が増加するため、さらなる損傷の原因となります。
エポキシ接着剤に関連する損傷は、いくつかの理由により波長に依存します。一般に、光の散乱は長波長よりも短波長で大きくなります。短波長用のMFDの小さなシングルモードファイバへの結合時には、ミスアライメントに伴ってより多くの散乱光が発生する可能性があります。
エポキシ樹脂が焼損するリスクを最小に抑えるために、ファイバ端面付近のファイバとフェルール間にエポキシ接着剤の無いエアギャップを有するファイバーコネクタを構築することができます。当社の高出力用マルチモードファイバーパッチケーブルでは、このような設計のコネクタを使用しております。
複数の損傷メカニズムがあるときのパワー処理限界値を求める方法
ファイバーケーブルまたはファイバ部品において複数の損傷要因がある場合(例:ファイバーパッチケーブル)、入力可能なパワーの最大値は必ずファイバ部品構成要素ごとの損傷閾値の中の一番小さな値により決まります。この値が一般的にはパッチケーブルの端面に入射可能な最大のパワーを表します(出力パワーではありません)。
右のグラフは、シングルモードパッチケーブルにおけるファイバ端面での損傷とコネクタでの損傷に伴うパワー処理限界の推定値を例示しています。 ある波長におけるコネクタ付きファイバの総合的なパワー処理限界値は、その波長に対する2つの制限値の小さい方の値(実線)によって制限されます。488 nm付近で使用しているシングルモードファイバは主にファイバ端面の損傷(青い実線)によって制限されますが、1550 nmで使用しているファイバはコネクタの損傷(赤い実線)によって制限されます。
マルチモードファイバの実効面積はコア径で定義され、シングルモードファイバの実効面積より大きくなります。その結果、ファイバ端面のパワー密度が小さくなり、大きな光パワー(通常キロワットオーダ)を入射してもファイバに損傷は生じません(グラフには表示されていません)。しかし、フェルール・コネクタの損傷による限界値は変わらないため、マルチモードファイバが処理できる最大パワーはフェルールとコネクタによって制限されることになります。
上記の値は、取り扱いやアライメントが適切で、それらによる損傷が生じない場合のパワーレベルです。また、ファイバはここに記載されているパワーレベルを超えて使用されることもあります。しかし、そのような使い方をする場合は一般に専門的な知識が必要で、まずローパワーでテストして損傷のリスクを最小限に抑える必要があります。その場合においても、ハイパワーで使用するファイバ部品は消耗品と捉えた方が良いでしょう。
ファイバ内の損傷閾値
空気/ガラス界面で発生する損傷に加え、ファイバのパワー処理能力はファイバ内で発生する損傷メカニズムによっても制限されます。この制限はファイバ自体が本質的に有するもので、すべてのファイバ部品に適用されます。ファイバ内の損傷は、曲げ損失による損傷とフォトダークニングによる損傷の2つに分類されます。
曲げ損失
ファイバが鋭く曲げられると、コア内を伝搬する光がコア/クラッド界面において反射する際に、その反射角が全反射臨界角よりも大きくなります。曲げ損失は、このように内部全反射ができなくなることにより生じる損失です。このような状況下では、光はファイバから局所的に漏れだします。漏れる光のパワー密度は一般に大きく、ファイバのコーティングや補強チューブが焼損する可能性があります。
特殊ファイバに分類されるダブルクラッドファイバは、コアに加えてファイバのクラッド(2層目)も導波路として機能するため、曲げ損失による損傷のリスクが抑えられます。クラッドと被覆の界面の臨界角をコアとクラッドの界面の臨界角より大きくすることで、コアから漏れた光はクラッド内に緩く閉じ込められます。その後、光はセンチメートルからメートルオーダーの距離に渡って漏れ出しますが、局所的ではないため損傷リスクは最小に留められます。当社ではメガワットレベルの大きなパワーにも対応するNA 0.22のダブルクラッドマルチモードファイバを製造、販売しております。
フォトダークニング
もう1つのファイバ内の損傷メカニズムとして、特にコアにゲルマニウムが添加されたファイバをUVや短波長の可視光で使用した時に起こるフォトダークニングまたはソラリゼーションがあります。これらの波長で使用されたファイバは時間の経過とともに減衰量が増加します。 フォトダークニングが発生するメカニズムはほとんど分かっていませんが、その現象を緩和するファイバはいくつか開発されています。例えば、水酸イオン(OH)が非常に低いファイバはフォトダークニングに耐性があることが分かっています。またフッ化物などのほかの添加物もフォトダークニングを低減させる効果があります。
しかし、上記の対応をとったとしても、UV光や短波長に使用したファイバはいずれフォトダークニングが生じます。よってこれらの波長で使用するファイバは消耗品としてお考えください。
光ファイバの準備ならびに取扱い方法
一般的なクリーニングならびに操作ガイドライン
この一般的なクリーニングならびに操作ガイドラインはすべてのファイバ製品向けにお勧めしております。さらに付属資料やマニュアルに記載された個々の製品に特化したガイドラインも遵守してください。損傷閾値の計算は、すべてのクリーニングおよび取扱い手順に適切に従ったときにのみ適用することができます。
(コネクタ付き、またはファイバ素線に関わらず)ファイバを設置または組み込む前に、すべての光源はOFFにしてください。これにより、損傷の可能性のあるコネクタまたはファイバの脆弱な部分に集光されたビームが入射しないようにすることができます。
ファイバやコネクタ端面の品質がファイバのパワー処理能力に直結します。ファイバを光学系に接続する前に必ずファイバ端を点検してください。端面はきれいで、入射光の散乱を招く汚れや汚染物質があってはなりません。ファイバ素線は使用前にクリーブし、クリーブの状態が良好であることを確認するためにファイバ端面の点検をしてください。
ファイバを光学系に融着接続する場合、ハイパワーで使用する前にまずローパワーで融着接続の状態が良いことを確認してください。融着接続の品質が良くないと接続面での散乱が増え、ファイバ損傷の原因となる場合があります。
システムのアライメントや光結合の最適化などの作業はローパワーで行ってください。これによりファイバの(コア以外の)他の部分の露光が最小に抑えられます。ハイパワーのビームがクラッド、被覆またはコネクタに集光された場合、散乱光による損傷が発生する可能性があります。
ハイパワーでファイバを使用するための要点
光ファイバやファイバ部品は一般には安全なパワー限界値内で使用する必要がありますが、アライメントや端面のクリーニングがとても良い理想的な条件下では、ファイバ部品のパワー限界値を上げることができる場合があります。入力または出力パワーを増加させる前に、システム内のファイバ部品の性能と安定性を確認し、またすべての安全ならびに操作に関する指示に従わなければなりません。下記はファイバ内またはファイバ部品内の光パワーをの増大させること加を検討していするときに役立つご提案です。
ファイバースプライサを使用してファイバ部品をシステムに融着接続すると、空気/ファイバ界面での損傷の可能性を最小化できます。品質の高い融着接続が実現されるよう、すべて適切なガイドラインに則って実施する必要があります。融着接続の状態が悪いと、散乱や融着接続面での局所的な加熱などが発生し、ファイバを損傷する可能性があります。
ファイバまたはファイバ部品の接続後、ローパワーでシステムのテストやアライメントを実施してください。システムパワーを必要な出力パワーまで徐々に上昇させ、その間、定期的にすべての部品が適切にアライメントされ、結合効率が入力パワーによって変動していないことを確認します。
ファイバを鋭く曲げると曲げ損失が発生し、ファイバのストレスを受けた部分から光が漏れる可能性があります。ハイパワーで使用している時は、大量の光が小さな局所領域(歪みのある領域)から流出すると局所的に加熱され、ファイバが損傷する可能性があります。使用中はファイバの曲げが生じないよう配慮し、曲げ損失を最小限に抑えてください。
また、用途に適したファイバを選ぶことも損傷防止に役立ちます。例えば、ラージモードエリアファイバは、標準的なシングルモードファイバをハイパワー光用として用いる場合の良い代替品となります。優れたビーム品質を有しながらMFDも大きいため、空気/ファイバ界面でのパワー密度は小さくなります。
ステップインデックスシングルモード石英ファイバは、一般にUV光やピークパワーの大きなパルス光には使用しませんが、これはその用途に伴う空間パワー密度が大きいためです。
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光ファイバ内の全反射
光ファイバ内の光の伝搬
光ファイバは光学製品を大分類すると光導波路の一部で、内部全反射(TIR)を利用して個体または液体構造内に光を閉じ込め、伝搬させます。その中でも光ファイバは数多くの用途に使用され、一般的な例としては光通信、分光、照明などがあげられます。
広く使用されているガラス(石英)ファイバの構造の1つに右の図で示しているステップインデックスファイバがあります。ステップインデックスファイバのコアは周りのクラッド層よりも屈折率の高い材料でできています。 光が周りの媒質により屈折するのではなく、コアとクラッドの界面で反射する入射角が存在します。ファイバ内で全反射する条件を満たすために、ファイバの入射角をある角度より低くしなければなりません。この角度は受光角度、θaccと定義されます。 角度を求めるにはスネルの法則が使用されます。
ここでncoreはファイバのコアの屈折率、ncladはファイバのクラッドの屈折率、nは外側の媒質の屈折率、θcritは臨界角、そしてθaccはファイバの受光角度の半角となります。開口数はファイバの製造メーカが使用する無次元数で、光ファイバの受光角度により規定されます。下記の式で表します。
大径コアのステップインデックスファイバ(マルチモード)では、この式を用いてNAが直接求められます。NAはファーフィールドビームのプロファイルをたどり、ビームの中心からビーム強度が最大の5%になる点までの角度を測ることによって、実験によっても求められます。しかし、計算式でNAを直接求めることが最も正確な値を得る方法になります。
光ファイバ内のモード数
光ファイバ内で光が伝搬する経路はファイバの導波モードとして知られています。コア・クラッド領域の物理的寸法、屈折率、そして波長により、1本の光ファイバ内では1から何千のモードが存在することになります。最も一般的に製造されているのは2種類で、シングルモードファイバ(単一導波モードが存在)とマルチモードファイバ(多数の導波モードが存在)があります。マルチモードファイバにおいては、低次モードではファイバのコア内に光を空間的に閉じ込める傾向があり、一方、高次モードではコアとクラッドの界面近くで光を空間的に閉じ込める傾向があります。
光ファイバのモード数(シングルモードまたはマルチモード)はいくつかのシンプルな計算により予測することができます。規格化された光の周波数(V-number)は自由空間光周波数に比例する無次元数ですが、光ファイバの導波特性を示します。V-numberは下の式で定義されます。
Vは規格化周波数(V-number)、aはファイバのコア半径、λは自由空間波長です。マルチモードファイバのV-numberは大きく、例えば、コアØ50 µm、NA0.39のマルチモードファイバのV-numberは波長1.5 µmにおいて40.8です。
V-numberが大きいマルチモードファイバにおけるモード数は下の関係式で概算します。
上記のコアØ50 µm、NA0.39のマルチモードファイバの例では、ファイバ内を同時期に伝搬するモード数は約832となります。
シングルモードファイバはV-numberが2.405未満あると定義されています。これは光がファイバの基本モードのみに結合することを表しています。この条件を満たすためにシングルモードファイバは同じ波長でのマルチモードファイバに比べてコアサイズとNAが大幅に小さくなります。1つの例として、SMF-28 Ultraのシングルモードファイバの公称NAは0.14、コアはØ8.2 µmで、1550 nmにおけるVナンバは2.404です。
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マクロベンドロスによる減衰
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マイクロベンドロスによる減衰
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マルチモードファイバFT200EMT透過後のビームプロファイル測定結果。旧製品LED M565F1(代替品 M565F3) の光がコアではなく、ファイバのクラッドに導かれていることが示されています。
減衰の要因
光ファイバ内の損失は減衰とも呼ばれ、ファイバの全伝送損失を予測するために特性化し、数値化されます。これらの損失の原因は通常波長に依存し、またファイバそのものに使用されている材料からファイバの曲げによるものなど様々です。減衰が生じる一般的な要因を下記に説明しております。
吸収
標準的な光ファイバ内の光はファイバ材料を介して導かれているため、光がファイバを伝搬するにつれて吸収による損失があります。標準的なファイバは溶融石英を使用して製造され、1300 nm~1550 nmで透過するよう最適化されています。これよりも長い波長(>2000 nm)だと、溶融石英内の多光子相互作用により、大幅な吸収につながります。フッ化ジルコニウム(ZrF4 )やフッ化インジウム(InF3)が主に中赤外域用ファイバの製造に使用されているのは、これらの波長で低損失だからです。ZrF4 ならびにInF3 の(多光子相互作用が起こらない)限界波長はそれぞれ約3.6 µmと4.6 µmです。
ファイバ内の異物も吸収損失の原因となります。 不純物質の1例は、1300 nmと2.94 µm付近の光を吸収する、ファイバのガラス内に閉じ込めれた水分子です。アプリケーションによっては(光通信など)はこの波長領域を利用するため、ファイバ内の水分子が信号を大幅に減衰します。
製造メーカではよくファイバーガラス内のイオンの密度を制御することでファイバの透過・減衰特性の調整を行っています。例えば、水酸化物イオン(OH-)はもともと石英に含まれていて、近赤外~赤外スペクトル域で光を吸収します。そのため、低OHのファイバは通信波長での透過に適しています。一方で高OHのファイバは通常、UV波長で透過率が増加するため、蛍光用途やUV~可視域での分光用途向けに適しています。
散乱
光ファイバの用途の多くでは、光散乱が損失の主な原因です。散乱は媒質の屈折率の変化が起きた場所で生じます。このような屈折率の変化には不純物、粒子、泡など外因的なものと、ガラスの密度、組成、相状態の変動による内因的なものがあります。散乱は光の波長に反比例しますので、UVや青色のスペクトル領域などの短い波長では大きな散乱損失が起こります。適切なファイバのクリーニング、処理、ならびに保管手順により、大きな散乱損失を招くファイバ先端の不純物を最小限に留めることができます。
曲げ損失
光ファイバの外部ならびに内部形状の変化によって起こる損失は曲げ損失と呼ばれています。通常曲げ損失はマクロベンドロスとマイクロベンドロスの2つのカテゴリーに分けられます。
マクロベンドロスは一般的に光ファイバの物理的な曲げ、例えば細いコイルに巻くような場合に生じる損失です。右の画像のように、導波光はファイバのコアならびにクラッド領域内に空間的に分布されています。ファイバを曲げた場合、径の外側付近の光は速度を上げないことには同じ空間モードプロファイルを維持することはできません。維持できない場合、放射光として光エネルギが周囲に奪われます。曲げ半径が大きいと曲げに関わる損失は小さくなります。ただし、推奨するファイバの曲げ半径より小さい曲げ半径では大幅な曲げ損失となります。光ファイバは、短時間であれば小さい曲げ半径でも動作可能ですが、長期間保管する際の曲げ半径は推奨する値よりも大きくしてください。 適切な保管状態(温度と曲げ半径)でファイバの恒久的な損傷の可能性を下げることができます。ファイバ収納リールFSR1は高曲げ損失が最小に抑えられるよう設計されています。
マイクロベンドロスは、ファイバの内部形状、とりわけコアとクラッド層の変化により起こります。これらのファイバ構造内のランダムな変化(凹凸など)は、内部全反射に必要な条件を妨げ、伝搬する光がファイバの外に漏れる非伝搬モードに結合する原因となります(右の画像をご覧ください)。曲げ半径によるマクロベンドロスとは異なり、マイクロベンドロスはファイバの製造過程で起こるファイバの恒久的な欠陥によるものです。
クラッドモード
マルチモードファイバ内の光のほとんどはコア内の内部全反射により伝搬しますが、高次モードでは、クラッドとコーティング・バッファの界面での内部全反射によりコア層とクラッド層の両方で光を伝搬する場合があります。これはクラッドモードと呼ばれます。右のビームプロファイル測定はこの1例です。ファイバのコア内よりもクラッド内で高い強度のクラッドモードを示しています。これらは非伝搬モードの(つまり、内部全反射の条件を満たさない)場合と、ファイバをかなり長く伝搬する場合があります。クラッドモードは一般的に高次のため、ファイバの曲げや欠陥によるマイクロベンドは損失の原因となります。クラッドモードは、2本のファイバをコネクタで接続した場合、簡単に結合できないため消失します。
クラッドモードはそのビームの空間プロファイルへの影響により、用途(例:自由空間への入射)によっては望ましくない場合があります。ファイバ長が長くなると、このモードは自然に減衰します。ファイバ長が短い場合(<10 m)、希望する伝搬モードを維持しながらファイバからクラッドモードを除去する方法の1つとして、マンドレルラップを使用してクラッドモードが除去できる半径で曲げる方法があります。
入射状態
アンダーフィルの入射状態
幅広い開口で光を受容する大径マルチモードファイバの場合、ファイバに結合する光の状態(例:光源種類、ビーム径、NA)が透過性能に著しい影響を及ぼすことがあります。アンダーフィルの入射状態は、入射光の界面でのビーム径ならびにNAがファイバのコア径ならびにNAよりも小さいときに起こります。一般的な例としてレーザ光源を大径マルチモードファイバに入射する例があります。下の図ならびにビームプロファイル測定画面でご覧いただけるように、アンダーフィルの入射状態ではファイバの中心に光を空間的に集光する傾向があり、高次モードよりも低次モードが得やすくなります。その結果、マクロベンドの影響は少なく、クラッドモードもありません。アンダーフィルの入射状態における挿入損失の測定値は典型値よりも低い傾向にあり、またパワー密度はファイバのコアの方がより高くなります。
オーバーフィルの入射状態
オーバーフィルの入射状態は、入射光の界面でのビーム径ならびにNAがファイバのコア径ならびにNAよりも大きいときに起こる状態によって定義されます。この状態はLED光源の光を小径マルチモードファイバに入射する場合に得られます。オーバーフィルの入射状態ではファイバのコア全体とクラッドの一部に光があたり、低次モードと高次モードが均一に得られ(下の図参照)、そしてクラッドモードに結合する可能性が高くなります。高次モードの割合が高くなることにより、オーバーフィル状態のファイバは曲げにさらに敏感になります。オーバーフィルの入射状態における挿入損失の測定値は典型値よりも高い傾向にありますが、全体的な出力パワーはアンダーフィルの入射状態に比べて高くなります。
アンダーフィルとオーバーフィルの入射状態には、用途の要件によって長所や欠点があります。マルチモードファイバの基本性能を測定するには、ファイバのコア径に対して70~80%のビーム径の入射光を使用することをお勧めします。オーバーフィル状態のファイバは、短い距離では出力パワーが高くなります。しかし、長い距離(>10~ 20 m)では減衰の影響をより受けやすい高次モードが消失します。
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Item # | Info | Wavelength Range | Coupling Ratioa,b | Coupling Ratio Tolerancea,b | Insertion Lossa,b | Excess Lossa,b | Max Power Levelc | Core / Cladding Diameter | Fiberd | Termination |
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TM400R5S2B | 400 - 2200 nm (Low OH) | 50:50 | ±5.0% | ≤4.2 dB / ≤4.2 dB | ≤0.65 dB (Typical) | 5 W (Connectors or Bare) 10 W (Spliced) | 400 µm / 440 µm | FG400LEA or Equivalent | SMA905 | |
TM400R5F2B | FC/PC |
Item # | Info | Wavelength Range | Coupling Ratioa,b | Coupling Ratio Tolerancea,b | Insertion Lossa,b | Excess Lossa,b | Max Power Levelc | Core / Cladding Diameter | Fiberd | Termination |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
TM400R3S2B | 400 - 2200 nm (Low OH) | 75:25 | ±3.0% | ≤2.2 dB / ≤7.3 dB | ≤0.65 dB (Typical) | 5 W (Connectors or Bare) 10 W (Spliced) | 400 µm / 440 µm | FG400LEA or Equivalent | SMA905 | |
TM400R3F2B | FC/PC |
Item # | Info | Wavelength Range | Coupling Ratioa,b | Coupling Ratio Tolerancea,b | Insertion Lossa,b | Excess Lossa,b | Max Power Levelc | Core / Cladding Diameter | Fiberd | Termination |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
TM400R2S2B | 400 - 2200 nm (Low OH) | 90:10 | ±1.5% | ≤1.3 dB / ≤11.5 dB | ≤0.65 dB (Typical) | 5 W (Connectors or Bare) 10 W (Spliced) | 400 µm / 440 µm | FG400LEA or Equivalent | SMA905 | |
TM400R2F2B | FC/PC |