N-BK7平凸レンズ、高出力、Vコーティング:780 nm
- Positive Focal Length and Near Best Form for Infinite Conjugate Applications
- AR V-Coated: 780 nm
- R < 0.25% at 780 nm
- Damage Threshold: 10 J/cm2 (10 ns, 10 Hz)
LA1131-780
(Ø1")
LA1304-780
(Ø1/2")
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Common Specifications | |
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Lens Shape | Plano-Convex |
Substrate Material | N-BK7 (Grade A)a |
Coating (V-Coat) | 780 nm |
Diameters Available | 1/2" or 1" |
Diameter Tolerance | +0.00/-0.10 mm |
Thickness Tolerance | ±0.1 mm |
Focal Length Tolerance | ±1% |
Surface Quality | 20-10 Scratch-Dig |
Damage Thresholdb | 10 J/cm2 (810 nm, 10 ns, 10 Hz, Ø0.164 mm) |
Design Wavelength | 587.6 nm |
Index of Refraction @ 780 nm | 1.515 |
Reflectance @ 780 nm | <0.25% |
Surface Flatness (Plano Side) | λ/2 |
Spherical Surface Powerc (Convex Side) | 3λ/2 |
Surface Irregularity (Peak to Valley) | λ/4 |
Abbe # | vd = 64.17 |
Centration | ≤3 arcmin |
Clear Aperture | >90% of Diameter |
Focal Length Tolerance | ±1% |
特長
- 材質: N-BK7
- AR Vコーティング: 780 nm
- Ø12.7 mm(Ø1/2インチ)またはØ25.4 mm(Ø1インチ)の平凸球面単レンズ
これらの平凸レンズは、N-BK7ガラスから加工されており、最大パルス出力10 J/cm2の一般的な高出力半導体レーザと一緒に使用できるよう、780 nmのレーザーラインVコーティングが施されています。N-BK7は、高品質の光学部品用に一般的に使われている光学ガラスで、UV溶融石英の利点(UV領域での高い透過率や低い熱膨張率)が必要とされない用途では、一般的にN-BK7が選ばれています。
平凸レンズは、多くの用途で使用されています。正の焦点距離を持ち、無限および有限共役比の用途に対して、ベストフォームに近い形状を有しています。平凸レンズは、コリメート光を後方焦点へ集光し、一方、点光源からの光を平行にします。
球面収差を最小化するためには、集光する場合、コリメート光をレンズの球面側に入射します。一方、コリメート光にする場合は、点光源からの光を平面側から入射します。レンズの焦点距離は、単純化された厚肉レンズの公式から計算できます。f= R/(n-1)において、nは屈折率、Rはレンズ表面の曲率です。レンズはアッベ数が64.17のN-BK7ガラスから加工されています。アッベ数は分散の指標です。
Vコーティング:
Vコーティングは多層、反射防止、誘電性の薄膜コーティングで、規定の入射角の範囲内で使用した場合、狭い波長帯域で低い反射率を達成します。 反射率が最小を示す波長から外れると急速に反射率が増加しており、V字形の反射率カーブとなっています(「グラフ」タブの性能プロットを参照)。 広帯域ARコーティングと比較して、誘電体Vコーティングは狭い帯域においてより低い反射率を達成します。
Vコーティングレンズは、コーティング波長で0.25%未満の反射率を示し、優れた透過率をご提供します。そのため、半導体レーザに適しています。同様に、光が複雑な光学系を透過する用途にも適しています。Vコーティング球面単レンズは、損傷閾値が最大10 J/cm2(10 ns、10 Hz)であるため、高出力の用途にも適しています。
Other N-BK7 Plano-Convex V-Coats | ||||||
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633 nm | ||||||
532 / 1064 nm |
Quick Links to Other Spherical Singlets | ||||||
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Plano-Convex | Bi-Convex | Best Form | Plano-Concave | Bi-Concave | Positive Meniscus | Negative Meniscus |
下図はN-BK7ガラス(RoHS準拠BK7ガラス)の透過率曲線です。この曲線は厚さ10 mmのコーティングされていないサンプルの全透過率を表しており、表面反射の影響も含んでいます。ここでご紹介しているN-BK7レンズに対しては、532/1064 nm、633 nm、780 nmのレーザーラインVコーティングをご用意しています。
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生データはこちらからダウンロードいただけます。
Vコーティング
Vコーティングは反射防止用の多層誘電体薄膜コーティングで、狭い波長帯で反射率が最小となるように設計されています。反射率が最小となる波長の両側では反射率が急速に増加し、下のグラフのようにV字形の反射率曲線になります。当社のVコーティングは、コーティング波長における1表面あたりの最小反射率として0.25%未満が得られ、また0〜20°の入射角(AOI)に対応するように設計されています。広帯域ARコーティングと比べると、Vコーティングは、特定の入射角で使用したとき、より狭い帯域幅でより低い反射率が得られます。
780 nm Vコーティングの反射率(AOI:0~20°)
右のグラフは左のグラフの青い網掛け部分を拡大したものです。
その他のARコーティング
上記以外にも以下のようなVコーティング付きN-BK7平凸レンズをご用意しております。
- -YAG Vコーティング(532/1064 nm)
- -633 Vコーティング(633 nm)
- -780 Vコーティング(780 nm)
Tまた、下のグラフに示すような反射特性を有する広帯域誘電体ARコーティングが施されたN-BK7平凸レンズもご用意しています。こちらをクリックすると、N-BK7平凸レンズ用のコーティングのラインナップをご覧いただけます。
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データはこちらからダウンロードいただけます。
図をクリックして生データをダウンロードしてください。厚レンズ方程式では、波長に依存する平凸レンズの焦点距離を概算するために、対象波長でのN-BK7の屈折率を使用してください。
厚い球面レンズの焦点距離は、下の厚レンズ方程式を使って計算できます。この式では、nl はレンズの屈折率、R1 および R2 はそれぞれレンズ面1と2の曲率半径、d はレンズの中心厚さです。
平凸レンズの焦点距離の計算に厚レンズ方程式を使う場合、R1=∞ 、R2=-Rとなります。Rの前に付いているマイナス記号はレンズの公式を導く際に使用された決まりごとです。Rの値は下記の仕様表やレンズの図面に掲載されています。これらを代入すると厚レンズの公式は下のようになります。
上記の厚レンズ方程式を使って計算されるレンズの焦点距離は、第2(後側)主面(H") からコリメートビームがレンズの曲面側に入力して集光される位置までの距離となります。厚レンズの主面位置は次の方程式で計算することができます。
および
しかし、厚レンズ方程式を平凸レンズ主面位置の計算に使用する場合、H' はゼロに、H" は下式に簡略化されます。
fb はレンズの後方焦点距離で、レンズの作動距離とも呼ばれます。
Damage Threshold Specifications | |
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Coating Designation (Item # Suffix) | Damage Threshold |
-780 | 10 J/cm2 (810 nm, 10 ns, 10 Hz, Ø0.164 mm) |
当社のVコーティング付きN-BK7レンズの損傷閾値データ
右の仕様は当社のVコーティング付きN-BK7レンズの測定値です。損傷閾値の仕様はコーティングの種類が同じであればサイズや焦点距離にかかわらず同じです。
レーザによる損傷閾値について
このチュートリアルでは、レーザ損傷閾値がどのように測定され、使用する用途に適切な光学素子の決定にその値をどのようにご利用いただけるかを総括しています。お客様のアプリケーションにおいて、光学素子を選択する際、光学素子のレーザによる損傷閾値(Laser Induced Damage Threshold :LIDT)を知ることが重要です。光学素子のLIDTはお客様が使用するレーザの種類に大きく依存します。連続(CW)レーザは、通常、吸収(コーティングまたは基板における)によって発生する熱によって損傷を引き起こします。一方、パルスレーザは熱的損傷が起こる前に、光学素子の格子構造から電子が引き剥がされることによって損傷を受けます。ここで示すガイドラインは、室温で新品の光学素子を前提としています(つまり、スクラッチ&ディグ仕様内、表面の汚染がないなど)。光学素子の表面に塵などの粒子が付くと、低い閾値で損傷を受ける可能性があります。そのため、光学素子の表面をきれいで埃のない状態に保つことをお勧めします。光学素子のクリーニングについては「光学素子クリーニングチュートリアル」をご参照ください。
テスト方法
当社のLIDTテストは、ISO/DIS 11254およびISO 21254に準拠しています。
初めに、低パワー/エネルギのビームを光学素子に入射します。その光学素子の10ヶ所に1回ずつ、設定した時間(CW)またはパルス数(決められたprf)、レーザを照射します。レーザを照射した後、倍率約100倍の顕微鏡を用いた検査で確認し、すべての確認できる損傷を調べます。特定のパワー/エネルギで損傷のあった場所の数を記録します。次に、そのパワー/エネルギを増やすか減らすかして、光学素子にさらに10ヶ所レーザを照射します。このプロセスを損傷が観測されるまで繰返します。損傷閾値は、光学素子が損傷に耐える、損傷が起こらない最大のパワー/エネルギになります。1つのミラーBB1-E02の試験結果は以下のようなヒストグラムになります。
上の写真はアルミニウムをコーティングしたミラーでLIDTテストを終えたものです。このテストは、損傷を受ける前のレーザのエネルギは0.43 J/cm2 (1064 nm、10 ns pulse、 10 Hz、Ø1.000 mm)でした。
Example Test Data | |||
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Fluence | # of Tested Locations | Locations with Damage | Locations Without Damage |
1.50 J/cm2 | 10 | 0 | 10 |
1.75 J/cm2 | 10 | 0 | 10 |
2.00 J/cm2 | 10 | 0 | 10 |
2.25 J/cm2 | 10 | 1 | 9 |
3.00 J/cm2 | 10 | 1 | 9 |
5.00 J/cm2 | 10 | 9 | 1 |
試験結果によれば、ミラーの損傷閾値は 2.00 J/cm2 (532 nm、10 ns pulse、10 Hz、 Ø0.803 mm)でした。尚、汚れや汚染によって光学素子の損傷閾値は大幅に低減されるため、こちらの試験はクリーンな光学素子で行っています。また、特定のロットのコーティングに対してのみ試験を行った結果ではありますが、当社の損傷閾値の仕様は様々な因子を考慮して、実測した値よりも低めに設定されており、全てのコーティングロットに対して適用されています。
CWレーザと長パルスレーザ
光学素子がCWレーザによって損傷を受けるのは、通常バルク材料がレーザのエネルギを吸収することによって引き起こされる溶解、あるいはAR(反射防止)コーティングのダメージによるものです[1]。1 µsを超える長いパルスレーザについてLIDTを論じる時は、CWレーザと同様に扱うことができます。
パルス長が1 nsと1 µs の間のときは、損傷は吸収、もしくは絶縁破壊のどちらかで発生していると考えることができます(CWとパルスのLIDT両方を調べなければなりません)。吸収は光学素子の固有特性によるものか、表面の不均一性によるものかのどちらかによって起こります。従って、LIDTは製造元の仕様以上の表面の質を有する光学素子にのみ有効です。多くの光学素子は、ハイパワーCWレーザで扱うことができる一方、アクロマティック複レンズのような接合レンズやNDフィルタのような高吸収光学素子は低いCWレーザ損傷閾値になる傾向にあります。このような低い損傷閾値は接着剤や金属コーティングにおける吸収や散乱によるものです。
繰返し周波数(prf)の高いパルスレーザは、光学素子に熱的損傷も引き起こします。この場合は吸収や熱拡散率のような因子が深く関係しており、残念ながらprfの高いレーザが熱的影響によって光学素子に損傷を引き起こす場合の信頼性のあるLIDTを求める方法は確立されておりません。prfの大きいビームでは、平均出力およびピークパワーの両方を等しいCW出力と比較する必要があります。また、非常に透過率の高い材料では、prfが上昇してもLIDTの減少は皆無かそれに近くなります。
ある光学素子の固有のCWレーザの損傷閾値を使う場合には、以下のことを知る必要があります。
- レーザの波長
- ビーム径(1/e2)
- ビームのおおよその強度プロファイル(ガウシアン型など)
- レーザのパワー密度(トータルパワーをビームの強度が1/e2の範囲の面積で割ったもの)
ビームのパワー密度はW/cmの単位で計算します。この条件下では、出力密度はスポットサイズとは無関係になります。つまり、スポットサイズの変化に合わせてLIDTを計算し直す必要がありません(右グラフ参照)。平均線形パワー密度は、下の計算式で算出できます。
ここでは、ビーム強度プロファイルは一定であると仮定しています。次に、ビームがホットスポット、または他の不均一な強度プロファイルの場合を考慮して、おおよその最大パワー密度を計算する必要があります。ご参考までに、ガウシアンビームのときはビームの強度が1/e2の2倍のパワー密度を有します(右下図参照)。
次に、光学素子のLIDTの仕様の最大パワー密度を比較しましょう。損傷閾値の測定波長が光学素子に使用する波長と異なっている場合には、その損傷閾値は適宜補正が必要です。おおよその目安として参考にできるのは、損傷閾値は波長に対して比例関係であるということです。短い波長で使う場合、損傷閾値は低下します(つまり、1310 nmで10 W/cmのLIDTならば、655 nmでは5 W/cmと見積もります)。
この目安は一般的な傾向ですが、LIDTと波長の関係を定量的に示すものではありません。例えば、CW用途では、損傷はコーティングや基板の吸収によってより大きく変化し、必ずしも一般的な傾向通りとはなりません。上記の傾向はLIDT値の目安として参考にしていただけますが、LIDTの仕様波長と異なる場合には当社までお問い合わせください。パワー密度が光学素子の補正済みLIDTよりも小さい場合、この光学素子は目的の用途にご使用いただけます。
当社のウェブ上の損傷閾値の仕様と我々が行った実際の実験の値の間にはある程度の差があります。これはロット間の違いによって発生する誤差を許容するためです。ご要求に応じて、当社は個別の情報やテスト結果の証明書を発行することもできます。損傷解析は、類似した光学素子を用いて行います(お客様の光学素子には損傷は与えません)。試験の費用や所要時間などの詳細は、当社までお問い合わせください。
パルスレーザ
先に述べたように、通常、パルスレーザはCWレーザとは異なるタイプの損傷を光学素子に引き起こします。パルスレーザは損傷を与えるほど光学素子を加熱しませんが、光学素子から電子をひきはがします。残念ながら、お客様のレーザに対して光学素子のLIDTの仕様を照らし合わせることは非常に困難です。パルスレーザのパルス幅に起因する光学素子の損傷には、複数の形態があります。以下の表中のハイライトされた列は当社の仕様のLIDT値が当てはまるパルス幅に対する概要です。
パルス幅が10-9 sより短いパルスについては、当社の仕様のLIDT値と比較することは困難です。この超短パルスでは、多光子アバランシェ電離などのさまざまなメカニクスが損傷機構の主流になります[2]。対照的に、パルス幅が10-7 sと10-4 sの間のパルスは絶縁破壊、または熱的影響により光学素子の損傷を引き起こすと考えられます。これは、光学素子がお客様の用途に適しているかどうかを決定するために、レーザービームに対してCWとパルス両方による損傷閾値を参照しなくてはならないということです。
Pulse Duration | t < 10-9 s | 10-9 < t < 10-7 s | 10-7 < t < 10-4 s | t > 10-4 s |
---|---|---|---|---|
Damage Mechanism | Avalanche Ionization | Dielectric Breakdown | Dielectric Breakdown or Thermal | Thermal |
Relevant Damage Specification | No Comparison (See Above) | Pulsed | Pulsed and CW | CW |
お客様のパルスレーザに対してLIDTを比較する際は、以下のことを確認いただくことが重要です。
- レーザの波長
- ビームのエネルギ密度(トータルエネルギをビームの強度が1/e2の範囲の面積で割ったもの)
- レーザのパルス幅
- パルスの繰返周波数(prf)
- 実際に使用するビーム径(1/e2 )
- ビームのおおよその強度プロファイル(ガウシアン型など)
ビームのエネルギ密度はJ/cm2の単位で計算します。右のグラフは、短パルス光源には、エネルギ密度が適した測定量であることを示しています。この条件下では、エネルギ密度はスポットサイズとは無関係になります。つまり、スポットサイズの変化に合わせてLIDTを計算し直す必要がありません。ここでは、ビーム強度プロファイルは一定であると仮定しています。ここで、ビームがホットスポット、または他の不均一な強度プロファイルの場合を考慮して、おおよその最大パワー密度を計算する必要があります。ご参考までに、ガウシアンビームのときは一般にビームの強度が1/e2のときの2倍のパワー密度を有します。
次に、光学素子のLIDTの仕様と最大エネルギ密度を比較しましょう。損傷閾値の測定波長が光学素子に使用する波長と異なっている場合には、その損傷閾値は適宜補正が必要です[3]。経験則から、損傷閾値は波長に対して以下のような平方根の関係であるということです。短い波長で使う場合、損傷閾値は低下します(例えば、1064 nmで 1 J/cm2のLIDTならば、532 nmでは0.7 J/cm2と計算されます)。
波長を補正したエネルギ密度を得ました。これを以下のステップで使用します。
ビーム径は損傷閾値を比較する時にも重要です。LIDTがJ/cm2の単位で表される場合、スポットサイズとは無関係になりますが、ビームサイズが大きい場合、LIDTの不一致を引き起こす原因でもある不具合が、より明らかになる傾向があります[4]。ここで示されているデータでは、LIDTの測定には<1 mmのビーム径が用いられています。ビーム径が5 mmよりも大きい場合、前述のようにビームのサイズが大きいほど不具合の影響が大きくなるため、LIDT (J/cm2)はビーム径とは無関係にはなりません。
次に、パルス幅について補正します。パルス幅が長くなるほど、より大きなエネルギに光学素子は耐えることができます。パルス幅が1~100 nsの場合の近似式は以下のようになります。
お客様のレーザのパルス幅をもとに、光学素子の補正されたLIDTを計算するのにこの計算式を使います。お客様の最大エネルギ密度が、この補正したエネルギ密度よりも小さい場合、その光学素子はお客様の用途でご使用いただけます。ご注意いただきたい点は、10-9 s と10-7 sの間のパルスにのみこの計算が使えることです。パルス幅が10-7 sと10-4 sの間の場合には、CWのLIDTも調べなければなりません。
当社のウェブ上の損傷閾値の仕様と我々が行った実際の実験の値の間にはある程度の差があります。これはロット間の違いによって発生する誤差を許容するためです。ご要求に応じて、当社では個別のテスト情報やテスト結果の証明書を発行することも可能です。詳細は、当社までお問い合わせください。
[1] R. M. Wood, Optics and Laser Tech. 29, 517 (1998).
[2] Roger M. Wood, Laser-Induced Damage of Optical Materials (Institute of Physics Publishing, Philadelphia, PA, 2003).
[3] C. W. Carr et al., Phys. Rev. Lett. 91, 127402 (2003).
[4] N. Bloembergen, Appl. Opt. 12, 661 (1973).
レーザーシステムが光学素子に損傷を引き起こすかどうか判断するプロセスを説明するために、レーザによって引き起こされる損傷閾値(LIDT)の計算例をいくつかご紹介します。同様の計算を実行したい場合には、右のボタンをクリックしてください。計算ができるスプレッドシートをダウンロードいただけます。ご使用の際には光学素子のLIDTの値と、レーザーシステムの関連パラメータを緑の枠内に入力してください。スプレッドシートでCWならびにパルスの線形パワー密度、ならびにパルスのエネルギ密度を計算できます。これらの値はスケーリング則に基づいて、光学素子のLIDTの調整スケール値を計算するのに用いられます。計算式はガウシアンビームのプロファイルを想定しているため、ほかのビーム形状(均一ビームなど)には補正係数を導入する必要があります。 LIDTのスケーリング則は経験則に基づいていますので、確度は保証されません。なお、光学素子やコーティングに吸収があると、スペクトル領域によってLIDTが著しく低くなる場合があります。LIDTはパルス幅が1ナノ秒(ns)未満の超短パルスには有効ではありません。
ガウシアンビームの最大強度は均一ビームの約2倍です。
CWレーザの例
波長1319 nm、ビーム径(1/e2)10 mm、パワー0.5 Wのガウシアンビームを生成するCWレーザーシステム想定します。このビームの平均線形パワー密度は、全パワーをビーム径で単純に割ると0.5 W/cmとなります。
しかし、ガウシアンビームの最大パワー密度は均一ビームの約2倍です(右のグラフ参照)。従って、システムのより正確な最大線形パワー密度は1 W/cmとなります。
アクロマティック複レンズAC127-030-CのCW LIDTは、1550 nmでテストされて350 W/cmとされています。CWの損傷閾値は通常レーザ光源の波長に直接スケーリングするため、LIDTの調整値は以下のように求められます。
LIDTの調整値は350 W/cm x (1319 nm / 1550 nm) = 298 W/cmと得られ、計算したレーザーシステムのパワー密度よりも大幅に高いため、この複レンズをこの用途に使用しても安全です。
ナノ秒パルスレーザの例:パルス幅が異なる場合のスケーリング
出力が繰返し周波数10 Hz、波長355 nm、エネルギ1 J、パルス幅2 ns、ビーム径(1/e2)1.9 cmのガウシアンビームであるNd:YAGパルスレーザーシステムを想定します。各パルスの平均エネルギ密度は、パルスエネルギをビームの断面積で割って求めます。
上で説明したように、ガウシアンビームの最大エネルギ密度は平均エネルギ密度の約2倍です。よって、このビームの最大エネルギ密度は約0.7 J/cm2です。
このビームのエネルギ密度を、広帯域誘電体ミラーBB1-E01のLIDT 1 J/cm2、そしてNd:YAGレーザーラインミラーNB1-K08のLIDT 3.5 J/cm2と比較します。LIDTの値は両方とも、波長355 nm、パルス幅10 ns、繰返し周波数10 Hzのレーザで計測しました。従って、より短いパルス幅に対する調整を行う必要があります。 1つ前のタブで説明したようにナノ秒パルスシステムのLIDTは、パルス幅の平方根にスケーリングします:
この調整係数により広帯域誘電体ミラーBB1-E01のLIDTは0.45 J/cm2に、Nd:YAGレーザーラインミラーのLIDTは1.6 J/cm2になり、これらをビームの最大エネルギ密度0.7 J/cm2と比較します。広帯域ミラーはレーザによって損傷を受ける可能性があり、より特化されたレーザーラインミラーがこのシステムには適していることが分かります。
ナノ秒パルスレーザの例:波長が異なる場合のスケーリング
波長1064 nm、繰返し周波数2.5 Hz、パルスエネルギ100 mJ、パルス幅10 ns、ビーム径(1/e2)16 mmのレーザ光を、NDフィルタで減衰させるようなパルスレーザーシステムを想定します。これらの数値からガウシアン出力における最大エネルギ密度は0.1 J/cm2になります。Ø25 mm、OD 1.0の反射型NDフィルタ NDUV10Aの損傷閾値は355 nm、10 nsのパルスにおいて0.05 J/cm2で、同様の吸収型フィルタ NE10Aの損傷閾値は532 nm、10 nsのパルスにおいて10 J/cm2です。1つ前のタブで説明したように光学素子のLIDTは、ナノ秒パルス領域では波長の平方根にスケーリングします。
スケーリングによりLIDTの調整値は反射型フィルタでは0.08 J/cm2、吸収型フィルタでは14 J/cm2となります。このケースでは吸収型フィルタが光学損傷を防ぐには適した選択肢となります。
マイクロ秒パルスレーザの例
パルス幅1 µs、パルスエネルギ150 µJ、繰返し周波数50 kHzで、結果的にデューティーサイクルが5%になるレーザーシステムについて考えてみます。このシステムはCWとパルスレーザの間の領域にあり、どちらのメカニズムでも光学素子に損傷を招く可能性があります。レーザーシステムの安全な動作のためにはCWとパルス両方のLIDTをレーザーシステムの特性と比較する必要があります。
この比較的長いパルス幅のレーザが、波長980 nm、ビーム径(1/e2)12.7 mmのガウシアンビームであった場合、線形パワー密度は5.9 W/cm、1パルスのエネルギ密度は1.2 x 10-4 J/cm2となります。これをポリマーゼロオーダ1/4波長板WPQ10E-980のLIDTと比較してみます。CW放射に対するLIDTは810 nmで5 W/cm、10 nsパルスのLIDTは810 nmで5 J/cm2です。前述同様、光学素子のCW LIDTはレーザ波長と線形にスケーリングするので、CWの調整値は980 nmで6 W/cmとなります。一方でパルスのLIDTはレーザ波長の平方根とパルス幅の平方根にスケーリングしますので、1 µsパルスの980 nmでの調整値は55 J/cm2です。光学素子のパルスのLIDTはパルスレーザのエネルギ密度よりはるかに大きいので、個々のパルスが波長板を損傷することはありません。しかしレーザの平均線形パワー密度が大きいため、高出力CWビームのように光学素子に熱的損傷を引き起こす可能性があります。
Recommended Mounting Options for Thorlabs Lenses | ||
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Item # | Mounts for Ø2 mm to Ø10 mm Optics | |
Imperial | Metric | |
(Various) | Fixed Lens Mounts and Mini-Series Fixed Lens Mounts for Small Optics, Ø5 mm to Ø10 mm | |
(Various) | Small Optic Adapters for Use with Standard Fixed Lens Mounts, Ø2 mm to Ø10 mm | |
Item # | Mounts for Ø1/2" (Ø12.7 mm) Optics | |
Imperial | Metric | |
LMR05 | LMR05/M | Fixed Lens Mount for Ø1/2" Optics |
MLH05 | MLH05/M | Mini-Series Fixed Lens Mount for Ø1/2" Optics |
LM05XY | LM05XY/M | Translating Lens Mount for Ø1/2" Optics |
SCP05 | 16 mm Cage System, XY Translation Mount for Ø1/2" Optics | |
(Various) | Ø1/2" Lens Tubes, Optional SM05RRC Retaining Ring for High-Curvature Lenses (See Below) | |
Item # | Mounts for Ø1" (Ø25.4 mm) Optics | |
Imperial | Metric | |
LMR1 | LMR1/M | Fixed Lens Mount for Ø1" Optics |
LM1XY | LM1XY/M | Translating Lens Mount for Ø1" Optics |
ST1XY-S | ST1XY-S/M | Translating Lens Mount with Micrometer Drives (Other Drives Available) |
CXY1A | 30 mm Cage System, XY Translation Mount for Ø1" Optics | |
(Various) | Ø1" Lens Tubes, Optional SM1RRC Retaining Ring for High-Curvature Lenses (See Below) | |
Item # | Mount for Ø1.5" Optics | |
Imperial | Metric | |
LMR1.5 | LMR1.5/M | Fixed Lens Mount for Ø1.5" Optics |
(Various) | Ø1.5" Lens Tubes, Optional SM1.5RR Retaining Ring for Ø1.5" Lens Tubes and Mounts | |
Item # | Mounts for Ø2" (Ø50.8 mm) Optics | |
Imperial | Metric | |
LMR2 | LMR2/M | Fixed Lens Mount for Ø2" Optics |
LM2XY | LM2XY/M | Translating Lens Mount for Ø2" Optics |
CXY2 | 60 mm Cage System, XY Translation Mount for Ø2" Optics | |
(Various) | Ø2" Lens Tubes, Optional SM2RRC Retaining Ring for High-Curvature Lenses (See Below) | |
Item # | Adjustable Optic Mounts | |
Imperial | Metric | |
LH1 | LH1/M | Adjustable Mount for Ø0.28" (Ø7.1 mm) to Ø1.80" (Ø45.7 mm) Optics |
LH2 | LH2/M | Adjustable Mount for Ø0.77" (Ø19.6 mm) to Ø2.28" (Ø57.9 mm) Optics |
VG100 | VG100/M | Adjustable Clamp for Ø0.5" (Ø13 mm) to Ø3.5" (Ø89 mm) Optics |
SCL03 | SCL03/M | Self-Centering Mount for Ø0.15" (Ø3.8 mm) to Ø1.77" (Ø45.0 mm) Optics |
SCL04 | SCL04/M | Self-Centering Mount for Ø0.15" (Ø3.8 mm) to Ø3.00" (Ø76.2 mm) Optics |
LH160C | LH160C/M | Adjustable Mount for 60 mm Cage Systems, Ø0.50" (Ø13 mm) to Ø2.00" (Ø50.8 mm) Optics |
SCL60CA | SCL60C/M | Self-Centering Mount for 60 mm Cage Systems, Ø0.15" (Ø3.8 mm) to Ø1.77" (Ø45.0 mm) Optics |
曲率が高い光学素子の取付け
当社の固定リングはマウント無しの光学素子をレンズチューブまたは光学マウント内に固定します。リングの位置固定には対応するスパナレンチを使用します。平面光学素子や曲率が低い光学素子用には黒アルマイト製の固定リングをØ5 mm~Ø101.6 mm(Ø4インチ)まで標準品としてご用意しております。曲率が高い光学素子用には、厚みのある固定リングをØ12.7 mm(Ø1/2インチ)、Ø25.4 mm(Ø1インチ)、Ø50.8 mm(Ø2インチ)でご用意しております。
厚みのある固定リングは非球面レンズ、短焦点距離の平凸レンズ、コンデンサーレンズなど、曲率が高い光学素子の取り付けに使用します。右の動画のように通常の固定リングを曲率が高い光学素子に使用した場合、スパナレンチのガイドフランジが光学素子の表面に接触し、光学素子を傷つける可能性があります。また、スパナレンチと固定リングの間に隙間ができるため、固定リングが正しく締め付けられません。厚みのある固定リングは、スパナレンチが光学素子の表面に接触することなくレンズを固定させることができます。
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