チューブ型ピエゾアクチュエーター
![](https://www.thorlabs.co.jp/Images/GuideImages/12336_PiezoTube_2.jpg)
- Axial and Radial Contraction
- Maximum Voltage of 500 V
- 2.8 μm Axial and 1.8 μm Radial Displacement (Free Stroke)
PT49LMW
Piezo Tube,
Pre-Attached 75 mm Wires
PT49LM
Piezo Tube,
Bare Electrodes
Arrows Indicate Directions of Contraction
Top View of the PT49LM
Ø7.0 mm
Positive Electrode
Ø8.0 mm
Negative Electrode
![](../../images/loading-red.gif)
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チューブ型ピエゾアクチュエータの内面は正の電極ですので、正電圧を印加してください。
特長
- 軸方向および半径方向に変位
- アクチュエータの電極は裸電極またはワイヤ付き
- 駆動電圧範囲:0~500 V
- 開ループシステム用
- 真空ならびに組み込み用途(OEM用途)に適した製品
- カスタム仕様にも対応可能(詳細は当社までお問い合わせください)。
こちらのピエゾアクチュエータは、円筒形の薄いセラミックシートでできています。外径は8.0 mm、内径は7.0 mmです。チューブ型ピエゾアクチュエータの最大変位量は、円筒の軸方向で2.8 µm、半径方向で1.8 µmです。電極に正の電圧が印加されると、アクチュエータは半径方向および軸方向の両方で収縮します。内面は正の電極になっており、ここに正バイアスを印加します。ワイヤ付きアクチュエータの場合は、赤いワイヤが正電極にはんだ付けされています。
こちらのピエゾを使用するときは、負荷は曲面(半径方向の変位)または上下の端部(軸方向の変位)に取り付けます。ただし、その両方に負荷をかけてのご使用はお止め下さい。また、半径方向の負荷は20 N未満にしてください。20 Nを超えると機械的に故障する場合があります。また、半径方向への負荷は外面の中央部分にのみかかるようにし、少なくとも両端からは1 mm以上離れるようにしてください。端部に半径方向の負荷がかかると機械的故障につながる可能性があります。軸方向に負荷を取り付ける場合は、チューブの上下の端部がワイヤと干渉しないように気を付けながら、できる限り広い接触面を確保するようにしてください。こちらのピエゾアクチュエータを使用する際の詳細な情報は「取扱い」タブをご覧ください。
ピエゾ素子は印加した電圧に応じて収縮するため、ピエゾに圧縮方向の負荷を加えるとストロークが増大しますが、その回復に対してはネガティブな影響が表れます。そのため、当社では他のピエゾのようには最大変位が得られる負荷を明示していません。
このピエゾ素子の形状はファイバ伸長やマイクロドージングなどの用途に適しています。
チューブ型ピエゾアクチュエータの構造と使用方法
チューブ型ピエゾアクチュエータは、バルクセラミックを等方加圧し、内部に穴を開けてチューブ状にします。精密な研削加工により、高さおよび外径に対する加工精度は±50 µm以下です。駆動電圧は、チューブの内面および外面に焼き付けられた銀電極に印加します。
チップ型ピエゾアクチュエータの寸法、電圧範囲、コーティングについてはカスタム仕様によるご注文も承ります。また、大量注文にも対応可能です。詳細については当社までお問い合わせください。
![](https://www.thorlabs.co.jp/images/TabImages/Piezo_Manufacturing_Chips_A4-250.jpg)
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PZTブロックを個々の素子に切断する様子
![](https://www.thorlabs.co.jp/images/TabImages/Piezo_Manufacturing_Chips_A5-200.jpg)
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バインダーバーンアウトおよび焼結後のPZT素子
当社におけるピエゾアクチュエータの製造について
ピエゾアクチュエータは中国にある当社の施設内で製造しており、各製造工程を当社が管理しています。これにより、特注や組み込み用途(OEM用途)のデバイスを含め、高品質な製品を低価格でご提供することが可能です。当社におけるピエゾアクチュエータの製造工程の概要は以下の通りです。詳細については、ピエゾ素子の製造能力のページをご参照ください。
- チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)またはBiScO3-PbTiO3 (BSPT)の粉末で形成されたフレキシブルシートからブロックを作成
- 各シート上に内部電極をスクリーン印刷
- 印刷されたシートを積み重ねて層を形成
- 層状のシートを等方プレス
- ブロックを個々の素子にダイシング(切断)
- 素子に熱処理を施して溶媒やバインダ材の残留物を除去
- 素子を焼結して圧電性の圧粉を融着させ、PZTまたはBSPT結晶を生成
- 厳しい寸法公差(±5 µm)を得るために、素子をラップ研磨
- 素子に外部電極をスクリーン印刷
- 素子を分極処理して、PZTまたはBSPT結晶の軸を揃える
使用上の注意点
電源接続
このデバイスには、正バイアスを印加する必要があります。内面は正の電極になっているため正バイアスを印加し、外面は接地してください。デバイスに負のバイアスを印加すると機械的故障につながる可能性があります。ワイヤが付いた製品は、内面に付いている赤いワイヤが正極で、外面についている黒いワイヤが負極(接地)です。
注:駆動後のピエゾアクチュエータには電荷が蓄積しています。正と負の電極を直接接続すると放電し、火花の発生や、さらには故障する危険性もあります。 この電荷を解放するために、当社では電極の間に抵抗(>1 kΩ)を挿入することをお勧めしています。
プリロード
こちらのチューブ型ピエゾアクチュエータは、軸方向および半径方向の両方に変位します。プリロードはどちらの方向にもかけられますが、負荷を両方向に同時に取り付けることはできません。チューブの両端に近い部分は、半径方向の負荷を支持するには十分な強度がありません。そのため、半径方向の負荷は曲面の両端から少なくとも1 mm以上離れた中心部分にのみかかるようにしてください。また、半径方向の負荷はチューブの長さを2等分した面に対しておおよそ対称となるよう分散させてください。ワイヤが内面と外面にはんだ付けされている場合は、それらがチューブの上部と底部に取り付けられる軸方向の負荷と干渉する可能性があります。その場合は、チューブ型ピエゾアクチュエータと軸方向負荷の接触面をできる限り大きくとるようにしてください。
リード線の電極へのはんだ付け
リード線を電極に再接続する場合、はんだ付けの温度は370 °C以下、時間は2秒以内で行ってください。リード線は電極の中心にはんだ付けし、できるだけ熱が広がらないようにしてください。
ピエゾアクチュエータへの負荷の取り付け方
ピエゾセラミックは脆弱で、許容張力も高くはありません。アクチュエータに対して横方向の力や曲げの力がかからないようにしてください。 圧縮方向の外部負荷でも、それに曲げモーメントが伴う場合、ピエゾデバイス内部に高い引っ張り応力が発生することがあります。そのように負荷のかけ方が正しくない場合には、ピエゾアクチュエータには破損の原因となるような内部応力が容易に発生します。 破損を防ぐには、アクチュエータにかかる荷重がアクチュエータの軸に沿って伝達されるように外部負荷を取り付けることが必要です。負荷はできる限りアクチュエータの取付け面の中心部にかかるようにし、また取付け面に対してできるだけ均一にかかるようにしてください。平坦な取付け面の付いたアクチュエータに平坦な面を有する負荷を取り付ける場合は、2つの面が十分に平坦で滑らかであること、また取付けの平行性も十分であることを確認してください。ピエゾアクチュエータに負荷を取り付ける場合、接着剤として、Loctite® Hysol® 9340など、80 °C以下の温度で硬化するエポキシ樹脂のご使用をお勧めします。BiScO3-PbTiO3 (BSPT) ピエゾアクチュエータの場合は、硬化温度120 °C以下、融点250 °C以上の無機接着剤の使用を推奨します。EPO-TEK 353NDは安全にご使用いただけますが、250 °Cで強度が低下するため、機械的構造を保つためにプリロードをかける必要があります。負荷はピエゾアクチュエータの変位する面に取り付けてください。変位しない面への負荷の取付けはアクチュエータの故障につながりますのでご注意ください。
高い周波数で動作させる場合
高い周波数で動作させるには、外部に温度制御システムを取り付けてデバイスを冷やす必要がある場合があります。高い周波数で動作させるとピエゾデバイス内部の温度は上昇しますが、PZTピエゾアクチュエータの最高動作温度は130 °C以下です。より高温でも使用できる製品として、最高動作温度250 °CのBSPTピエゾアクチュエータをご用意しています。各製品のデバイス温度の駆動電圧周波数に対する依存性は、下のinfoアイコンをクリックしてご覧いただけます。デバイスの温度は、仕様の最高動作温度を超えないようにしなければなりません。
負荷荷重と共振周波数の関係
多くの用途において、ピエゾアクチュエータの長さをどの程度の速度で変化させられるかは重要なパラメータです。長さが変化する速度は、ピエゾアクチュエータの共振周波数、ドライバの最大帯域幅、ピエゾアクチュエータの静電容量、駆動信号の振幅など、様々な要因に依存します。電圧によって伸びる長さ(伸長値)は、アクチュエータ駆動電圧とピエゾアクチュエータの長さの関数になります。静電容量が大きくなるほど、アクチュエータの長さの変化は遅くなります。
電圧が急激に変化すると、ピエゾアクチュエータの長さも急速に変化します。印加電圧の大きさによりピエゾアクチュエータの伸長値が決定されます。駆動電圧としてステップ関数型の信号を加えたとき、アクチュエータが最初の長さから最終的な長さにまで変化する最短時間Tminは、共振周波数の周期のおよそ1/3になります。ピエゾアクチュエータに負荷がかかっていない場合、その共振周波数をƒoとすると、最小応答時間は以下の式で表されます。
![](https://www.thorlabs.co.jp/images/TabImages/Piezo_Unloaded_ResponseTime_Tmin_12pt.gif)
公称伸長値に達すると、アクチュエータはその長さの近傍で減衰振動します。振動を低減する仕組みを組み込むこともできますが、それによりアクチュエータの応答性が低下する場合があります。
アクチュエータに負荷を加えると、ピエゾアクチュエータの共振周波数は低下します。負荷無しの場合のアクチュエータの共振周波数が与えられている場合には、ピエゾアクチュエータの質量m、負荷の質量Mを用いて、負荷のある場合の共振周波数(ƒo')を以下の式で求めることができます。
![](https://www.thorlabs.co.jp/images/TabImages/Piezo_LoadedResonant_f_o_prime.gif)
DC電圧で駆動したときのデバイスの推定寿命
ピエゾデバイスの寿命は動作温度、印加電圧ならびに相対湿度の関数になります。DC電圧が印加されているときには、寿命はピエゾデバイスの電極で発生する湿度による電解反応によって短くなります。この反応により水素が発生し、陰極から陽極に向けて金属のデンドライト(樹枝状結晶)が形成されます。電解反応により遊離した水素は、ピエゾ素子と化学反応を起こして劣化させます。形成されたデンドライトは成長して陰極と陽極を電気的に接続することになり、その結果として漏れ電流のレベルが上昇します。ピエゾデバイスが故障しているかどうかは、以下の試験では漏れ電流のレベルが規定の閾値よりも高くなっているかどうかで判断しています。
当社のピエゾデバイスは4面がセラミック製の防湿層で覆われているため、湿度がデバイスの寿命に及ぼす影響は最小限に抑えられています。ピエゾデバイスの寿命の推定方法を調べるために、当社ではセラミックで絶縁された低電圧駆動のピエゾデバイスに対する環境試験を実施しました。その結果を用いて、平均故障時間(MTTF)を見積るための単純なモデルを作成しました。前提として、湿度、温度、印加電圧が既知であることが必要です。推定されたMTTFは、動作温度、相対湿度、電圧に対応する3つの係数の積となります。各パラメータに対応する係数は下記のグラフから読むことができますが、そのデータをダウンロードして適当に内挿を行うこともできます。ここで電圧に関する係数は印加電圧と最大定格電圧の比の関数として表しています。
下記の3つのグラフにおける曲線の実線部分は、当社が実際に試験を実施した範囲を示しています。これらの測定範囲はよく使用される環境条件を考慮して設定しました。実線から続いている点線部分は外挿値で、デバイスを使用する際に遭遇する可能性のある環境条件の範囲を示しています。
寿命推定のためのMTTF計算式:MTTF = fV * fT * fH
例えば、PK2FSF1タイプのデバイスを、相対湿度75 %の環境下で、電圧60 V、温度30 °Cで駆動する場合:
- 下のグラフから、電圧係数は427(PK2FSF1の最大定格電圧 Vmaxは75 V、よってV/Vmax = 60 V / 75 V = 0.80)となります。
- 右のグラフで、温度係数は83です。
- 右下のグラフで、湿度係数は2.8です。
よって、MTTF = 472 * 83 * 2.8 = 99234.8時間となり、11年以上となります。
注:こちらのページのグラフは、当社のセラミック保護された多段チップ型低電圧ピエゾアクチュエータにのみ適用できます。
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fVとV/Vmaxの関係を示したデータを含むエクセルファイルは、こちらをクリックしてご覧いただけます。
これらの温度、電圧および湿度の係数を得るためのデータは、6種類の異なる動作環境下での試験による測定値をもとに分析され、グラフ化されています。異なる10個の専用デバイスのセットを、それぞれ異なる駆動電圧、デバイス温度、相対湿度の組合せによる環境下で試験を行いました。デバイスに閾値100 nAを上回るレベルの漏れ電流が発生した時点で、故障としました。温度、湿度および電圧がそれぞれ寿命に与える影響は以下の関係式を仮定して求めています:
- MTTF = fV(V) * fT(T) * fH(H)
- 電圧のべき乗に比例: fV(V) = A1Vb1
- 相対湿度に対しては、指数関数で変化: fH(T) = A2ecH
- 温度に対しては、アレニウスの式: fT(H) = A3eb2/T
ここでA1、A2、A3、b1、b2、cは測定データの分析により決定される定数、VはDC駆動電圧、Tはデバイスの温度、Hは相対湿度です。MTTFと各係数との数学的関係式が異なるので、MTTFの各係数への依存性を決定できます。そのようにして得られたのが上図のプロットデータです。グラフ内の青い網掛け部分の曲線は、実験データです。点線部分は外挿値です。
これらのデバイスの寿命試験は引き続き実施されています。追加データは準備ができ次第掲載いたします。温度制御用の製品としては、当社のTEC素子などのラインナップがございます。また、温度および湿度のモニタには当社のUSB温湿度ロガーをご利用いただけます。
真空対応製品のクリーニングについて
当社のピエゾアクチュエータで真空に対応している製品については、青いinfoアイコン()をクリックしてご覧いただける仕様表に、対応する真空レベルが記載されています。この真空レベルに到達するのに特別なクリーニングは必要ありませんが、実際のご使用時には、これらの製品をイソプロピルアルコール(IPA)で超音波洗浄を行い、さらに60 °Cで2時間ベーキングすることをお勧めします。デバイスをそのほかの有機溶剤には浸漬しないでください。
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