ウィンドウやフィルタに伴うカメラのフランジバックの変化
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フランジバックがカメラのフランジとセンサ間の距離よりも短くなり得る理由は
カメラとレンズのフランジバック(FFD)を決めるときは、レンズとカメラのセンサ面の間にあるのは空気のみであることを仮定しています。レンズとカメラのセンサの間にウィンドウまたはフィルタ、あるいはその両方が挿入されている場合は、カメラのフランジとセンサ面の間の距離を仕様で指定されたフランジバックよりも長くする必要があるかもしれません。ウィンドウやフィルタにより光路が屈折して焦点面がより遠い位置にシフトするため、フランジバックと同じ距離では短すぎる場合があります。
レンズとカメラセンサの間の光学素子を変更するなら、焦点面のシフト量を計算し、アライメントを保つためにレンズとカメラ間の距離を調整する必要があるかどうか判断してください。焦点の合った像を得るには、適切なアライメントは必要です。理由は、光学素子を変更することで収差やその他の影響が現れ、画像品質が許容できないレベルに低下することがあるためです。
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図2:屈折率の違い(θm vs. θo )により光線が屈折するため、光線の光軸に対する角度は空気中よりも媒質内で浅くなります(nm vs. no )。媒質内でdの距離を伝搬したとき、光線は hm しか光軸に近くなりません。そのため、光線はfの位置よりもΔfだけ遠い位置で光軸と交差します。
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図1:空気中を通る光線は、f.位置で光軸と交差します。光線は距離dを伝搬すると、hoだけ光軸に近くなります。空気の屈折率はno です。
Example of Calculating Focal Shift | |||
---|---|---|---|
Known Information | |||
C-Mount FFD | f | 17.526 mm | |
Total Glass Thickness | d | ~1.6 mm | |
Refractive Index of Air | no | 1 | |
Refractive Index of Glass | nm | 1.5 | |
Lens f-Number | f / N | f / 1.4 | |
Parameter to Calculate | Exact Equations | Paraxial Approximation | |
θo | 20° | ||
ho | 0.57 mm | --- | |
θm | 13° | --- | |
hm | 0.37 mm | --- | |
Δf | 0.57 mm | 0.53 mm | |
f + Δf | 18.1 mm | 18.1 mm |
Equations for Calculating the Focal Shift (Δf ) | ||
---|---|---|
Angle of Ray in Air, from Lens f-Number ( f / N ) | ||
Change in Distance to Axis, Travelling through Air (Figure 1) | ||
Angle of Ray to Axis, in the Medium (Figure 2) | ||
Change in Distance to Axis, Travelling through Optic (Figure 2) | ||
Focal Shift Caused by Refraction through Medium (Figure 2) | Exact Calculation | |
Paraxial Approximation |
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図4:公差や温度の影響により、レンズとカメラのフランジバックが異なることがあります。レンズのフランジバックの方が短い場合には、無限遠の物体の像は焦点調整範囲外になります。このシステムでは焦点を合わせられないため、像はぼやけます。
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図3:カメラとレンズのフランジバックが同じときは、カメラのセンサ面とレンズの焦点面は完全に一致しています。無限遠の物体の鮮明な像は、システムの焦点調整範囲の一端で得られます。
屈折による焦点移動
光が固体媒質を通るときの光路は直線です(図1)。光が焦点に集光していく過程で、光線の光軸に対する角度
平行平面を有する屈折率の高い
光学素子を通るときの光線は、同じ距離だけ空気を通る光線に比べて、光軸に向かう速さは遅くなります。光学素子から出た後の光線の光軸に対する角度は、また光学素子を通過していないときの角度θoになります。しかし、光学素子から出る光線の位置は、光学素子を通らない場合には決して通ることのない、光軸からより遠く離れた位置になります。光学素子によって屈折された光線は光軸からより遠くなるため、光軸と交差する位置は光学素子を通らない光線よりもΔfだけ先にシフトします。光学素子の厚さが増すと、2つの光線の間は広がり、Δfは増大します。
無限遠およびそれを超えた調整
カメラシステムでは、多くのアプリケーションにおいて、無限遠の物体の高品質な像を得ることが要求されます。これらの物体からの光線は平行光で、近い物体からの光線よりもよりレンズに近い位置で焦点を結びます(図3)。カメラとレンズのフランジバックは、無限遠の位置にある物体からの光線の焦点が、カメラのセンサ面と一致するように決められています。レンズに焦点の調整範囲があるときには、その範囲の一端は無限遠の物体に、もう一端はそれよりも近い物体に焦点が合うように調整されています。
温度変化や累積公差などの影響により、レンズやカメラのフランジバックが仕様を満たさない場合があります。レンズの実際のフランジバックがカメラのフランジバックよりも短いときには、カメラのシステムは無限遠の物体の鮮明な像を得ることはできません(図4)。このオフセットは、レンズとカメラセンサの間にある光学素子を取り外したときも生じることがあります。
これを補正するために、レンズによっては焦点を結ぶ物体の位置を、無限遠を「超えて」設定できるようにしています。これは物理的な距離を意味しているわけではなく、単にレンズの焦点面をより遠くまで移動できるようにしているだけです。当社のKiralux™とQuantalux®カメラに付属する調整機能付きCマウントアダプタは、必要に応じて距離を調整できるようになっています。
レンズのフランジバックがカメラのフランジバックよりも長い場合には、無限遠の物体の像はシステムの焦点調整範囲内にありますが、本来は焦点調整範囲内にあるべき近い物体がその範囲外になります。この状況は、レンズとカメラセンサの間に光学素子を挿入することで生じる場合があります。無限遠の物体のイメージングが可能であるならば、この状況はしばしば許容されることがあります。
カメラの設計例
ハーメチックシールされたTE冷却型のCマウントQuantaluxカメラには、フランジ面とセンサ面の間に18.1 mmの固定された距離があります。しかし、Cマウントカメラシステムのフランジバック(f )は17.526 mmです。フランジバックよりも長い距離が必要であることは、ハーメチックカバーにはんだ付けされているウィンドウとセンサを覆うガラスによる焦点移動を考慮すると明白です。図2の下の表に記載されている結果は、厳密な式でも近軸近似の式でも、必要な全体の距離として18.1 mmという値が得られることを示しています。
「Insights-ヒント集」は下記リンクからご覧いただけます。 | 2020年7月31日 |
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