金メッキ付き銅製ピンホール、高パワー光用


  • Precision Pinholes in Gold-Plated Copper Foils
  • Mounted in Copper and Aluminum Housings for Dissipating Heat
  • Designed for High-Power Applications
  • Pinhole Sizes from Ø5 μm to Ø500 μm

P100CBP

High-Power Gold-Plated Copper Pinhole
Ø100 µm

Pinholes can be mounted with the SM1 threads on the rear.

An 8-32 tapped hole on the bottom of the housing allows for direct mouning to posts.

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Pinhole Mounted in LMR1 and SM1L40
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高パワー光用ピンホールは、52 W、975 nmの連続波レーザ光を照射したとき、そのマウントによってホイルの温度が30 °C以上低く保たれます。詳細は「熱的性能」タブをご参照ください。

特長

  • 高パワー光対応のマウントに取り付けられた金メッキ銅ホイル製の精密ピンホール
    • 前面は金メッキ(反射率:77% @800 nm)
    • 裏面は黒色PVDコーティング(反射率:可視域で10~12%)
  • 銅製のインサートがホイルからの熱を逃がすことで、ピンホールの寿命が向上
  • ピンホール径:Ø5 µm~Ø500 μm
  • カスタム仕様のピンホールについては当社までお問い合わせください。

高パワー光用のマウントに取り付けられた当社の金メッキ銅製精密ピンホールは、標準的なピンホールよりも高パワー光に耐えられるように設計されています。これらのマウント付き精密ピンホールは、光の吸収を最小限に抑えてホイルの温度をできるだけ低く保つために、光を反射する金メッキ面にビームを入射する必要があります。 銅製インサートとアルミニウム製マウントはホイルからの熱をできるだけ逃がすように設計されており、それにより高パワー光を使用したときのピンホールの長寿命化を実現しています。パルスレーザの場合は、パルス持続時間が短くなると、より小さな光パワーでピンホールにレーザーアブレーションが発生するのでご注意ください。

精密ピンホールは小さな光学的開口を有し、アライメント、ビーム調整、空間フィルタリング、イメージングなどの用途にご利用いただけます。こちらでご紹介しているピンホールは銅ホイル製で、前面には金メッキ、裏面には黒色PVD(物理蒸着)コーティングが施されています。開口径Ø5 µm~Ø500 µmのピンホールをご用意しており、これらは高パワー光に対応するマウント(銅と黒色アルマイト加工されたアルミニウム製)に取り付けられています。

マウントには型番とピンホールの直径が刻印されています。ピンホールのホイルと銅製インサートは、SM05固定リングをスパナレンチSPW603で緩めて取り外すことができますが、ホイルは非常に薄い(50 µm)ためご注意ください。取り外す際は、ホイルの損傷を防ぐために手袋を着用してください。

ホログラフィをはじめとして、レーザービームの空間的な強度分布を補正しなければならない場合が多々あります。精密ピンホールを、当社の空間フィルターシステムKT311/Mのような位置決めと集光の機能を有するデバイスと組み合わせることで、「ノイズ」フィルタを構成することができます。それを用いることで、ガウシアンビームの強度分布から逸脱する成分を効率的に除去することができます。空間フィルタの詳細については「チュートリアル」タブをご参照ください。

精密ピンホールの種類
当社では様々な材料やコーティングを用いた精密ピンホールをご用意しております。サイズと材料は用途に応じてご選択ください。低パワー光を使用する場合は、光を吸収する黒色化ステンレススチール製ホイルが有用です。一方、高パワー光を使用する場合は、高損傷閾値と高反射率の金メッキ銅製ホイル(マウントは標準タイプと高パワー光対応型をご用意)、高融点と低反射率のタングステン製ホイル、あるいは前面に低反射黒色コーティング(4% @800 nm)の施された高融点のモリブデン製ホイルなどが必要になる場合があります。詳細は「ホイルの比較」タブおよび「グラフ」タブをご覧ください。

当社ではシングルピンホールのほかに、16個のピンホールを放射状に配列したピンホールホイールもご用意しております。これはクロムメッキした溶融石英基板にリソグラフィーエッチングを施して作成されています。このピンホールホイールを使用すると、1つのセットアップ内で様々なピンホールサイズを試験することができます。

基板材料やピンホールサイズについては、標準品として取り揃えているピンホール以外の製品も特注品として承ります。また1つのホイルに複数のピンホールを加工したり、通常と異なるピンホール配列を構成したりすることも可能です。ピンホールのマウントもカスタマイズ可能です。詳細は当社までお問い合わせください。

クリーニング
これらのホイルのコーティングは、溶剤によって不可逆的な損傷を受ける場合があります。ホイルに軽い汚れや染みがついた場合には、イソプロピルアルコール(IPA)を染み込ませたレンズティッシュで取り除いてください。埃などの除去にはクリーンで乾いた空気を軽く吹きかけることをお勧めします。アセトン、メタノール、および脱イオン水の使用は避けてください。

ここでは、高パワー(HP)光用金メッキ銅製ピンホールPxCBPと、標準的なØ25.4 mm(Ø1インチ)アルミニウム製マウント付きの金メッキ銅製ピンホールPxCBの熱的性能を比較した結果を示しています。高パワー光用ピンホールはØ12.7 mmステンレススチール製ポストに取り付け、金メッキ銅製のブランクホイルPBCBはマウントLMR1に装着してØ12.7 mmステンレススチール製ポストに取り付けました。52 W、975 nmの連続波レーザ光を非球面レンズAL2520-Bを用いて直径1mm(1/e2ビーム径)に集光し、ピンホールの無いホイルの金メッキ面に照射しました。ホイルとマウントの外側には熱電対を取り付け、レーザービームの光を吸収することによって上昇する温度を測定しました。その結果、マウントLMR1に取り付けたピンホールPxCBに対して高パワー光用ピンホールPxCBPのマウントでは、ホイルの温度を30 °C以上低く保持することができました。


Pinhole Mounted in LMR1 and SM1L40
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高パワー光用ピンホールと、金メッキ銅製ブランクホイルPBCBを取り付けたマウントLMR1に熱電対を取り付け、975 nm、52 Wの連続波レーザ光を入射することで生じる温度上昇を測定。
Pinhole Mounted in LMR1 and SM1L40
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ピンホールのホイルに熱電対を取り付け、975 nm、52 Wの連続波レーザ光を入射することで生じる温度上昇を測定。

反射率のグラフ

下のグラフは、金メッキ銅ホイル製の円形精密ピンホールの反射率を示しています。金メッキ銅製ピンホールのホイルの前面は、入射光の吸収を最小限に押さえるために金コーティングが露出したままになっています。ホイルの裏面には低反射のPVD黒色コーティングが施されています。


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生データはこちらからダウンロードいただけます。
Precision Pinhole and Optical Slit Selection Guide
MaterialProduct
Blackened Stainless SteelCircular Precision Pinholes
Square Precision Pinholes
Optical Slits
Stainless Steel with
PVD Black Coating
Circular Precision Pinholes
Gold-Plated Copper Foil (Rear)
and PVD Black Coating (Front)
Circular Precision Pinholes
Tungsten FoilCircular Precision Pinholes
Molybdenum Foil (Rear) and
Absorptive Polymer Coating (Front)
Circular Precision Pinholes

精密ピンホールと光学スリット
当社では、精密ピンホール用のホイル素材として、黒色化ステンレススチール、金メッキ銅、タングステン、またはモリブデンを用いています。ステンレススチール製ホイルのピンホールは、光の吸収率を高めるために両面を黒色化処理しており、標準品としてØ1 µm~Ø9 mmの円形ピンホールと、100 µm x 100 µm~1 mm x 1 mmの正方形ピンホールをご用意しています。黒色PVDコーティング付きのステンレススチール製ピンホールは、直径5 μm~2 mmのピンホールをご用意しており、これらは真空にも対応しております。金メッキ銅製ホイルのピンホールは直径5 µm~2 mmのピンホールがあり、これらは片面が金メッキ、その反対面は黒色PVD加工されています。タングステン製ホイルのピンホールはコーティング処理されておらず、直径5 µm~2 mmのピンホールでご用意しております。モリブデン製ホイルのピンホールは直径5 µm~2 mmのピンホールをご用意しており、これらの前面には光吸収性ポリマがコーティングされています。 当社では、黒色化ステンレススチール製ホイルの光学スリットも、標準品として幅5~200 µmのスリットでご用意しております。

標準品のピンホールやスリットの中に用途に合う製品がない場合は、特注も承ります。材料、穴のサイズや形状の変更のほか、1つのホイルに複数の穴を加工したり、異なるピンホールの配列を構成したりすることも可能です。詳細は当社までお問い合わせください。ピンホールの材料特性については下の表をご覧ください。

 

材料特性
用途によってはピンホールまたはスリットの材料特性を考慮することが重要な場合があります。下の表に示すように、開口部の材料によってその融点、密度、熱伝導率などが異なります。 

Material Properties
Material300 Series Stainless SteelaCopperbTungstenMolybdenumc
Melting Point1390 - 1450 °C1085 °C3422 °C2623 °C
Density8.03 g/cm38.96 g/cm319.25 g/cm310.28 g/cm3
Brinell Hardness170 MPa878 MPa2570 MPa1500 MPa
Damage Thresholdd (10 ns Pulse, 1 kHz @ 355 nm)1.54 MW/mm24.82 MW/mm29.39 MW/mm26.34 MW/mm2
Thermal Expansion Coefficient16.2 (µm/m)/°C16.7 (µm/m)/°C4.5 (µm/m)/°C5.0 (µm/m)/°C
Specific Heat @ 20 °C485 J/(K*kg)385 J/(K*kg)134 J/(K*kg)250 J/(K*kg)
Thermal Conductivity16.2 W/(m*K)401 W/(m*K)173 W/(m*K)138 W/(m*K)
Thermal Diffusivity @ 300 K3.1 mm2/s111 mm2/s80 mm2/s54.3 mm2/s
  • ステンレススチール製のピンホールとスリットは、光の吸収率を大きくするために両面が黒色化処理されています。材料特性は主にバルクのステンレススチールの特性によって決定されます。 .
  • 金メッキ銅製のピンホールは、片面の銅基板に金が薄くコーティングされています。この面にビームが入射したとき、反射率は金の特性(77% @800 nm)になりますが、熱的な特性は主に基材の銅によって決定されます。
  • モリブデン製ピンホールの前面には光吸収性のコーティングが施されています。材料特性は主にバルクのモリブデンの特性によって決定されます。
  • 損傷閾値データはここに掲載されているバルク材のみを参照しています。

 

反射率
ホイル材料やコーティングの反射率は、様々なアプリケーションにおける性能に影響を及ぼします。下のグラフは、当社の円形や正方形の精密ピンホールと、マウント付き光学スリットに用いられている材料やコーティングの反射率を示しています。生データはこちらからダウンロードいただけます。

金メッキ銅ホイル製の円形精密ピンホールの前面は、低反射の黒色PVDコーティングが施されています。背面は銅ホイルを金メッキした状態のままです。モリブデン製ホイルの円形ピンホールも、前面には低反射の光吸収性ポリマがコーティングされていますが、背面はコーティングされていません。 

空間フィルタの原理

 ホログラフィをはじめとする多くの用途において、レーザービームの空間強度が変動することは望ましくありません。空間フィルタ―システムKT311/Mは、きれいで空間的に均一なガウシアンビームを作りだすのに適しています。

Spatial Filter System Ray Diagram

図1:空間フィルターシステム

入力ガウシアンビームは、空間的に変動する強度「ノイズ」を有しています。ビームが非球面レンズによって集光される時、入力ビームは中心の(光軸上の)ガウシアンスポットと、望ましくない「ノイズ」(図2参照)に対応する干渉稿に変換されます。干渉縞の径方向の位置は「ノイズ」の空間周波数に比例します。

Input Gaussian Beam

図2

ガウシアンスポットの中心にピンホールを配置することによって、ビームのきれいな部分が透過し、干渉縞は遮断されます(下記、図3参照)。

Clean Gaussian Beam

図3

ビームの出力の99%を含有する位置における回折限界スポットサイズは以下のように与えられます。

Diffraction-Limited Spot Size

ここで、λは波長、ƒは焦点距離、r は1/e2 における入射ビームの半径です。

空間フィルターシステム用の正しい光学素子とピンホールの選択

用途に応じた正しい光学素子とピンホールの選択は、入力波長、光源のビーム径、およびご希望の出射ビーム径に依存します。

例えば、直径(1/e2) 1.2 mmの650 nmの半導体レーザ光源を用いて、希望する空間フィルターシステムの出射ビームの直径が4.4 mmであるとします。これらのパラメータの場合、レーザ光源の直径に十分対応する開口5.1 mmを有して650 nm用に設計されているマウント付き非球面レンズC560TME-Bを空間フィルターシステムの入力側に利用するのが適当と考えられます。

ビームの出力の99%を含有する位置における回折限界のスポットサイズの方程式は上に示しました。そして、この例ではC560TM-Bのλ = (650 x 10-9 m)、f = 13.86 mm、および r = 0.6 mmを代入すると以下のようになります。

Spot Size Example

回折限界スポットサイズ(光源波長:650 nm、ビーム径:Ø1.2 mm)

ピンホールはDよりもおよそ30%大きいものを選択します。ピンホールが小さすぎるとビームの一部はカットされてしまい、大きすぎるとTEM00以上の成分もピンホールを抜けてしまいます。それ故、この例では19.5 μmのピンホールが適しています。したがって、ピンホールサイズ20 μmのマウント付きピンホールP20Kの利用をお勧めします。ビームウエスト径の変更、およびそれに伴うピンホールサイズ変更のために修正可能なパラメータには、入力ビーム径や集光レンズの焦点距離が含まれます。入力ビーム径が小さくなるとビームウエスト径は大きくなります。焦点距離の長い集光レンズを使用することでもビームウエスト径は大きくなります。

最後に、コリメートしたビーム径が希望の4.4 mmになるように空間フィルタの出力側の光学素子を選択します。レンズの正しい焦点距離を決定するのに、以下の図4を考えます(原寸に比例していません)。左側の三角形から角度はおおよそ2.48oであると分かります。右側の三角形に同じ角度を使うと、平凸レンズの焦点距離はおよそ50 mmであることが分かります。

Spatial Filter Diagram

図4:
ビーム拡大の例

この焦点距離から、平凸レンズLA1131-B(設計波長633 nmにおいて焦点距離が50 mmですが、光源の波長650 nmにおいても焦点距離はほぼ同じと考えられます)が推奨されます。

注:ビームの拡大率は、出射側の焦点距離を入射側の焦点距離で割ったものと同じです。

もし、出射側の焦点距離として20 mm(AL2520-AAL2520-BAL2520-C)が必要である場合には、適切な性能を得るために、大きな直径の非球面レンズを平凸レンズの代わりに使うことができます。これらのレンズは25 mmの直径で、固定リングSM1RRを使って固定できます。

Damage Threshold Specifications
Item #Damage Thresholda
PxCBP, PxHCB, PxCB5 x 105 W/mm2, 75 ns Pulse @ 700 nm
1 x 106 W/mm2, 10 ns Pulse @ 700 nm
10 W/mm2, CW @ 10.6 µm
  • ホイルの金メッキ付きの面に光を入射したときの損傷閾値

当社の金メッキ銅製ピンホールの損傷閾値データ

右の仕様は当社の高パワー光用金メッキ銅製ピンホールの測定値です。

 

レーザによる損傷閾値について

このチュートリアルでは、レーザ損傷閾値がどのように測定され、使用する用途に適切な光学素子の決定にその値をどのようにご利用いただけるかを総括しています。お客様のアプリケーションにおいて、光学素子を選択する際、光学素子のレーザによる損傷閾値(Laser Induced Damage Threshold :LIDT)を知ることが重要です。光学素子のLIDTはお客様が使用するレーザの種類に大きく依存します。連続(CW)レーザは、通常、吸収(コーティングまたは基板における)によって発生する熱によって損傷を引き起こします。一方、パルスレーザは熱的損傷が起こる前に、光学素子の格子構造から電子が引き剥がされることによって損傷を受けます。ここで示すガイドラインは、室温で新品の光学素子を前提としています(つまり、スクラッチ&ディグ仕様内、表面の汚染がないなど)。光学素子の表面に塵などの粒子が付くと、低い閾値で損傷を受ける可能性があります。そのため、光学素子の表面をきれいで埃のない状態に保つことをお勧めします。光学素子のクリーニングについては「光学素子クリーニングチュートリアル」をご参照ください。

テスト方法

当社のLIDTテストは、ISO/DIS 11254およびISO 21254に準拠しています。

初めに、低パワー/エネルギのビームを光学素子に入射します。その光学素子の10ヶ所に1回ずつ、設定した時間(CW)またはパルス数(決められたprf)、レーザを照射します。レーザを照射した後、倍率約100倍の顕微鏡を用いた検査で確認し、すべての確認できる損傷を調べます。特定のパワー/エネルギで損傷のあった場所の数を記録します。次に、そのパワー/エネルギを増やすか減らすかして、光学素子にさらに10ヶ所レーザを照射します。このプロセスを損傷が観測されるまで繰返します。損傷閾値は、光学素子が損傷に耐える、損傷が起こらない最大のパワー/エネルギになります。1つのミラーBB1-E02の試験結果は以下のようなヒストグラムになります。

LIDT metallic mirror
上の写真はアルミニウムをコーティングしたミラーでLIDTテストを終えたものです。このテストは、損傷を受ける前のレーザのエネルギは0.43 J/cm2 (1064 nm、10 ns pulse、 10 Hz、Ø1.000 mm)でした。
LIDT BB1-E02
Example Test Data
Fluence# of Tested LocationsLocations with DamageLocations Without Damage
1.50 J/cm210010
1.75 J/cm210010
2.00 J/cm210010
2.25 J/cm21019
3.00 J/cm21019
5.00 J/cm21091

試験結果によれば、ミラーの損傷閾値は 2.00 J/cm2 (532 nm、10 ns pulse、10 Hz、 Ø0.803 mm)でした。尚、汚れや汚染によって光学素子の損傷閾値は大幅に低減されるため、こちらの試験はクリーンな光学素子で行っています。また、特定のロットのコーティングに対してのみ試験を行った結果ではありますが、当社の損傷閾値の仕様は様々な因子を考慮して、実測した値よりも低めに設定されており、全てのコーティングロットに対して適用されています。

CWレーザと長パルスレーザ

光学素子がCWレーザによって損傷を受けるのは、通常バルク材料がレーザのエネルギを吸収することによって引き起こされる溶解、あるいはAR(反射防止)コーティングのダメージによるものです[1]。1 µsを超える長いパルスレーザについてLIDTを論じる時は、CWレーザと同様に扱うことができます。

パルス長が1 nsと1 µs の間のときは、損傷は吸収、もしくは絶縁破壊のどちらかで発生していると考えることができます(CWとパルスのLIDT両方を調べなければなりません)。吸収は光学素子の固有特性によるものか、表面の不均一性によるものかのどちらかによって起こります。従って、LIDTは製造元の仕様以上の表面の質を有する光学素子にのみ有効です。多くの光学素子は、ハイパワーCWレーザで扱うことができる一方、アクロマティック複レンズのような接合レンズやNDフィルタのような高吸収光学素子は低いCWレーザ損傷閾値になる傾向にあります。このような低い損傷閾値は接着剤や金属コーティングにおける吸収や散乱によるものです。

Linear Power Density Scaling

線形パワー密度におけるLIDTに対するパルス長とスポットサイズ。長パルス~CWでは線形パワー密度はスポットサイズにかかわらず一定です。 このグラフの出典は[1]です。

Intensity Distribution

繰返し周波数(prf)の高いパルスレーザは、光学素子に熱的損傷も引き起こします。この場合は吸収や熱拡散率のような因子が深く関係しており、残念ながらprfの高いレーザが熱的影響によって光学素子に損傷を引き起こす場合の信頼性のあるLIDTを求める方法は確立されておりません。prfの大きいビームでは、平均出力およびピークパワーの両方を等しいCW出力と比較する必要があります。また、非常に透過率の高い材料では、prfが上昇してもLIDTの減少は皆無かそれに近くなります。

ある光学素子の固有のCWレーザの損傷閾値を使う場合には、以下のことを知る必要があります。

  1. レーザの波長
  2. ビーム径(1/e2)
  3. ビームのおおよその強度プロファイル(ガウシアン型など)
  4. レーザのパワー密度(トータルパワーをビームの強度が1/e2の範囲の面積で割ったもの)

ビームのパワー密度はW/cmの単位で計算します。この条件下では、出力密度はスポットサイズとは無関係になります。つまり、スポットサイズの変化に合わせてLIDTを計算し直す必要がありません(右グラフ参照)。平均線形パワー密度は、下の計算式で算出できます。

ここでは、ビーム強度プロファイルは一定であると仮定しています。次に、ビームがホットスポット、または他の不均一な強度プロファイルの場合を考慮して、おおよその最大パワー密度を計算する必要があります。ご参考までに、ガウシアンビームのときはビームの強度が1/e2の2倍のパワー密度を有します(右下図参照)。

次に、光学素子のLIDTの仕様の最大パワー密度を比較しましょう。損傷閾値の測定波長が光学素子に使用する波長と異なっている場合には、その損傷閾値は適宜補正が必要です。おおよその目安として参考にできるのは、損傷閾値は波長に対して比例関係であるということです。短い波長で使う場合、損傷閾値は低下します(つまり、1310 nmで10 W/cmのLIDTならば、655 nmでは5 W/cmと見積もります)。

CW Wavelength Scaling

この目安は一般的な傾向ですが、LIDTと波長の関係を定量的に示すものではありません。例えば、CW用途では、損傷はコーティングや基板の吸収によってより大きく変化し、必ずしも一般的な傾向通りとはなりません。上記の傾向はLIDT値の目安として参考にしていただけますが、LIDTの仕様波長と異なる場合には当社までお問い合わせください。パワー密度が光学素子の補正済みLIDTよりも小さい場合、この光学素子は目的の用途にご使用いただけます。

当社のウェブ上の損傷閾値の仕様と我々が行った実際の実験の値の間にはある程度の差があります。これはロット間の違いによって発生する誤差を許容するためです。ご要求に応じて、当社は個別の情報やテスト結果の証明書を発行することもできます。損傷解析は、類似した光学素子を用いて行います(お客様の光学素子には損傷は与えません)。試験の費用や所要時間などの詳細は、当社までお問い合わせください。

パルスレーザ

先に述べたように、通常、パルスレーザはCWレーザとは異なるタイプの損傷を光学素子に引き起こします。パルスレーザは損傷を与えるほど光学素子を加熱しませんが、光学素子から電子をひきはがします。残念ながら、お客様のレーザに対して光学素子のLIDTの仕様を照らし合わせることは非常に困難です。パルスレーザのパルス幅に起因する光学素子の損傷には、複数の形態があります。以下の表中のハイライトされた列は当社の仕様のLIDT値が当てはまるパルス幅に対する概要です。

パルス幅が10-9 sより短いパルスについては、当社の仕様のLIDT値と比較することは困難です。この超短パルスでは、多光子アバランシェ電離などのさまざまなメカニクスが損傷機構の主流になります[2]。対照的に、パルス幅が10-7 sと10-4 sの間のパルスは絶縁破壊、または熱的影響により光学素子の損傷を引き起こすと考えられます。これは、光学素子がお客様の用途に適しているかどうかを決定するために、レーザービームに対してCWとパルス両方による損傷閾値を参照しなくてはならないということです。

Pulse Durationt < 10-9 s10-9 < t < 10-7 s10-7 < t < 10-4 st > 10-4 s
Damage MechanismAvalanche IonizationDielectric BreakdownDielectric Breakdown or ThermalThermal
Relevant Damage SpecificationNo Comparison (See Above)PulsedPulsed and CWCW

お客様のパルスレーザに対してLIDTを比較する際は、以下のことを確認いただくことが重要です。

Energy Density Scaling

エネルギ密度におけるLIDTに対するパルス長&スポットサイズ。短パルスでは、エネルギ密度はスポットサイズにかかわらず一定です。このグラフの出典は[1]です。

  1. レーザの波長
  2. ビームのエネルギ密度(トータルエネルギをビームの強度が1/e2の範囲の面積で割ったもの)
  3. レーザのパルス幅
  4. パルスの繰返周波数(prf)
  5. 実際に使用するビーム径(1/e2 )
  6. ビームのおおよその強度プロファイル(ガウシアン型など)

ビームのエネルギ密度はJ/cm2の単位で計算します。右のグラフは、短パルス光源には、エネルギ密度が適した測定量であることを示しています。この条件下では、エネルギ密度はスポットサイズとは無関係になります。つまり、スポットサイズの変化に合わせてLIDTを計算し直す必要がありません。ここでは、ビーム強度プロファイルは一定であると仮定しています。ここで、ビームがホットスポット、または他の不均一な強度プロファイルの場合を考慮して、おおよその最大パワー密度を計算する必要があります。ご参考までに、ガウシアンビームのときは一般にビームの強度が1/e2のときの2倍のパワー密度を有します。

次に、光学素子のLIDTの仕様と最大エネルギ密度を比較しましょう。損傷閾値の測定波長が光学素子に使用する波長と異なっている場合には、その損傷閾値は適宜補正が必要です[3]。経験則から、損傷閾値は波長に対して以下のような平方根の関係であるということです。短い波長で使う場合、損傷閾値は低下します(例えば、1064 nmで 1 J/cm2のLIDTならば、532 nmでは0.7 J/cm2と計算されます)。

Pulse Wavelength Scaling

 

波長を補正したエネルギ密度を得ました。これを以下のステップで使用します。

ビーム径は損傷閾値を比較する時にも重要です。LIDTがJ/cm2の単位で表される場合、スポットサイズとは無関係になりますが、ビームサイズが大きい場合、LIDTの不一致を引き起こす原因でもある不具合が、より明らかになる傾向があります[4]。ここで示されているデータでは、LIDTの測定には<1 mmのビーム径が用いられています。ビーム径が5 mmよりも大きい場合、前述のようにビームのサイズが大きいほど不具合の影響が大きくなるため、LIDT (J/cm2)はビーム径とは無関係にはなりません。

次に、パルス幅について補正します。パルス幅が長くなるほど、より大きなエネルギに光学素子は耐えることができます。パルス幅が1~100 nsの場合の近似式は以下のようになります。

Pulse Length Scaling

お客様のレーザのパルス幅をもとに、光学素子の補正されたLIDTを計算するのにこの計算式を使います。お客様の最大エネルギ密度が、この補正したエネルギ密度よりも小さい場合、その光学素子はお客様の用途でご使用いただけます。ご注意いただきたい点は、10-9 s と10-7 sの間のパルスにのみこの計算が使えることです。パルス幅が10-7 sと10-4 sの間の場合には、CWのLIDTも調べなければなりません。

当社のウェブ上の損傷閾値の仕様と我々が行った実際の実験の値の間にはある程度の差があります。これはロット間の違いによって発生する誤差を許容するためです。ご要求に応じて、当社では個別のテスト情報やテスト結果の証明書を発行することも可能です。詳細は、当社までお問い合わせください。


[1] R. M. Wood, Optics and Laser Tech. 29, 517 (1998).
[2] Roger M. Wood, Laser-Induced Damage of Optical Materials (Institute of Physics Publishing, Philadelphia, PA, 2003).
[3] C. W. Carr et al., Phys. Rev. Lett. 91, 127402 (2003).
[4] N. Bloembergen, Appl. Opt. 12, 661 (1973).

レーザーシステムが光学素子に損傷を引き起こすかどうか判断するプロセスを説明するために、レーザによって引き起こされる損傷閾値(LIDT)の計算例をいくつかご紹介します。同様の計算を実行したい場合には、右のボタンをクリックしてください。計算ができるスプレッドシートをダウンロードいただけます。ご使用の際には光学素子のLIDTの値と、レーザーシステムの関連パラメータを緑の枠内に入力してください。スプレッドシートでCWならびにパルスの線形パワー密度、ならびにパルスのエネルギ密度を計算できます。これらの値はスケーリング則に基づいて、光学素子のLIDTの調整スケール値を計算するのに用いられます。計算式はガウシアンビームのプロファイルを想定しているため、ほかのビーム形状(均一ビームなど)には補正係数を導入する必要があります。 LIDTのスケーリング則は経験則に基づいていますので、確度は保証されません。なお、光学素子やコーティングに吸収があると、スペクトル領域によってLIDTが著しく低くなる場合があります。LIDTはパルス幅が1ナノ秒(ns)未満の超短パルスには有効ではありません。

Intensity Distribution
ガウシアンビームの最大強度は均一ビームの約2倍です。

CWレーザの例
波長1319 nm、ビーム径(1/e2)10 mm、パワー0.5 Wのガウシアンビームを生成するCWレーザーシステム想定します。このビームの平均線形パワー密度は、全パワーをビーム径で単純に割ると0.5 W/cmとなります。

CW Wavelength Scaling

しかし、ガウシアンビームの最大パワー密度は均一ビームの約2倍です(右のグラフ参照)。従って、システムのより正確な最大線形パワー密度は1 W/cmとなります。

アクロマティック複レンズAC127-030-CのCW LIDTは、1550 nmでテストされて350 W/cmとされています。CWの損傷閾値は通常レーザ光源の波長に直接スケーリングするため、LIDTの調整値は以下のように求められます。

CW Wavelength Scaling

LIDTの調整値は350 W/cm x (1319 nm / 1550 nm) = 298 W/cmと得られ、計算したレーザーシステムのパワー密度よりも大幅に高いため、この複レンズをこの用途に使用しても安全です。

ナノ秒パルスレーザの例:パルス幅が異なる場合のスケーリング
出力が繰返し周波数10 Hz、波長355 nm、エネルギ1 J、パルス幅2 ns、ビーム径(1/e2)1.9 cmのガウシアンビームであるNd:YAGパルスレーザーシステムを想定します。各パルスの平均エネルギ密度は、パルスエネルギをビームの断面積で割って求めます。

Pulse Energy Density

上で説明したように、ガウシアンビームの最大エネルギ密度は平均エネルギ密度の約2倍です。よって、このビームの最大エネルギ密度は約0.7 J/cm2です。

このビームのエネルギ密度を、広帯域誘電体ミラーBB1-E01のLIDT 1 J/cm2、そしてNd:YAGレーザーラインミラーNB1-K08のLIDT 3.5 J/cm2と比較します。LIDTの値は両方とも、波長355 nm、パルス幅10 ns、繰返し周波数10 Hzのレーザで計測しました。従って、より短いパルス幅に対する調整を行う必要があります。 1つ前のタブで説明したようにナノ秒パルスシステムのLIDTは、パルス幅の平方根にスケーリングします:

Pulse Length Scaling

この調整係数により広帯域誘電体ミラーBB1-E01のLIDTは0.45 J/cm2に、Nd:YAGレーザーラインミラーのLIDTは1.6 J/cm2になり、これらをビームの最大エネルギ密度0.7 J/cm2と比較します。広帯域ミラーはレーザによって損傷を受ける可能性があり、より特化されたレーザーラインミラーがこのシステムには適していることが分かります。

ナノ秒パルスレーザの例:波長が異なる場合のスケーリング
波長1064 nm、繰返し周波数2.5 Hz、パルスエネルギ100 mJ、パルス幅10 ns、ビーム径(1/e2)16 mmのレーザ光を、NDフィルタで減衰させるようなパルスレーザーシステムを想定します。これらの数値からガウシアン出力における最大エネルギ密度は0.1 J/cm2になります。Ø25 mm、OD 1.0の反射型NDフィルタ NDUV10Aの損傷閾値は355 nm、10 nsのパルスにおいて0.05 J/cm2で、同様の吸収型フィルタ NE10Aの損傷閾値は532 nm、10 nsのパルスにおいて10 J/cm2です。1つ前のタブで説明したように光学素子のLIDTは、ナノ秒パルス領域では波長の平方根にスケーリングします。

Pulse Wavelength Scaling

スケーリングによりLIDTの調整値は反射型フィルタでは0.08 J/cm2、吸収型フィルタでは14 J/cm2となります。このケースでは吸収型フィルタが光学損傷を防ぐには適した選択肢となります。

マイクロ秒パルスレーザの例
パルス幅1 µs、パルスエネルギ150 µJ、繰返し周波数50 kHzで、結果的にデューティーサイクルが5%になるレーザーシステムについて考えてみます。このシステムはCWとパルスレーザの間の領域にあり、どちらのメカニズムでも光学素子に損傷を招く可能性があります。レーザーシステムの安全な動作のためにはCWとパルス両方のLIDTをレーザーシステムの特性と比較する必要があります。

この比較的長いパルス幅のレーザが、波長980 nm、ビーム径(1/e2)12.7 mmのガウシアンビームであった場合、線形パワー密度は5.9 W/cm、1パルスのエネルギ密度は1.2 x 10-4 J/cm2となります。これをポリマーゼロオーダ1/4波長板WPQ10E-980のLIDTと比較してみます。CW放射に対するLIDTは810 nmで5 W/cm、10 nsパルスのLIDTは810 nmで5 J/cm2です。前述同様、光学素子のCW LIDTはレーザ波長と線形にスケーリングするので、CWの調整値は980 nmで6 W/cmとなります。一方でパルスのLIDTはレーザ波長の平方根とパルス幅の平方根にスケーリングしますので、1 µsパルスの980 nmでの調整値は55 J/cm2です。光学素子のパルスのLIDTはパルスレーザのエネルギ密度よりはるかに大きいので、個々のパルスが波長板を損傷することはありません。しかしレーザの平均線形パワー密度が大きいため、高出力CWビームのように光学素子に熱的損傷を引き起こす可能性があります。

Beam Circularization Setup
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図1: 実験セットアップ上の黄色い四角で囲まれたエリアにビーム円形化システムを設置
Spatial Filter Setup
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図4: 空間フィルターシステム
Anamorphic Prism Pair Setup
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図3: アナモルフィックプリズムペアシステム
Cylindrical Lens Pair Setup
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図2: シリンドリカルレンズペアシステム

楕円ビームの円形化技術の比較 

端面発光型半導体レーザは、発光開口部の断面が長方形になっているため、楕円形のビームを出射します。開口部の短辺から出射されるビーム成分は、これに直交するビーム成分よりも大きな広がり角を有します。一方のビーム成分がもう一方よりも大きく拡散するため、ビームの形状は円形ではなく楕円形になります。

楕円形のビーム形状は、円形のビームよりも集光ビームのスポットサイズが大きいことで放射照度(面積あたりのパワー)が低くなってしまいます。楕円ビームを円形化する技術は複数ありますが、ここではシリンドリカルレンズアナモルフィックプリズムのペア空間フィルタを利用した3種類の方法で実験を行い性能を比較しています。 円形化されたビームの特性は、M2測定、波面測定、伝送パワー測定によって評価しました。

これらの円形化技術によって楕円形の入射ビームの真円度は向上しますが、それぞれの技術ごとに円形化やビーム品質および伝送パワーの特性が異なることを示しました。この「実験データ」タブ内に記載されている結果から、用途に必要な要件を満たした円形化技術を選択するべきである事がわかりました。

実験の設計とセットアップ

この実験セットアップは図1の写真で示されています。図2~4では温度制御された670 nm半導体レーザからの楕円コリメート光をそれぞれの円形化システムに入射させています。コリメートにより、広がり角は小さくなりますが、ビーム形状はレーザ出力時と変わりません。各システムは下記の光学系をベースに構成されています。

ビーム円形化システム(右写真参照)を黄色い四角で囲まれた空きスペースに1台ずつ設置しました。このようにすることでそれぞれの円形化技術を同じ実験条件で評価できるため、実験結果を直接比較することができます。この実験上の制約により取り付け方法も制約されるため、コンパクト化という点では最適化されていません。またアナモルフィックプリズムペアについても、より便利で光学的にも調整されたマウント済みの製品を使わずに、マウント無しの製品を用いています。

それぞれの円形化システムから出射されたビームの特性は、パワーメータ波面センサならびにM2システムを使用して測定を行い、評価されました。例示目的のため、実験セットアップの写真内、テーブルの右側に、これらの評価機器がすべて表示されていますが、評価は1種類ずつ行います。 パワーメータは、ビーム円形化システムが入射ビームの強度をどの位減衰させるのかを測定するために使用します。波面センサは、出射ビームの収差を測定するために使用します。M2システムは出力ビームのビーム品質(理想のガウシアンビームからの劣化具合)の測定に使用します。円形化システムはレーザービームの減衰もされず、収差も生じず、完全なガウシアンビームを出射することが理想的です。

端面発光型半導体レーザからの発光には非点隔差があるため、直交するビーム成分の変位した焦点をオーバーラップで望ましい形状が得られます。ここで調査している3種類の円形化技術のうち、シリンドリカルレンズペアのみが非点収差も補償することができます。直交するビーム成分の焦点間の変位はこれらすべての円形化技術で測定できます。シリンドリカルレンズペアの場合、構成を調整することでレーザービーム内の非点収差を最小限に抑えます。この非点収差は規格化しています。 

実験結果

実験結果を下の表にまとめています。緑色のセルは各カテゴリ内における最も良い結果を示しています。円形化の方法にはそれぞれの利点があります。用途に最適な円形化技術は、ビーム品質、伝送パワー、セットアップの制約に対するシステムの要件によって決まります。

空間フィルタは真円度とビーム品質を著しく向上させますが、ビームの伝送パワーは低くなります。シリンドリカルレンズペアは、伝送ビームを綺麗な円形にし、バランスの良い円形およびビーム品質を実現します。また、シリンドリカルレンズペアはビームの非点収差のほとんどを補償します。アナモルフィックプリズムペアによるビームの真円度はシリンドリカルレンズペアによる真円度と比較しても遜色ありません。シリンドリカルレンズと比較して、プリズムからの出力ビームのM2値は小さく、波面誤差は少なくなりますが、伝送パワーはやや低くなります。

MethodBeam Intensity ProfileCircularityaM2 ValuesRMS WavefrontTransmitted PowerNormalized 
Astigmatismb
Collimated Source Output
(No Circularization Technique)
Collimated
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Scale in Microns
0.36X Axis: 1.28
Y Axis: 1.63
0.17Not Applicable0.67
Cylindrical Lens PairCylindrical
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Scale in Microns
0.84X Axis: 1.90
Y Axis: 1.93
0.3091%0.06
Anamorphic Prism Pair
Anamorphic
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Scale in Microns
0.82X Axis: 1.60
Y Axis: 1.46
0.1680%1.25
Spatial FilterSpatial
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Scale in Microns
0.93X Axis: 1.05
Y Axis: 1.10
0.1034%0.36
  • 真円度(Circularity)=dminor/dmajor、ここでdminorとdmajorは対応する楕円(強度:1/e)の長径と短径を表し、真円度 = 1は完全な円形ビームを表します。
  • 規格化された非点収差(Normalized Astigmatism)はビームの2つの直交する成分のウェスト位置の差で、ウェストが小さい方のビーム成分のレイリ長で割った値です。 

円形化システムに使用されている部品は、同じ実験セットアップで全ての実験を行えるように選択されています。これにより、全ての円形化技術を直接比較することができます。ただし、円形化システムのセットアップを個別に最適化した方が性能は向上します。コリメートレンズおよびアナモルフィックプリズムペア用のマウントを使用すると、操作や実験システムへの取り付けが簡単に行えます。小型のマウントを使用して、それぞれのペア同士をより精密に設置して、実験結果を向上させることもできます。 また、焦点距離をカスタマイズした受注生産品のシリンドリカルレンズを使用して、シリンドリカルレンズペアの円形化システムの実験結果を向上させることもできます。ビームプロファイルソフトウェアのアルゴリズムを用いて、真円度の計算に使用するビーム半径を決定すると、全ての実験結果に影響を与えます。

追加情報

この実験で使用したコンポーネントの選択および構築方法についての情報は、下記のリンクをクリックしてご覧いただけます。


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Apertures Selection Guide
Aperture TypeRepresentative Image
(Click to Enlarge)
DescriptionAperture Sizes Available from Stocka
Single Precision Pinholesa
Circular Pinholes in Stainless Steel FoilsØ1 µm to Ø9 mm
Circular Pinholes in Stainless Steel Foils,
Vacuum Compatible
Ø5 µm to Ø2 mm
Circular Pinholes in Gold-Plated Copper FoilsØ5 µm to Ø2 mm
Circular Pinholes in Tungsten FoilsØ5 µm to Ø2 mm
Circular Pinholes in Molybdenum FoilsØ5 µm to Ø2 mm
Square Pinholes in Stainless Steel Foils100 to 1000 µm Square
SlitsaSlits in Stainless Steel Foils3 mm Slit Lengths: 5 to 500 µm Widths
10 mm Slit Lengths: 20 to 500 µm Widths
Double Slits in Stainless Steel Foils3 mm Slit Lengths with 40, 50, or 100 µm Widths,
Spacing of 3X or 6X the Slit Width
Half-AperturesMounted, Half-Aperture Foils

Half-Apertures for Knife-Edge Scan Measurements

Annular AperturesAnnular Aperture Obstruction Targets on
Quartz Substrates with Chrome Masks
Ø1 mm Apertures with ε Ratiosb from 0.05 to 0.85
Ø2 mm Aperture with ε Ratiob of 0.85
Pinhole WheelsManual, Mounted, Chrome-Plated Fused Silica Disks
with Lithographically Etched Pinholes
Each Disk has 16 Pinholes from Ø25 µm to Ø2 mm and
Four Annular Apertures (Ø100 µm Hole, 50 µm Obstruction)
Motorized Pinhole Wheels with Chrome-Plated Glass Disks
with Lithographically Etched Pinholes
Each Disk has 16 Pinholes from Ø25 µm to Ø2 mm and
Four Annular Apertures (Ø100 µm Hole, 50 µm Obstruction)
Pinhole KitsStainless Steel Precision Pinhole KitsKits of Ten Circular Pinholes in Stainless
Steel Foils Covering Ø5 µm to Ø9 mm
  • 精密シングルピンホールとスリットの開口サイズ、ホイル材料、形状、およびピンホール配置は、特注で変更することも可能です。詳細は当社までお問い合わせください。
  • オブストラクション径のピンホール径に対する比率
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金メッキ付き銅製ピンホール、高パワー光用

Item #Pinhole DiameterDiameter ToleranceCircularityaFoil ThicknessFoil MaterialDamage Thresholdb
P5CBP5 µm±1 µm≥85%50 µmGold-Plated Copper5 x 105 W/mm2, 75 ns Pulse @ 700 nm
1 x 106 W/mm2, 10 ns Pulse @ 700 nm
10 W/mm2, CW @ 10.6 μm
P10CBP10 µm
P15CBP15 µm±1.5 µm
P20CBP20 µm±2 µm≥90%
P25CBP25 µm
P50CBP50 µm±3 µm
P100CBP100 µm±4 µm≥95%
P200CBP200 µm±6 µm
P500CBP500 µm±10 µm
  • ここでのCircularityは楕円の短半径 (Rmin)と長半径(Rmax)の比(Rmin / Rmax)を表し、アスペクト比の逆数に該当します(図はこちらをクリックしてご覧ください)。100%のCircularityは完全な円であることを表します。
  • ホイルの金メッキ付きの面に光を入射したときの損傷閾値

M4タップ穴付き製品は、約6週間のリードタイムが見込まれています。
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P10CBPNEW!金メッキ付き銅製ピンホール、ピンホール径10 ± 1 µm、高パワー光対応SM1ネジ付きマウント、#8-32タップ穴(インチ規格)
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P25CBPNEW!金メッキ付き銅製ピンホール、ピンホール径25 ± 2 µm、高パワー光対応SM1ネジ付きマウント、#8-32タップ穴(インチ規格)
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P50CBPNEW!金メッキ付き銅製ピンホール、ピンホール径50 ± 3 µm、高パワー光対応SM1ネジ付きマウント、#8-32タップ穴(インチ規格)
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P100CBPNEW!金メッキ付き銅製ピンホール、ピンホール径100 ± 4 µm、高パワー光対応SM1ネジ付きマウント、#8-32タップ穴(インチ規格)
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P200CBP Support Documentation
P200CBPNEW!金メッキ付き銅製ピンホール、ピンホール径200 ± 6 µm、高パワー光対応SM1ネジ付きマウント、#8-32タップ穴(インチ規格)
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P500CBPNEW!金メッキ付き銅製ピンホール、ピンホール径500 ± 10 µm、高パワー光対応SM1ネジ付きマウント、#8-32タップ穴(インチ規格)
¥31,510
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